LA旅行(さわりだけ)

◎今月のお仕事 大森望、會川昇と怪獣鼎談(『SFマガジン』98/9)         


7/16(木)
 徹夜で成田にたどりつき、大韓航空でLAへ飛ぶ。よく考えたら、大韓航空に乗るのはこれがはじめてなのである。飛行機は満席だが、食事はなかなか悪くない。ビビンバが出るのには驚かされた。機内上映はアダム・サンドラー/ドリュー・バリモアの『ウェディング・シンガー』。二本目だったので、前半を寝過ごしてしまった。見たい映画を機内でやられるとちょっと困るね。どうでもいい映画なら喜んで見るんだけど、本当に見たい映画はあんな劣悪な条件下では見たくないものである。ドリューちゃんちょっとデブってますが、ぼくは全然オッケーです。ハイ。
7/17(金)
 メラトニンとワールドカップによる自家時差ボケのおかげで快適に八時間眠る。今回はシルバーレイクのtosh&lun'na宅に居候しているので、移動手段がない。しょうがないんでバスである。LAでバスに乗るなんて……って感じですけど、まあ乗ってしまえばそれだけのことだよね。とりあえず映画を見なければならないんでハリウッドへ。サンセットのシネラマドーム(ジオデシック・ドームの巨大映画館)で『スモール・ソルジャー』。なんたってジョー・ダンテである。ほとんど『グレムリン2』って感じで、邪悪なおもちゃの兵隊たちがとっても素敵だった。最大のギャグはなんとキャスティングにある。おもちゃの兵隊のリーダーはトミー・リー・ジョーンズが声をあてているのだが、その部下たちがアーネスト・ボーグナイン、ジム・ブラウン、ブルース・ダーン……って『特攻大作戦』じゃねえかよ! 対するおもちゃの怪物たちの声はクリストファー・ゲストほか『スパイナル・タップ』な人たちがやっている。バービーの声はサラ・ミシェル・ゲラー。

 ハリウッドまで歩き、LA最大のマガジン・スタンドでTrue Detectiveとかその手の雑誌をどかっと買う。さらに歩き、Larry Edmondsで……とかいつもの買い物コース。4時からマンズ・チャイニーズ・シアターで『Xファイルズ』。テレビシリーズを見ていないぼくにとってはまったくの謎。というか、「陰の世界政府」の連中が何をたくらんでいるのか全然わからなかったんだが、どうもわからなくってもいいものらしい。だって、人間をグレイに変身させて誰になんの得があるの? ま、世界には謎が多いらしいね。帰って町山にtel。


7/18(土)
 朝、仕事に行く大家さんに送ってもらってサンセットのvirgin megastoreへ。サンセット5で『the opposite of sex』。クリスティーナ・リッチが17歳で家出してホモの男を誘惑して妊娠して金と遺骨を持ち逃げする少女を演じるブラック・コメディ。彼女のキャラクターにほとんどのっかている。それにしてもクリスティーナ・リッチはますます安達ゆみ、というか永遠のロリータ化しつつある。それでファム・ファタルだったりするもんだからねえ。今ものすごい勢いで映画に出まくっているのだが、なんか異常にアンバランスな感じがして、すごくヤバイのであった。あと、シェリー・デュヴァルみたいな顔をしたリサ・クドロウが良かった。最近どうもセブンティーズな感じでいい塩梅のブス女優が増えてるような気がするんだけど、どんなもんかしら?

 ヴァージンで『ビッグ・バッド・ママ』とか買う。夜はコリアン・タウンで韓国シャブシャブ。服にエゴマの臭いがついてしまった。


7/19(日)
 暑いので一歩も出ないで仕事に励む。ったって本を読んだりビデオを見たりしていただけ。『ワイルド・パーティ』を見る。このところずっとメイヤー映画を見直しつづけているせいだろうか。なんか大人しく見えてしまう。別につまらないってことじゃなくて、傑作だとは思うんだけど。でもこの後のキッチュの域に突入した乳のデカさとか思うとね。なんか全然普通の映画だよね。

 ところで、現在LAでゲイ&レズビアン映画祭が行われているのだが、その中で『Leather Jacket Love Story』という映画が上映されている。ありがちなレザー系ホモ映画なわけだけど、監督がデヴィッド・デコチュー。いやデコトーか、まあなんでもいいんだけど、このデコチューってあのデコチュー? あの……いくら考えても作品名が出てこなくって、出てきたとしても意味がないけどともかくロジャー・コーマンの下でサイテー映画を作っていたデコチュー? だとしたらすごいことだと思うんだけど。


7/20(月)〜7/30(木)
 月曜日に町山がLAに来て、二人でラスヴェガスに飛んで以降はあまりにめまぐるしく町山のテンションは高く、それに対応しているだけで終わってしまってとてもじゃないが日記なんか書いてる暇がなかった。もう死ぬほど疲れたよ。一人で移動するときの倍ぐらいのことをやったんじゃないか。いくつか記憶に残るディテールを列挙しておく。

 これでもやったことの10分の1くらいなのである。あーいそがしかった。もうなんもやる気せんよー。このすべては年内に本になって発表される、ような気がする。


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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / yanasita@gol.com