享年34歳、ジェフリー・ダーマー獄中に死す!

 ジェフリー・ダーマーが死んだ!
 と聞いてびっくりしたのはぼくだけだったみたいだな、どうやら。ニュースを見てあわててみんなに話したんだけど、ほとんど誰にも通じなかったみたい。「え、本当?」ならいい方で「誰、それ?」って反応がほとんど。ま、無理もないか(なお、尋ねる前から「ダーマー死んだな!」と嬉しそうに話しかけてきた人間が一人だけいた。あまりに有名な編集者ウェイン町山智浩だ)。
 ジェフリー・ダーマー、別名ミルウォーキー・カニバルは黒人の男の子ばっかり17人ぶち殺し、死体とセックスしてから電ノコでばらばらに分解した。肉は冷蔵庫に保存して料理し、頭蓋骨はおりにふれて取りだし、彼氏とのありし日を偲んでいたんだって。いやはや。裁判では有罪を認め、終身刑を15回務めることになっていた。
 そのダーマーくんが獄中で殺されちまった。いや、驚いたね。1994年11月29日、他の囚人とのいざこざから監獄のトイレで殴り殺されたのだ。かっちょいーい、わきゃねーだろ。CNNではヘッドラインの三番目、つうことは米国内ではトップ・ニュースだ。だいたい、監獄の中ではダーマーみたいなタイプの犯罪者は嫌われがちだ。監獄内でハバをきかすのはギャング連中で、抵抗できない幼児を殺す奴は卑怯者だといじめられるのだ。”超人志願者”リチャード・ローブもやっぱりトイレで殴り殺されたっけ。享年34。しかし、彼の死を悼む者は一人もいなかったという。弁護士さえ「誰も悲しがらないだろうね」とかすっかり投げてたくらい。
 ダーマー死すとも人生は続く。アメリカの学生連中が今年のワースト映画にトム・ハンクス主演の『フォレスト・ガンプ』を選んだそうな。ワーストだよ、ベストじゃないよ。しかし、これは実は死ぬほど当たり前なんだぜ。早くも絶賛してるサブカル編集者&ライターを散見するけど、とても信じられないね。自分のレーゾン・デトゥールを全否定するような映画を褒めるなんてどういうつもりだ? 何もわかってないのかな?
 公開前だけど、アメリカで大ヒットしたからどんな映画かはもう伝わってるでしょ。要するに頭は弱いけど足は強いフォレスト・ガンプって男がいて、彼が体だけを資本に大成功してここ三十年間のアメリカを駆け抜けるってお話だ。それだけ聞けばいい話なんだけど、ガンプにはGFがいる。幼なじみの彼女はガンプと違い、頭でっかちなもんで歌手を夢見て大学をドロップ・アウト、サンフランシスコに出かけてカウンター・カルチャーにどっぷり浸かり、あげくの果てはヤク中になって体もボロボロ……これほど露骨な反カウンター・カルチャー映画はないぞ、はっきり言って。
 この大ヒットはアメリカ社会の右傾化を示していて、中間選挙での民主党大敗北にもつながる……ってそれじゃ越智道雄だ(笑)。ぼくだってカウンター・カルチャーの大義が正しかったとは言わないけど、自分がそこに育てられた人間だってのは確かだ。こんな映画を褒める奴はみんな敵だからな。今んとこ、味方はアメリカの学生だけみたいだけどね。

Back to Index