アメリカのトーク・ショーは命がけ!
いつかは出ると思っていたがやっぱり出た。〈O・Jシンプソンツアー〉 殺人現場で記念写真を撮り、犠牲者が働いていたメッツァルーナ・レストランで昼食を食べ、最後は裁判所に出かけて弁護士を一目見よう! ワイドショー大好きのオバさん方が集まって大人気!だそうな。日本でもやればいいのに。〈上裕外報部長が案内する上九一色村の旅〉なんてどう? 人気出ると思うんだけど。
ワイドショーの人気は日本もアメリカも変わらないのだが、アメリカにあってなぜか日本にはないのはトーク・ショー。アメリカではすごい人気なのに、なんでやらないんだろう? トークショーは基本的には視聴者参加番組だ。スタジオに客を入れ、ゲストを呼んで司会者が話を聞く。ゲストは時の人のこともあれば、離婚を訴えてる夫婦が出てくる場合もある。チン切られボビットやOJ関連の人々など、これまでこのコーナーで取り上げてきた人たちはみな常連で出演している。ともかくこのトークショー・ホストこそ、今米国のお茶の間でもっとも人気のあるTVタレントなのだ(日本には全然伝わって来ないけど)。
ジョン・ウォーターズの『ヘアスプレー』でデビューしたリッキー・レイクは、当時ミニ・ディヴァインとまで言われていた超デブ少女だった。愛敬はあるし演技も悪くないから、キャラクターとしてはいい。しかししょせんはジョン・ウォーターズのスター。あのデブり方ではとてもスターにはなれまい、と誰もが思った。しかるに、レイクはいまや若者人気ナンバー1のタレントになった。大減量を敢行し、その体験談を武器にティーン向けトークショーという未開拓分野に殴りこみをかけたのだ。これは大成功して『リッキー・レイク』は今や視聴率第2位の人気トークショーとなった。ちなみに一位はオプラ・ウィンフリーの『オプラ』である。
さて第3位につけて激しく追い上げているのがジェニー・ジョーンズ。彼女のショーはサプライズに命をかけている。生放送の利点を最大限に生かせるのはなんといってもサプライズ。ゲストを驚かせ、予想外の反応を引き出すのが最近のトークショーでは流行中なのだ。番組出演中にBFが彼女の実の妹との浮気を告白するとか、夫が愛人の存在を明かすとか、話題がきわどければきわどいほど視聴率は取れる。
つい先日、ジェニーのショーにゲストで出たジョン・シュミッツは、スタッフから「こっそりあなたのことを思っている人がいて、番組中で告白します」と言われていた。胸をときめかせ、一丁羅を着こんで出演したジョン。その思い人とは? そこに立っていたのは26歳のスコット・アメデュア(男)だった。ヘテロセクシャルのシュミッツは「赤っ恥をかかされた」と怒り狂い、ショウが終わったあとアメデュアを撃ち殺したのだった。命、かけてます。
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Kiichiro Yanashita /
柳下毅一郎 / yanasita@gol.com