トロントの休日(9/13)


休日のトロント

●実は昨日までで映画祭への参加は終了している。今日はもう映画を見ない。最初は出発ぎりぎりまで映画を見て飛行機に飛び乗る予定だった。だけど、事務局とのトラブルのせいでプレス・パスが手に入らなかったので、最終日には見る映画がなくなってしまった。そんなことなら早くにNYに入ってしまえば良かったということだが、まあのんびり出来て良かったということに。
 見たかったけど日程の都合やチケットが入手できなくて見られなかった映画は何本もある。グラハム・ヤング事件を映画化した『若き毒殺者のためのハンドブック』『Institute Benjammenta』(クエイ兄弟の初の長編映画)、『ブラッド&ドーナッツ』(クローネンバーグが出演しているカナディアン・ホラー)、『苦痛の館』(カナダのシュールっぽい恐怖映画)などなど。まあしかし死んだ子の年を数えていても仕方ない。じきにチャンスもあるでしょ。一番のめっけもんは『フリスク』。あと『キングダム』かな。

●したがって今日はのんびりだ。これくらいのんびりしたことはない。朝はのんびりとエキシビジョン・センター(幕張……には見えないね)やら巨大遊園地オンタリオ・プレイスをぶらつき、午後にはクイーンズ・ウェストで服を見たり、カフェに入って本を読んだり。おかげで『夢の終わりに…』(ジェフ・ライマン)が読めた。『キャリー』を思い出してしまいましたね。知ってます? キャリーは最初すごく可愛い子だったんですよ。キングもあの頃が華だった。最近は手に取りもしない。おお、忘れぬように書いておくと『夢の終わりに…』はなかなか悪くない。ただパンチが足りないような気はするね。

●3時にホテルを出て、地下鉄に乗って空港に向かう。今回はトラブルの多い旅行だったけど、終わってみるとあっという間だった。トラブルがある方が読む人にとっては面白かろうから、そう悪いことばかりではないか。
 トロント映画祭自体は、どんどん公開作品の見本市となりつつあるようで、その点は少し心配だ。一番刺激的な映画を集めていた〈エッジ〉セクションもなくなってしまったしね。このままではただの試写会だ。それならトロントまで来る意味はあるまい。だけど来年は、まあ、来年くらいはいいかな。暇さえあれば、また期待と思う。結局今回もジュディス・メリルは訪ねなかったし。というわけでトロントの休日もおしまい。飛行機はニューヨークに向かって飛んでゆく。


Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 /garth@cap.bekkoame.or.jp