やっぱり石田純一もあんな感じなんでしょうねえ(当事者談)
◎今月のお仕事 『ジェフリー・ダーマー/死体しか愛せなかった男』(ブライアン・マスターズ 原書房)発売中。
〈イーター#6〉(テレグラフ・ファクトリー)にインタビュー載ってます。前にはバクシーシ山下、後ろには村崎百郎。
3/16(火)
6月にユーロスペースでやるイアン・ケルコフ映画祭のための試写でケルコフの映画を3本見る。ケルコフはアムステルダムをベースに赤裸々な性と愛を追求してスキャンダルを起こしている映画作家である。と聞くとなんかポール・バーホーベンみたいでしょ? 当然昔から興味があったので、三本立てで見てみた。処女作の『獣のようにやさしい人』はちょっとクサイんだけどまあ悪くないとこもある、安っぽい(ただやりたいだけ)ラブストーリーを描いた佳作。『連続殺人者の告白』はなんとケネス・ビアンキ(ヒルサイド・ストラングラー)の肉声も聞ける殺人マニア垂涎の作品である。あと『クラッシュ』や『残虐行為展覧会』からの引用や、バンディやマンソンやエド・ケンパーの告白からの朗読もある。まあ、ぼくが字幕をやらんでどうする、といったような作品だ。もう一本のことは忘れたい(ので忘れた)。
いいかげん疲れているのだが、まだ帰れない。7時からプレノン・アッシュ1年半ぶりの公開作品とかいう『ムーンライト・ドライヴ』の試写があるのだ。前から売り込まれているのでさすがに逃げられない。で、見たんだけど、疲労が増しただけだった(ちなみに山根貞男もお疲れコースをこなしていた)。殺人鬼が出てくればいいというものではない。妻とビール飲んで帰る。
3/17(水)
東和で『シンプル・プラン』。スコット・スミス原作脚本、サム・ライミ初の一般映画である。ライミ・タッチを見事に押し殺した重厚な作品であった。ライミとしてはオタク部分は全部テレビ(『ジーナ』とか)で使ってしまっているらしい。大人な映画を作られてしまうことには一抹の寂しさもあるんだけど、ま、ここは素直に喜んであげることにしよう。
神保町でちょっと買い出しする。『ホラーウェイヴ#02』(ぶんか社)、『デイヴィッド・リンチ』(クリス・ロドリー フィルムアート社)、『ロバート・ロドリゲスのハリウッド頂上作戦』(ロドリゲス 新宿書房)、『退屈な読書』(高橋源一郎 朝日新聞社)、『旅の王様』(四方田犬彦 マガジンハウス)。重たい荷物をかかえて家に戻ってくると、そこには新宿書房からの封書が! やめて! 許して! やっぱりダブってしまいましたよ。
3/18(木)
『セレブレーション』試写。デンマークの無名監督が作ったドグマ映画である。ドグマというのはラース・フォン・トリアーを中心にしたデンマークの監督四人が「映画作りの十ヶ条」みたいなのを決めて、それにしたがって映画を作るということにしたって奴。この話を秘宝の田野辺くんにしたら「ひとつ、太陽に背を向けて立て、とかそういうのですか?」と言っていた。このネタがわからない人はもうすぐ洋泉社より発売される二階堂師範入魂のマカロニ本をお買い求めのこと(以上宣伝)。
で、ドグマ自体は「殺人や武器を使ってはいけない」とか余計な項目があるんで全面的賛同とはいかんのだが、コンセプト的にわりと理解できるところもある。
今週はなぜか飲み会ウィークになってしまって、今晩は松竹富士のH、フリー編集者一人とうち夫婦計4人で飲む。話題はもちろん松竹富士消滅(笑)。だが最大のお笑いはこの編集者の人(特に名を秘す)がその昔羽賀研二くんに迫られたことがあるという話だった。女性誌でグラビア撮影中、ロケバスで移動してるときトンネルに入って暗くなったらいきなり手を握ってキスを迫ってきたという。いや都内で良かった、関越とかなら絶対ヤられてるよね。なんか身近なところに歴史の証人がいてびっくり、みたいな。
『守護者』(グレッグ・ルッカ 講談社文庫 古沢嘉通訳)、『ヤボテンとマシュマロ』(杉作J太郎 メディアワークス)届く。
3/19(金)
ずっと引きずってる仕事の件で打ち合わせ。なおもしばらく引っ張る。
夜、しばらく会っていなかったウンチ業界のアイドル、三和のウッチー&木村くんと飲む。大久保の屋台村に出かけたんだけど、入ったとたんに店員が十人ぐらいむらがってくる。ようするに屋台村なんで店がいろいろ入っているわけなんだけど、店員はみんな勝手に自分の店の品ばかり売りこんでくるのである。注文しないと許してもらえない。もう大変な店。
