
●11:45からはカナダ製の短編映画5本立てというのを見る。分裂症気味の映画の選び方だが、映画祭に来ると必然的にこうなってしまうのだ。目玉はアトム・エゴヤンの4分の短編。エゴヤンというのは、昔からずっと興味のある監督なんだけど、なぜか一本も見たことがない。今回どこかでビデオを手に入れようと思ってきたのだが。なお、いちばん面白かったのはそれではなく、『Reconstruction』という短編。ごく普通の中流白人家庭に育った作者の回想である。古い8ミリ映画にナレーションがかぶさり、湖のほとりの別荘で過ごした時期のことが、ノスタルジックに語られる。やがて妹が生まれるが死産になり、両親は黒人の赤ん坊を養子に取ることにする。だが、彼女が思春期になったころ、驚くべき事実がわかった。 彼女は養子ではなく、死産だと言っていた実の娘だったのだ。このせいで家族はバラバラに引き裂かれてしまう。これノンフィクションだよねえ。ちょっとすごすぎ。
●お腹が減ったのでBathurstへ出かけ(地下鉄で2駅)、ハンガリー料理で腹ごしらえ。エスニックなものを食べるのが簡単だというのがトロントのいいところだろう。ここまで簡単に、なんでも食べられるところも珍しいのではないか。ハンガリー料理店の隣はコリアンで、そのまた隣が西インド諸島料理って感じ。
歩いて5分のところには巨大ディスカウント・センターのHonest Ed'sがある。エドさんというのはトロントの有名な安売り王。「買うのは楽しい!」「こんな店には二度と会えない!」とかってケバケバしく騒ぎ立てる外観もすごいが、中に入るともっとすごい。2ブロックいっぱいに広がるガラクタの山、山、山。さいとうよしこが喜びそうだ。エドさんはときどき出てきて、自分でも投げ売りをかますという。
そのすぐ近く、Mirvish Villegeはアートな本屋やビデオ屋が集まっているところで、Vintage Video(英国産ビデオ多し)、 The Beguiling(オルタナ系コミックしか置いてないコミック・ショップ。経営は成り立つのだろうか)などを覗く。
●ホテルに戻って一服。どうも時差ボケが抜けない。困ったものだ、普段は現地時間に適応するのは早いんだが、5時ごろから無性に眠くなって困る。今回は何もかもうまく行かないなあ。映画館の近くのヌードル・ショップで世にも奇妙なラーメンを食べ(スープは薄い味噌味だが、麺はタイ風の透明で平たい奴。上には中華の野菜炒めが乗っている)てから、10:15のの映画『グロテスク』を見る。貴族の家庭に入りこんだ執事のスティングが、『テオレマ』っつうか『スサーナ』する話。姦通とか殺人とかカニバリズムとか出てくる、まあごく平凡な映画である。スティングとテレサ・ラッセルの絡みが「グロテスク」なのかな? スティングさんも来ていました。「ぼくは役者じゃないから、てきとーだよ」などと適当なことを抜かしておる。