北京の秋

北京(原人)の秋ー愛、おぼえていますか

書き下ろし。著作権は保持しますが掲載権は自由。雑誌にでもHPにでも好きなように使ってくれ、まあ使いたい人がいるならだけど。ただし著者名だけは明記してね。あと使うときには連絡を。


 時は未来。日本は国産スペースシャトル第一号を種子島から打ち上げていた。すばらしいCGにはびっくりである。ところがその宇宙船の中ではあやしの実験がおこなわれていたのだった。実験を指揮するのはもちろん生命科学研究所の理事長タンバだ!「にんげんは、神になるのだあああああ」と吠えるタンバ。タンバいきなり全開だ!「よし、シベリアの基地につないでくれ」なんとシベリアの基地ではすでにマンモスの再生実験に成功していたのだった。テレビ電話にあらわれたシベリア研究所長は……なんと佐藤蛾次郎。どう見ても戦隊ものの悪の親玉とダメ子分の図である。「は。マンモスは順調に育っております」とロシア美人の研究者(と二人きりらしい。ガジロー幸せの絶頂だ)と一緒にガジローが報告だ。
 一方シャトルでは遺伝子操作で作り出した原人のたまご(なんか、現代人の遺伝子を操作して作ったらしいス)をベビーシャトル(?)にいれて宇宙空間に差しだしている。なんかわかんないけど時間反転とかして(???)原人完成か? と、そこに折悪しく流星雨が! 隕石に当たったベビーシャトルは原人を乗せたまま沖縄方面のなんとか島に落下する。

 原人捜索にかりだされたのは緒方直人と片岡礼子の二人組。すっかり成長した原人親子(……これってはたして親子なのか? だいたい、同時に作ったのになんで成長スピードが違うんだ?)を発見する。ヘリコプターの音におびえる原人。「よし!」と言った緒方はいきなり服を脱ぎ出す。「何をするんですか!?」と当然怯える片岡。緒方は「裸になって、同じ人間同士だってことをわかってもらうんだ」やっぱり裸のつきあいだねえ。緒方裸の胸(下は肌色パンツ)に泥をなすりつけたりフランスパンを差し出したりして熱演。埼玉の山奥で撮影してますからとても寒いけどがんばっている。緒方の熱意にほだされ、片岡もしぶしぶ裸になる。映画史上、もっとも報われない脱ぎだろう。
 だがしかしそこまで犠牲を払ったにもかかわらず、再度訪れたヘリに原人はおびえまくる。「麻酔銃を使え!」「いえ、銃は使いません、きっとわかってくれます」とあくまでも原人を信じる緒方。だがその信念は裏切られ、最後は諦めて殺虫スプレーを原人にかける。すぐに眠る原人。最初からそれ使えっつーの。

 研究所内に居をうつした原人親子。片岡礼子はいきなり「面倒だからとりあえず名前つけときませんか? オスはタカシ、メスはハナコ、子供はケンジでどうでしょう」と脳天気に提案する。なんでケンジやねん、長男やろが! で、名前ももらって仲良く暮らしてるかと思いきや、そこは原人。タカシは女房の目を盗んでいきなり恩人の片岡礼子を犯しにかかります。服をボロボロにされてぐすぐす泣く礼子に向かってタンバが暖かく慰めの言葉をかける。「なんで抵抗したんだ! 子供ができるかどうかのいい実験になったのに!」さすがはタンバやのう。愕然の礼子、ついにタンバから離反を考えるのであった。

 タンバは世界をあっと言わせる発表を企んでいた。東日本実業団陸上大会に原人を出場させ、世界記録を塗り替えさせるのだ!(オリンピックの予定でしたが、予算の都合で群馬開催になっております)だが、しょせんは原人。いくら芸をしこんでもエテ公である。サルに槍を持たせてもカメラマンに投げつけるだけなのであった。これって国家機密じゃなかったのか? 原人登場の混乱にまぎれ、いきなり登場したジョイ・ウォンがあめ玉でケンジを誘い出し、黒いバンで拉致! 北京原人は中国のもんだと信じるジョイ・ウォンは原人拉致に協力していたのだった。国家機密のわりには警備は誰もいないんですが、まあ予算の都合で人件費が節約されてますからしょうがない。ケンジがさらわれるのを見て走って追うタカシ。角を曲がるといきなりワープしてそこは横浜中華街だ! 中華料亭の地下にある敵本拠地に乗り込んだタカシだが、そこはエテ公なんでジョイ・ウォンに一目惚れ。ラブラブしてます。博太郎、小松みゆきのおっぱいは揉むは、片岡礼子は犯すは、かなりいい思いしてますな。タンバの要請を受け、拉致監禁容疑で乗り込んできた警察も原人パワーで一喝! 内調の大竹まことから「警察は手を引きました。どうも仲良くしていて拉致監禁って状態じゃないもんで」と言われて歯がみするタンバだがもうどうしようもない。そんなこと言ったらオ○ムだって仲良くしてたじゃないかよ、の反論は出てこないのであった。

 原人親子は中国へ(どうやって渡航したんだ?)。ジョイ・ウォンが思いつきで「やっぱ原人の生まれ故郷だしい、周口店に行くのがいいかも」と言ったもんで万里の長城へ来た原人御一行様である。長城でいきなり野性に帰り、原人吠える。「うぱあああああ」その声はシベリアのマンモスに届いた! ぱおおおーと暴れだして研究基地の壁をぶち破り、南へ向かって走る! 慌てて4WDに飛び乗り、窓から顔を出してあとを追うガジロー。早坂暁天才だ! 一方そのころ中国では、原人はいきなり走り出し(国家機密のくせに、護衛がいない……)、ジョイ・ウォンを逆拉致して行方不明になっていたのだった。一方そのころ日本では、ついに切れた片岡と緒方がハナコを拉致、セスナ機で中国へ飛ぶ! 夫がジョイ・ウォンとラブラブしてるあいだに、忘れられた原人妻はすっかり気力をなくし、死に死にだったのである。話は風雲急をつげ、タンバはがっくり肩を落とすのだった。「わしの夢が、すべて消えてしまった……」

 原人は北へ! マンモスは南へ!(ガジローは国境で足止め!)セスナ機は西へ! モンゴルの草原でついに三者は出会う。ジョイ・ウォン相手に求愛のダンスを踊っていた原人だが、ハナコの顔を見て昔の愛を思いだす。愛した女三人が一同に介し、ついにハーレム完成だ! と小踊りするタカシ。だが、ジョイ・ウォンは一緒についてはいけないと泣いて別れを告げる。愛はあっても種族の壁は。マンモスにまたがって去ってゆく三人に、泣きながら手をふる人間たち。さらば原人。だが、そのときすでにジョイ・ウォンの腹の中には原人との愛の結晶がすくすく育ちつつあったのだった(女房と同じ部屋にいて片岡を襲っていた原人が、一晩ともにして何もしないわけがないですからな)。その子供の活躍は続編『北京原人の逆襲』でどうぞ。


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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / yanasita@gol.com