話題はゲス鬼畜サブカル界のうわさ話全般。小さな狭い世界の話だが、一度喧嘩になると波紋だけは大きいのでなんとなく大きなことをしているような気になってしまうつまらない世界の話だ。ま、出そうな名前が出ていた、と思っていただけば結構です。
3/20(土)
国際交流フォーラムで『深夜の歌声』。レスリー・チャン主演でリメイクされた『夜半歌声』のオリジナルで1937年作品。上海の伝説的怪奇映画監督の特集、というんで見に行った。ま、ユニバーサル・ホラーはよく勉強しているね、という映画。『オペラの怪人』なんだけど最後は『フランケンシュタイン』になっちゃう。なんか『ダークマン』みたいだなあ(逆だろう!)。怪人の描写なんかにちょっと妙な味があって、カルトになるのもわかるって感じ。
その続編『続・深夜の歌声』は、まあホラー映画の続編であるからして……黒マントの怪人が中国の寒村を歩いてたら石を投げられ、畑でじゃがいも盗んだりするのは情けなくてよかったっす。
添野が来ていたので一緒にユタへ。帰ると『マカロニアクション大全』(二階堂宅也 洋泉社)が届いている。イタリア娯楽映画についての最高最後の研究書。食事を一食抜いても買え!
3/22(月)
町山来訪。秘宝リニューアル計画のためまたも来日の町山であるが、実家ではBSが見られないため、アカデミー賞がてらいろいろ打ち合わせに来たというわけ。で、アカデミーを見ながらいろいろ悪口を言う。一応メモの用意はしてたんだけど、ただバカ話してただけだったな。ま、いつものことか。アカデミーでいちばん面白かったのは、やっぱエリア・カザン登場のとき、誰が拍手したかですねえ。ニック・ノルティは恐かったが(笑)。
いろいろバカ話(秘宝の次号特集の件や恐るべき香港映画『雌豹』など)をして、結局5時ごろ帰っていったのことよ。
3/23(火)
ヘラルドにたけしを見に行くが、満員で追い返される。がっでむ。しょうがないんで近藤書店で『活字狂想曲』(倉阪鬼一郎 時事通信社)購入。いや、ぼくも普通の会社入ってたらこんなんなったかしらん、とか思いました(笑)。
夜はロフト・プラスワンでトークがある。佐川一政仕切り(ノー仕切りというべきか)で、参加者はぼくと森達也(『A』の監督)、山崎哲。なんか山崎哲の言うことに逆らってばっかいたら、異常に嫌われてしまいました(笑)。だって「麻原が喋らないと、彼は神になってしまうかもしれない」とか深刻ぶって言うんだもん。「そんなんマンソンと一緒じゃん。カルトは自壊か爆発かどっちかなんだから、珍しいこっちゃないよ」って言ったら「“カルト”とか聞いたような言葉を使ってもぜんぜん意味ないんだよ!」だって。でも麻原とマンソンの比較なんて初歩の初歩。そのくらい勉強しといて欲しいぜ。まあ「昔はゲバ棒ふりまわして楽しかったけど、今時の若者は……」みたいなことを言うジジイには無条件で反発から入っちゃう人間なんで、そこんとこは適当に割り引いといてください。
BOXの山ちゃんと平野勝之監督が来てくれたので、ちょっと飲む。北海道旅行の話など取材。
3/24(水)
渋谷に出かけ、シネカノンで『チャパクァ』。ふだんよく「思いつきで映画作ってんじゃねーよ!」などと陰口をたたいているが、これほど思いつきで作ってる映画を見たのははじめてだ。実はこの映画のことは山田宏一が『友よ映画よ!』の中でボロクソに書いていて、その書きっぷりのせいでムチャクチャ見たかったんだ。中身? 『友よ映画よ!』を見てください! ウィリアム・バロウズ、ギンズバーグ、ピーター・オルロフスキといった面々が出ているんで、そっち方面の趣味の人(だけ)は必見。
シネ・アミューズのそばにあるドナテロでアイスを食ったあと、7時から調布映画祭の人たちと会う。なんか世間話をした感じ。
3/25(木)
ちょっと原稿の都合があるんで『マイティ・ジョー』を見ないといかん。てんでブエナに出かけたんだが、電車がすぐ来たもんで30分も前に着いてしまった。絶対に混まないとわかっている試写にかぎってこうだ(笑)。
映画は特に感想なし。いや、リック・ベイカーの猿スーツが素晴らしいのは見る前からわかっていたし。「嘘だと言ってよ、ジョー!」とか「シューレス・ジョー」とか「ジョー・ヤングをよろしく」とか見る前から考えていたくだらない駄洒落しか残らないのである。最近、どうも映画を見てもなんの感想も持てないことが多いんだが、これってひょっとして映画評論家の耐用期限が来たってことなんだろうか? もう評論家失格? でも、したらオレ何すればいいの?
