東映マーク

◎今月のお仕事  ニール・ゲイマン作のアメコミ『サンドマン』インターブックス)日本版に解説を書きました。
         『ぴあ』の映画オフシアター欄の隅っこでコラム連載(4/13発売号より)
         4/27(月)2:20PM〜 文化放送「吉田照美のやる気マンマン!」に出演。


4/13(月
 3時半、半蔵門の東和試写室でポランスキーの『袋小路』。20年ぐらい前に見てるはずですが、なーんも覚えてませんでした。初見と代わりありませんな。フランソワーズ・ドルレアックって、どうもアンニュイな役が似合うような気がするんですが、これは早死にしたのを知っているから言える後知恵だろうか。でも小悪魔って感じはあまりしないね。間がたっぷりあるのが嫌みじゃなくて心地よい感じ。ドルレアックの足が長いのもすごく心地よい。

 すぐシネセゾンへまわって『ツイン・タウン』はウェールズの田舎町スウォンジーを舞台にくりひろげられる成金オヤジと不良少年と悪徳警官の大混戦! みたいな。最近英国の地方映画シリーズが流行ってますな。これだけど、なんか妙な映画だった。映画としては別に妙なところはないごく普通の映画なんだけど、なぜこれが今公開されるのかわかんない(知ってる俳優は一人きり)。かなり残酷な話をへらへら笑いとばしてる感じのところがいい。それにしてもあのオヤジがミニカーで遊んでるのはなんなんですかね。

 その後池尻の銭湯(つうか温泉)に出かける。いつもの温泉組とかで近場の温泉であったまるっていうか。でも露天がチープでちょっとがっかり。


4/14(火)
 『アダルト系』(永江朗 アスペクト)届く。あとは原稿とか書いていたら一日が終わってしまったとよ。
4/15(水)
『あ・じゃ・ぱん』(矢作俊彦 新潮社)読む。今頃。なんで今頃かって言うと、図書館で借りてるからなんですね。いや別に買ってもいいんですけど、どうせ家には置いとかないで古本屋に叩き売ってしまうんだからなあ。それともやはりムダが資本主義を動かすのだ!とか言ってどんどん消費しないといけないのでしょうか。理屈としてはわかるけど、自分が無駄になるのはちょっと嫌かも。
 中身はくだらないギャグにケラケラ笑っていたら読み終わってしまいました。このリーダビリティの高さはすごいよね。エド・ウッドとブルース・リーまで出てくるのには参った。それにしても、ハードボイルドってSFと親和性高いんじゃないかって気がしてならない。だって、ハードボイルドって、自分のはまりこんでしまった世界の仕組みを知ろうとする物語でしょ。ネオ・ハードボイルドってのがどうも駄目なのは、そこんとこの気概がない(最初っから世界なんかわかるわけがないって諦めている)からだって気がするんだけど。
4/16(木)
 先週に引きつづき『キングダム2』の後半を見る。まあ面白いんだけど、第一シリーズの問答無用な面白さはなくなりつつあるのが残念。シリーズものの宿命で、キャラクター芝居になっていってしまうんだよな。あと、病院のヘゲモニーをめぐる闘争とオカルト話が拮抗してるところが魅力だったんだけど、なんかこうなってくると何が起ころうが最後はみんな破滅だ! みたいな気がしちゃうんだよね。まあこれは三部作の2部目(『帝国の逆襲』)の宿命なのかもしれない。

 その足でヘラルドへ出かけて、ヘラルドのTら二人、元渋谷系・現大森系の劇場支配人Hと麻雀。なんか百点棒の差で3位になってウマの出入りが+-20とかそういうのが多かったせいで負け負け。後半粘りがなくなってました。帰宅4時。


4/17(金)
 3時半。半蔵門でフィリップ・ガレルの『内なる傷跡』。荒野とか海岸の岩場とかにニコが立っている。そしてニコの歌が流れる。それだけ。宣伝マンがいみじくも「ニコのミュージック・ビデオ」と言っていましたが、いやもうそのまんま。当然ながら「ニコがかっこいいなあ」とかそういう白痴のような感想しか出てこないのだった。

 渋谷にまわってちょっと買い物。『死体のある風景』(第三書館)は"Death Scenes"のかなり粗雑な翻訳。"...killed by Sex Fiend"が「淫靡な悪魔により殺害」になってたりする。テキストbyキャサリーン・デューンとか。誰だそれわ。あとタワーでリチャード・ヘルの小説とかローラーガールが表紙のFemme Fatale(最近はシネファンタスティックより全然おもしろいっす)とか購入。9時、シネアミューズで『ガキ帝国・悪たれ戦争』。行ってみたら立ち見も出る超満員で見知った顔がゾロゾロ。例によって東京中の映画マニアが集まってきたか(笑)。今を去ること17年前、猫の肉を調理して出すシーンが某ハンバーガー屋の逆鱗にふれて上映中止・ネガまでジャンクされたとされる幻のフィルム。ちゃんとあるんじゃんかよお。いやもうピカピカのプリントでした。で、問題の中身なんだけど、なに、これで中止? どこがどうまずいのかってことですが、ハッハこんなところでネタばらすわけがないでしょ。井筒ってはっきり言って下手クソだと思うけど、チンピラの安い青春を作らせると実にはまるね。ヒロインがもうちょっと可愛いけりゃなあ。


