日常生活(9/11)


映画祭の日常的風景

●朝まず前日分のレポートを書いてFTPし、ついでに日記をひとまわり。わあこれじゃあ普段と一緒だ。なぜネットにつながっただけですべてが日常に復帰してしまうのか。リモート・オフィスは仕事を家庭に持ち込むだけだ、という説があるが、リモート・アクセスは世界をお茶の間に変えてしまうということだろうか。
 ヴィタミン不足で肌が荒れてきたので、今日は中華だ。つうわけでバスに乗ってチャイナタウンへ。しかしチャイナタウンだけは世界中どこへ行っても同じである。地方性ってものがかけらも見つからない。どこへ行っても日常を維持してしまう中国人のパワーにはちょっと考えさせられるものがある。

●点心をたらふく喰ってたらもう映画の時間。今日の1本目は『エレメント・オブ・クライム』、『ヨーロッパ』でおなじみデンマークの鬼才ラース・フォン・トリアーの新作『キングダム』。『ヨーロッパ』のときは随分つきあったしな(宣材を全部作った)とか思って気軽にチケット買ったら、これが4話のTVシリーズだった。全部で264分だぜい。しかしこれがまた思いもかけず面白いでやんの。デンマークの超巨大病院が舞台で、100年前にここで殺された少女の幽霊探しというのがメイン・プロットなんだけど、ここに狂った患者と、それに輪をかけて狂った医者たちのドタバタ劇がからむ。病院内に住む便利屋の医師にデンマーク人嫌いのスウェーデン人医師。ムード的には『ツイン・ピークス』。小人は出てこないが、モンゴロイドの語り部はいる。肝臓ガンの標本が欲しいあまりに、自分の健康な肝臓を摘出して、代わりにガン肝臓を移植してしまう病理学者のキャラクターが絶品だ。

●7:00からはメキシコ映画の『Two Crimes』。何もないときはラテン・アメリカの映画を見ることにしているので。身に覚えのない殺人の罪を着せられた男が、逃走資金を求めて叔父の家を訪れる。しかし、彼は従姉妹の娘を誘惑したり、従兄弟たちと遺産をめぐって張り合ったりするだけなのだった。なんとも緊迫感のない奴である。メキシコ的、かもしれない。
 9:15からの映画に並んだが入れなかったので、ホテルの近くの有名なスイス料理屋M囹venpickでタルタルステーキを。高かった(涙)

●今日もミッドナイト・ショー。今日は二本。どうでもいい短編が一本と、キャンプな予告編を集めた『トレイラー・キャンプ』。『ファースター・プッシーキャット、キル! キル!』から始まって、『サタデー・ナイト・フィーバー』、『イッツ・フライデー』、『ウィズ』などなど。見たくなったのは『カニバル・ガールズ』(「恐怖のシーンの前にはベルが鳴ります。耐えられないときは、ベルの音を合図に目を閉じて下さい」)と『カンザス・シティ・ボンバーズ』(ローラーゲーム映画! ヨーコに当たるのはラクエル・ウェルチ!)、それにランダル・クレイザーの『サマー・ラヴァーズ』かな。途中からジョン・トラヴォルタ予告編特集になってしまうのには笑った。真夜中だから、こういうのじゃないとちょっと辛い。


Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 /garth@cap.bekkoame.or.jp