Close Encounters of the Third Kind

◎今月のお仕事 『コリン・マッケンジー物語』(デレク・スミシー パンドラ)発売中。
        『子供の森・完結編』(もりしげ オークラ出版)に解説を書きました。子供は読まないように。犯罪だから。
        〈メンズクラブ〉12/10売号よりファビュラス・バーカー・ボーイズ連載。いつまで続くか?(笑)


12/1(水)
『ミステリーDISCを聴こう』(山口雅也 メディアファクトリー)、『公式御法度読本』(リトルモア)、『SCARED#1』(ABC出版)いただく。ありがとうございます。

 いきなり村崎百郎からFAXが入っていた。別に頼んだわけではないが(笑)お受験殺人についての雑感を知らせるものである。いや、2chとかで「全部作りらしいよ」なんて言ってる人たちに見せてあげたいよ、これ。とりあえず

私も最初に春奈ちゃんが行方不明になったというニュースを聞いた時は、「文京区」という場所柄、「柳下さんも遂にやったか!」と一瞬期待しましたが

ってのはやめろ(笑)。


12/2(木)
 年末進行で首もまわらない。劇場はおろか、試写に行く暇もないわい。『ファイト・クラブ』(チャック・パラニューク)読了。あの映画、思ってたより原作に忠実だったんだね。『哀愁の花びら』への言及とかも原作にあったのには驚いた。じゃあどこが違うかってことだけど……映画の方がだいぶんホモ臭い。
12/3(金)
 2時45分東京発。同行は秘宝の松崎くん。

 4時半ごろ静岡経由で清水着。

 7時。清水マリンビルにて渡辺文樹の『ハラハラとけー』

 11時半東京帰着。

 というわけでついに文樹と第三種接近遭遇成功。詳しくは秘宝の次号を見てくれ! オレが言いたいのはただひとつ、口開けて映画を入れてもらうのを待ってるだけじゃ映画評論家はつとまらねえってこったよ。自分から映画を探しに行かなくちゃならねえんだ。いや、それだけじゃない。自分で映画になるんだよ! 大森望もそんなヌルイこと言ってねえで、映画になれるよう努力するこった。

『危ない28号#5』(データハウス)届く。ありがとう村崎さん。


12/4(土)
 朝、洋泉社に出かけて町山と1時間半ばかりトーク。いくつかの懸案をかたづける。しかし話している最中にも子供が泣きだしたりしてもー大変。
 そのうちに秘宝編集部がぼちぼち出勤してきたのでしばらく無駄話して仕事の邪魔をする。

 いっぺん家に帰ってチャンピオンシップを見てから高田馬場へ。なんか雑破業が堺三保に関してぼやいていた。まあいつものことだ。自業自得ともいう(なお、この話を堺に言ったら堺本人が「そんなん自業自得や」と言っていた。なんてひどい奴だ)。

『男の出産』(松久淳 河出書房新社)いただく。半年早けりゃ町山にやったんだけどね。


12/5(日)
 午後、新宿でゼロコンの木原実行委員長、みらい子と食事。来年のSF大会での企画について。企画自体はできると思うんだけど、根本的な疑問としてSF大会に秘宝系の客って来るのかねえ? まあなんとかなるでしょ。

 高井戸にまわってSF乱学講座。今回は「アメリカ映画のある種の傾向」と題し(たわけではないが)『マトリックス』と『ファイト・クラブ』とトレンチコート・マフィアの話をする。いつもしてるような話なので特に準備もしてかなかったんだけど、やっぱ台本きちんと作っておかなきゃならなかったな。最初に『マトリックス』はいかにペダントリックな話であって、しかしそのペダントリーには全然意味がない、ということを言っておかなければならなかった(忘れていた)。あと、世界への違和感はぼくも共有するものであり、それを解消するために妄想の中に生きることを主張しているのだということ。
 お客として堺三保、風野春樹ご夫妻らが来てくれた。


