◎今月のお仕事 『車掌#18』41大特集では柳下家の秘密がすべて暴かれる!
『ファビュラス・バーカー・ボーイズの地獄のアメリカ観光』洋泉社より12/18発売!
12/31は恒例年越しオールナイト@BOX東中野 紅白は大スクリーンで!
終わってからフリー編集者のTとちょっとお茶して、某社への企画売り込み。これが通るとまたいっぱい原稿を書かなきゃいけないんだなあ。調べものは好きだけど、原稿を書くのは嫌だ、というのがぼくの最大の問題。ま、わりと通りそうもない企画なんだけどね。
8時半から新宿で映画業界系忘年会。会場はなぜかてあとろん(でもカラオケはなし)。主催者はQuickJapan今月号に1ページのプロフィールが載ったアルバトロスのK(もちろん宇川くんは気が狂ってるけど、あの原稿をそのまま載せるQJの編集者もキチガイとしか言いようがない。なんせ見出しが「あのK井俊太郎の新作」なんだよ。「あの」ってどこの話だよ!)ほか数名。会場にはぴあのSや映画ライターのW他知り合い多数、知らない人多数。ふだんはパーティに行ってもあまり友達の増えないぼくだけど、今日はいろいろ話して楽しかった。いちばん笑ったのは『少年エース』編集のK氏と会ったときで、なんと彼は昔二階堂卓也氏の部下として働いていたことがあるという。しばらく二階堂話でもりあがる。二階堂卓也が試験官だったので、某社の入社試験では「アンソニー・M・ドーソンの本名は?」とか「ルチオ・フルチは何本見た?」とかそんな質問ばっか出るそうな(笑)。
その後杉元助教授を囲んでお食事。杉元先生、近大であった催眠暴行事件の話になって「きっとやってたでしょうけど関係ないですよ。近大じゃ殺人でもしないかぎりクビにゃなりません」と言ってました(笑)。まあ近大だからな。
その後Ken&Lauraと食事。アインシュタインの脳味噌の話をしたら「そう言えば、ナポレオンのペニスもどっかに保存されてるのよね」と言ってました。
映画秘宝のベスト。
順位は相対的なものだが、中には絶対的なものもある。たとえばカーペンターは絶対に10位の映画監督であって、どんな映画を作ろうともベスト10での順位がこれより上がることはなく、かといってどんな駄作でもベスト10からはずれることはない。これと同様に世の中には作品を作ると必ず1位になってしまう映画監督というのもいるんだが、そういう人はたいていもう死んでしまっているので、作品がかちあって困ることはあまりない。今年も絶対1位の映画は見つからなかったので、とりあえず人が死ぬ映画と気狂いが暴れる映画を並べてみた(旧作が多いのはぼくが年寄りだから)。あと、ワーナーはくれぐれも『ブッチャー・ボーイ』をお蔵にしないように。『チチカット・フォーリーズ』を見逃した人はざまあみろのこと。
ワースト
別にそんなに腹が立ったわけではないのだが(あんなもんだろうと思っていたから)、ともかくメグ・ライアンが嫌いなので。今いちばん目障りな女優である。たかが芸能人のくせに、自分が賢いと思ってるところが鼻につく。なんかの間違いでトロマの映画に出て、ミミズでも食わされてしまえ。
ロサンジェルスの片隅にジュラシック・テクノロジー博物館という名の小さな博物館があるという。ジュラシックってジュラシック・パークのジュラシック? ジュラ紀のテクノロジーって? そこに展示されているのはカメルーンに住む異臭を放つ巨大蟻の標本だ。その蟻はある種の菌類の胞子を吸いこむと頭から角を生やす。あたかもその菌にコントロールされるかのように、蟻は木を登りはじめる。飲まず食わずで木を登りつめ、精根尽き果てるとその場で死ぬ。するとその角から菌の胞子が地上に向かって降り落ちるのだ。あるいはアルゼンチンの偉大な生理学者ジェフリー・ソナベンドの記憶喪失にまつわる研究がある。ソナベンドは美しいルーマニア人ソリストの歌を聞いたとき、霊感に打たれて平面と円錐が交差する記憶モデルを考案したのである。あるいは藁葺き屋根を貫通できる特別な蝙蝠はどうだろう? その存在を突き止めた科学者は鉛板を組み合わせた巧妙な罠を作って、見事捕獲に成功するのだ!
ここら辺でそろそろ見学者は眉に唾をつけはじめる。これは巧妙かつきわめて洗練されたジョークなのではないか? X線を発射する蝙蝠も、臭いを放つ蟻も、さらにもっともっと奇怪な展示物も、どれもこれもただの冗談なのじゃないか? そう思ってこの博物館を調べはじめたジャーナリストは意外な“真実”を知る。とても本当とは思えないことが実は事実であり、いかにもありそうなディテールは真っ赤なこしらえものだったりする。ジュラシック・テクノロジー博物館ではフィクションとファクトの境目はかぎりなく曖昧だ。どこまでが真実で、どこから嘘がはじまるのか。それは創設者ウィルソン氏の頭の中を覗かないかぎりわからない。いや、ひょっとしたらそこを見てもわからないのかもしれない。そもそも、真実かどうかなんてたいした問題じゃないのかもしれない。
この本でいちばん好きなエピソードは展示物を一渡り見たあと、事務室に置いてあったなんの変哲もない鉛筆削りから目が離せなくなってしまった人の話だ。その鉛筆削りが途方もない秘密を秘めているような気がしてきて、どうにもとまらなくなってしまったのだ。そう、世界は見かけどおりのものじゃないし、神秘はどこにでも存在するのである。
ただし、訳文にはちょっと問題があって、「……しかし私が今まで聞いたうちで最高の表現は彼の妻ダイアナから聞いたもので」みたいな文章が頻出する。減点1。
7時、渋谷で『RIP/ジョー・コールマンの肖像』見る。ジョー・コールマンというのはアウトサイダーなお絵かきの人である。いきなりエド・ゲインの絵を描きながら「エド・ゲインや、ハリー・フーディニ、トッド・ブラウニングなんかに興味が……」ってそれまるっきりオレと同じなんですけど(笑)。「コネティカットにあるP・T・バーナムの博物館に行って奇形の標本を見たのが忘れられない」とか言うんだが、どれもこれもこないだまで必死こいてやってた話ばかり。『アメリカ地獄観光』をもう一度復習しているみたいだった。映画はまずまずだが、鬱陶しかったのが友人として登場するジム・ジャームッシュ。やっぱ見栄えばっか気にしてる映画監督なんてロクなもんじぇねーや。アップリンクの人から『エデンの門』(イーサン・コーエン アップリンク/河出書房新社)、『DICE#26』いただく。儲かった(笑)。
帰り道、書泉に寄ったらすでに本屋に並んでいたよ。