シンプソン事件から続々スター誕生!


 いやあ、カルロス捕まっちゃったねえ。ヨーロッパのニュースを見てたら、どこもかしこもトップ・ニュースは自国でカルロスがしでかしたテロ行為のお話。ドイツじゃ爆弾テロをやってのけ、スペインではバスク解放戦線のテロにかかわり、英国ではマークス&スペンサーの役員を襲撃し(ちょっと情けないかな)、フランスではドゴール大統領暗殺を試みる。ヨーロッパじゅうのテロ行為を一手に引き受けてますって感じ。もう無期刑以上は決まったようなものなんだから、こうなったらぜひ自伝を書いてほしいもんだ。これは売れる。『ゲバラ日記』くらいのベストセラーになるぞ。そのせつはぜひ翻訳の方をよろしく。
 ついでに映画化もしてくれるといいな。ヨーロッパの片田舎にぶらりとあらわれた謎の男。資本家の横暴に苦しめられている民衆を助けては、またいずこともなく姿を消す。『UZIを持った流れ者』とかね。
 ところで、ヨーロッパじゃカルロスに浮かれてるけれど、アメリカ人はいまだにシンプソンである。本当に毎日のようにシンプソン・ニュースが流れている。予備審問で一通りのネタは出終わって、今は裁判待ち。だから別に新事実が明らかになっているわけじゃない。しかしそれでも一向にネタはつきないのだ。最近何をやってるかと言うと、裁判関係者のアイドル化である。弁護士も証人もみーんなアイドル。アイドルなら好きな食べ物やら趣味やらを伝えてるだけで、時間はいくらでも使える道理である。シンプソン裁判では、スターは被告一人ではないのだ。
 この事件で一番得をしたと言われているのが検察側の証人”ケイトー”ケイリン。シンプソン家で犬の散歩などさせていたハウスボーイだが、シンプソンのアリバイを崩す重要証言をして一躍有名になってしまった。弁護士からの質問にもユーモアたっぷりの受け答えでいきなり人気沸騰してしまった。ハリウッドにはいくらもいる無名のブロンド俳優だったが、いまや全米で知らぬ者なき有名人、映画のオファーも続々だとか。
 一方、一人一日一千万円を越える高収入を誇るスーパー弁護士軍団も負けてはいない。F・リー・ベイリーはボストン絞殺魔アルバート・デサルボやパトリシア・ハーストの弁護歴を誇る元祖スーパースター弁護士。ジョニー・コクランはマイケル・ジャクソンのロリコン裁判で有名になった大物。これほどのメンバーをまとめるリーダーはロバート・シャピロ、マーロン・ブランドの息子が起こした殺人事件で彼を弁護したことがある。ハリウッドの暗部をすべて知り尽くした強者で、もちろんテレビ映りもバツグンだ。
 さて、じゃあ検察側はやられっぱなしかって言うと、もちろんそんなことはない。検察側のトップ、マーシャ・クラークも誰にも負けない人気を誇ってる。「いいじゃん彼女、あの足ぐっとくるぜ」彼女のファンを自称するDJなんてのもいて、法廷での尋問をカットアップして「愛してるよ」「それはいつからですか?」なんて一人掛け合いやって悦にいってる。なんだかとっても楽しそうなんだが、きみたち、人二人死んでるの、忘れてないか?

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