12/6(月)
 起きたら12時だった。クソ。シュワルツェネッガーの記者会見に行くつもりだったのに。

秘宝にベスト10送る。

  1. 『バッファロー66』(ヴィンセント・ギャロ)
  2. 『ハラハラとけー』(渡辺文樹)
  3. 『ファイト・クラブ』(デヴィッド・フィンチャー)
  4. 『湖のランスロ』(ロベール・ブレッソン)
  5. 『SAFE』(トッド・ヘインズ)
  6. 『ベルベット・ゴールドマイン』(トッド・ヘインズ)
  7. 『コリン・マッケンジー/もう一人のグリフィス』(ピーター・ジャクソン、コスタ・ボーテス)
  8. 『夜の女王』(アルトゥーロ・リプステイン)
  9. 『死神博士の栄光と没落』(エロール・モリス)
  10. 『イグジステンツ』(デヴィッド・クローネンバーグ)

     かつてフランクフルターは「夢見るだけじゃ駄目。自分でならなきゃ」と歌った。思えば映画に近づくために、ぼくは批評を書きはじめたはずだった。書くことで映画の一部になろうと思っていたのだ。でも、ただ試写室に来る映画を見て評を書いてるだけで映画に近づけるわけがない。みずから行動しなければ映画は近づいてこないのだ。だから自分からフィクションの中に飛びこみ、現実と虚構の境目をかきまわしてまぜこぜにしてやらなきゃならない。そういうことを考えた一年。


12/7(火)
 ところで最近見つけてたいそう気に入ったサイト。いい話がいろいろ詰まっているが、中でもお勧めはマイケル・ダグラスの息子(19歳)がキャサリン・ゼータ=ジョーンズのポスターを部屋に貼るほどの熱狂的ファンだったっていう奴……世の中にはへたれラブコメ漫画かイタリア艶笑コメディみたいな話が本当にあるんだねえ。

 なんとあの人からクリスマス・カードが!


12/8(水)
 東映で『ブギーポップは笑わない』試写。
 まず、いい方。原作のファンにはイメージを(そんなには)裏切らないものになっている。キャラクターも全員出てくるしね。
 というわけで義務は果たしたのであとはダメな方。脚色が最低で、ただ原作をダイジェストしただけである。普通の脚本家なら、この原作を渡されたら話をバラして時系列にそって再構成するはずである(なんなら箱書きしてみせてやってもいいぞ)。ところがいったい誰の意志なんだか、原作そのまんまのオムニバスにしたもんだから、構成の弱さがそのまま出てしまってダレまくり。そのくせ、原作のいちばん活劇的な部分を改変してダメにしちゃうんだからどうしようもないよ。演出とか演技とかに関しては、とやかく言う以前のレベル。

 その足で恵比寿に出かけ、ガーデンプレイスでミステリ翻訳系忘年会。翻訳家や編集者が情報交換をするところなんだが、みなぼくの顔を見ると「今訳してる本に〜って調子の殺人事件が出てくるんですけど、これ実在なんですか?」って訊いてくるのはなぜだ。大森望をつかまえて『ブギーポップ』を「なかなかいいよ」と言っていた件について追及するも、大森と議論してもラチがあかんということを再確認するだけの結果に終わった。だって何に対しても、いちばんダメなところをとりあげて「そこがいいんだ」って言い張るんだもんなあ。


12/9(木)
『知的D級生活のススメ』、『と本女の世界』(メディアワークス)送ってくる。なぜいきなり?

『むずかしい愛』(柴田元幸編 朝日新聞社)、『愛』(ウラジミール・ソローキン 国書刊行会)、『愛奴』(前田寿安 青林工藝社)買う。愛の本ばかり。「愛を乞う人」って感じですか?


12/10(金)
トーキングヘッズ#14 トーキョーキューティーズ』届く。なんかちょっと変わりましたね。うーん、次くらいはぼくもなんか書けそうな特集をよろしく(と言うだけは言っておこう)。

 パルコ・ギャラリーでジョン・ウォーターズの写真展。なぜかオープニングに招かれていたのでXマスプレゼントを持って出かける。写真はなかなか楽しいのもあって、一点ぐらい買ってみるのもいいかもしれない。それにしても顔を見たとたん「やあ、なんかオウムのボスが釈放されたんだって?」と言われたのには参った。そんな話をジョン・ウォーターズからふられるとは(笑)。ミイラ問題についてはもちろん知っていたよ(トホホ)。


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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / yanasita@gol.com