ヨーロッパ式(9/12)


デヴィッド・リンチ株、下落中

●11:30『フリスク』。デニス・クーパーの同名小説の映画化。ゲイ・ヴァイオレンス・ポルノ文学の巨匠ですから、そういう映画です。ぐっと来たぜ。
 いつも試写室やフィルム・センターみたいなとこでばかり映画を見てる(最近はそれもしてないんだけど)んで、映画館に来ること自体久しぶりである。客を見ているだけでも結構面白い。昨日の『キングダム』にはなぜかパンキーな客が多かったんだが、今日はさすがに男ばっかり。これがみんなゲイかと思うとすごいね。しかし上映中に席を立つ者続出。上映後には質疑応答があるんだが、どうも前回の上映で(モラル面で)かなりいじめられたらしく、監督からはおもしろい話が聞けなかった。しかし、映画はシリアル・キラーものの傑作だと思う。

●映画館の近くに店じまいするビデオ屋があるので、ちょいと覗いてみる。たいしたものはなし。チャールズ・マンソンが出てくるドキュメンタリーとおみやげ用に偽ブルース・リー映画を買う。タイトルが"Exit the Dragon, Enter the Tiger"。まあ入ったものはいつかは出なくちゃね。

●今日の昼はタイ飯に決めた。ビュッフェで500円弱というのはどうも相場みたい。なんか麺類が恋しいなあ。その後HMVに出かけてさらにビデオ。モンテ・ヘルマンの西部劇が二本で10ドル=800円に負けて、つい買ってしまう。あと『夏の恋人たち』もゲット。こうなったらダリル・ハンナに捧げるページを作るしかないかな。ちょっと考え中。

●9:30からは『フランキー・スターライト』。第二次大戦後、アイルランドに逃げてきたフランス人少女と父無し子であるその小人の息子の物語。少女を演じるのはアンヌ・パリロー。見るたびに思うが、凄い女優だ。なんの役を演じてもアンヌ・パリローにしか見えず、なおかつ役になりきっている。ここでも20歳前から40歳くらいまでを淡々と演じてみせる。
 息子である小人の役者もすばらしい。最後まで一人の悪人も出てこない映画で、これで見せてしまうのはたいした力量だと思う(監督は『レット・イット・ビー』のマイケル・リンゼー=ホッグ)。最後、小人と恋人のラブ・シーンになるかと一瞬期待したが、これはそういう映画ではないのだ。

●Yonge St.とBloor St.の角にあるアップタウン・シアターは映画祭のメイン会場のひとつになっている。のはいいんだが、その真向かいがストリップ・クラブなのである。映画を見るため、行列していると嫌でも目に入ってくる。気にするなと言う方が無理である。看板には「ヨーロッパ式」と大書きしてある。「ヨーロッパ式」とはなんのことか? アメリカ式とどう違うのか? 気になるのでチェックしてみることに決めた。これは純粋に科学的探求心から出た行為である。決してスケベ心ではないよ。
 入るとカウンターと座席とステージがあるごく普通のストリップ・クラブ。カバー・チャージはなしで、ドリンクが5ドルくらい。いくらか出すと膝の上で踊ってくれるらしい。で、肝心のヨーロッパ式なんだけど……誰に聞いても教えてくれないのだった。


Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 /garth@cap.bekkoame.or.jp