3/26(金)
雨がふってたんで家にこもってました(張り子の虎)。
3/27(土)
『メランコリア』(森園みるく+村崎百郎 ソフトバンク)、『鈴木の人』(塔島ひろみ 洋泉社)届く。『鈴木』はなんかいろいろあったみたいだけど出てよかった。おもしろいからみんな読みましょう。
昼間、柏VS清水の試合をテレビ観戦。いや燃えたなあ。Jリーグのレベルってすごく上がってませんか? すっごくいいゲームでした。思わず何度か声を出してしまった。その後神保町に出かけ、ちょっと本屋をあたって『夢小説、闇への逃走』(アルトゥール・シュニッツラー 岩波文庫)購入。なぜかわかった人は鋭い。しかしもう2、3ヶ月でカバーが変わって本屋にずらりと並ぶだろうから、そうなったらイヤでもわかるでしょう。
その足で渋谷にまわり、トーキングヘッズの新刊出版打ち上げの会。今回、ぼくは何もしていません。何冊か原書を貸したくらいか。大森望、みらい子などとしばらく話す。大森望とはアツくSFを語る、つーか。あと某所での件についていろんな人から糾弾されましたが、いや、全面的にオレが悪いんです、はい。
3/28(日)
……といったような件とは関係なく、久しぶりの温泉旅行。上野に集合して普通列車を乗り継ぎ、福島・新白河へ。メンバーはPSCのI、大林千茱萸、あとテアトルの人とかフリーの編集の人とかいつもの顔。もーなれたメンバーなので、時間と場所を伝えるだけで、各自適当に用意してくるので簡単だ。駅を降りるとマイクロバスで山道を40分ほど飛ばす。着いたころから雪が降りはじめて、夜には一面の雪景色になってしまった。まさかこの時期、雪見風呂になるとは思わなかったぜ。一度露天に入ってしまうと寒すぎて外に出られない。もうずーっとつかったっきり。
それにしてもここはなかなか開放的な宿で、河原にある露天風呂が宿の部屋から覗けるのだった。最初は男湯だけだと思っていたが、実は女湯も見えることが判明。ガラスに貼りつく。
3/29(月)
多すぎるくらい豊かな朝飯を食べ、出発前にロビーでくつろいでいたらなんか大声がする。なんだろう……と思って見たらニュースステーションでおなじみ菅沼栄一郎氏であった。家族連れだったのだが、どうやら定宿であるらしい。ニュースステーションのスタッフはみんなよく来る、と宿の人は誇らしげに語るのだった。ということは渡辺真理があの露天に来るのか!?!?! うーん、そのときは双眼鏡もって行きます。
帰りには餃子を食いに宇都宮で途中下車。車中で宇都宮在住者に電話取材をし、「みんみん」と「正嗣」のはしごで食う。うまいのはもちろんだが、値段が安いのがいいのお。外で待っているとき、右手がフックになった建設作業員が通りかかる。妻曰く「サイバーパンクみたい」ってそれはちょっと違うぞ。
3/30(火)
仕事をしてたが、友人に不幸があって夕方から電話攻勢。
3/31(水)
不祝儀でICUの教会に出かける。やたらだだっぴろいICUキャンパスは満開の桜並木。葬儀のあと、町山、秘宝タノベ、大林千茱萸、PSCのIらと近所のファミレスへ。まーなんですよ、キネ旬への襲撃計画を錬っているような格好っていうか。とりあえずライク・ア・ヴァージンの意味について話しあうとか。ちなみに車に人が乗りきらんかったんで、タノベくんはトランクに入って運ばれたのだった。
帰ってビデオ録画しておいたブラジルVS日本を見る。しょっぱい試合。森岡はすばらしく良かった。全体に後ろの方はいいんだけど、あいかわらず点取れそうもないなあ。やはり小野をトップに入れるとかしないとダメなのでは(よく考えたら、ブラジル相手にこんなことを言ってるのってすごいことなのかもしれん)。
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Kiichiro Yanashita /
柳下毅一郎 / yanasita@gol.com