4/18(土)
 またしても『GON!』。

『東大卒の鬼畜』がウリのサブカル界随一の論客・柳下毅一郎に巨根説

 なんですかこれは(笑)。まあ『GON!』編集長と村崎百郎のあいだでこんな会話があったと思いなせえ。
「実は柳下さんに原稿を頼みたいんですが、書いてくれるでしょうかね」
「何を言ってるんですかあなた、これまでさんざん失礼な噂をばらまいておいて。そんなお願いをする前に「実は巨根」とか「千人切りの過去あり」とかまずいい噂をばらまかなければなりません」
 で、これ(笑)。ま、そういうわけで巨根ですから、ぼく。お疑いの女性がいらっしゃいましたら、言ってくだされば個人面談に応じます。


4/19(日)
 仕事かな。
4/20(月)
 イマジカで『ねじ式』BOX東中野で公開される石井輝男監督・原作つげ義春の大問題作。つーか。もういきなり暗黒舞踏っすからね。あまりに強引かつ即物的(石井輝男の辞書にメタファーという言葉はない!)な描写を思いっきり堪能する。常にナチュラル演技なタンバはすごいね。今年はタンバの年、のような気がする。それにしても、濡れ場になるとライトが赤くなるのはなんなんでしょうか。あと、「ファンタジー! ファック! フリーク!」のすさまじいコピーがついた予告編、最後に海辺で波がざばーんと来るんですが、あそこに東映マークが欲しかった。やっぱり。

 続いてジャームッシュの最新作『イヤー・オブ・ザ・ホース』。ニール・ヤング&クレイジーホースのライヴ・フィルム。にしても石井輝男とジャームッシュってどういう二本立てや。音楽はいいんだけど、映画はわりと紋切り型でつまりませんでした。


4/21(火)
 渋谷の青山出版社に出かけ、某映画関連本の校正渡し。あと帯とかにちょっと意見とか。なんかわかんないけど元気のいい会社である。仕事に困ったらあそこに行って頭下げればいいんじゃないか、と思った。スティーヴ・ルベルの本を出すとかなんとか言っていたような。

 秋葉原に出かけてパソコンを物色とか。やはりTP535買うかなー。でも今買うとXになってしまいそう。ぶらぶら歩いていたら、LAOXの近くでちょっと可愛い女の子に呼び止められる。「なんやねん?」って見たら裏CDROMのカタログ販売でした(笑)。マック版とWin版が数種類あって、一枚15000円だって。ふうん、とその場は通り過ぎたんだが、やっぱりちょっと……と思い直して30分後くらいに行ってみたら警察にしょっぴかれているところだった。ヤバイ(笑)。で、結局買ってきたのはダイアルアップルータだったり。そう、ISDN導入するんだよーん。


4/22(水)
 予告編のコピーを決めたのは石井監督本人らしい。さすがすぎる。わたしどものような凡人にゃあとても及ばぬ境地でしてはあ。

 昼間とろとろと仕事。飯をさくっと食って夜、BOX東中野のレイトショーで伊藤高志特集。もちろん何度目かの回顧展で有名どころは見ているんで久しぶりの再見&新作の見物になる。うーん新作はどうもなあ。森村泰昌の奴(『ギ装置M』)なんかを見てるとシュワンクマイエルみたいなことができそうなんだけど、どうなのかな? やはり『GRIM』みたいなの(空中を映像が飛び回る)が本道だろうとは思いますが。

 山形くんがホームページを作ったようだ。英語ページがメインなのか。でもウォン・カーウァイはね、そりゃちょっと趣味悪すぎだよ。


4/23(木)
 昼間NTTが来て工事の日時を決める。夕方出かけて、銀座で松竹富士のH、エスクァイアのT、中原くんとで飲み会。江戸木も呼んでいたが仕事の都合で来なかった。某の退職問題で盛り上がりまくりっつーか中原くんしつこすぎ。
4/24(金)
 『ブルース・ブラザース2000』見る。まあ最初から期待はしてなかったんだけど。いちばんダメだなあ、と思ったのは最後にボ・ディドリーのバンドで出てくるアイザック・ヘイズがスパイク・リー・ジョイントのベースボール・ユニを着ている点。スパイク・リーなんか小僧っ子のはずでしょう。あなたたちにとっては。そこら辺の判断もつかなくなってるのね(別にアイザック・ヘイズが悪い訳ではないよ)。中身はまるっきり昔と同じなんだが、それでいいかって言えばそんなことはないわけで。だってジェイク・ブルーズが死んでしまったのを悲しんでいるのって最初の5分くらいなんだぜ。そのあとすぐ、とくに理由もなく「バンドやるぜ」とか言って昔のメンバー集めてまわってるし。ジョン・ベルーシの死ってそんなに軽いものだったの? ガキあやしたりして喜んでるんじゃねーよ。

 そうそう、字幕は戸田奈津子。それほど気にはなる点はなかったが、福音伝道集会での歌"John the Revelation"を「聖なるヨハネは七つの封印の本を書いた〜」とか訳してあるんですが、やっぱり「黙示者ヨハネ」か「預言者ヨハネ」って言わないといけないんじゃないの? ま、いいがかりみたいなもんですが。


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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / yanasita@gol.com