年末恒例ベスト10の季節


11/21(金)
 『別冊宝島』の殺人本で鬼畜作家デルモンテ平山とサイコホラー映画対談。あとジーコ内山も加わって座談会。@山の上ホテル。領収書が落ちないんじゃないか、ちょっと心配(笑)。中身はなんか適当な話を延々としていたが、いいのかなあ? 予定していた話(レクター博士の神への意志、とか)はあんまり全然出ずじまい。ジーコってのがどうもね。

 3時間ほどやって、その後平山、別冊のYと2時間ほど飲む。あいかわらず煮詰まっているところの平山である。


11/22(土)
 2時、インターブックスのMと打ち合わせ。ニール・ゲイマンの『サンドマン』の翻訳を出すということで、その解説を書いてくれという依頼。もちろん快諾。ゲイマンやデイヴ・マッキンについてレクチャー。
 4時。原宿のThe Sad Cafeで元SFM編集長阿部氏の結婚二次会へ。伊藤典夫先生とジョン・ウォーターズのお話とか。元早川書房の人たちがいっぱいいるんでなんかお話とかする。6時頃お開きになったが、猛烈に眠くなってきたのでさっさと帰る。

 ひと休みしてからベスト10系の処理にとりかかる。とりあえず映画秘宝。

97年フェイバリット

  1. クラッシュ
  2. ロスト・ハイウェイ
  3. 悦楽共犯者
  4. クラム
  5. マーズ・アタック!
  6. ティコ・ムーン
  7. CURE
  8. ウェルカム・ドールハウス
  9. イースト・サイド・ストーリー
  10. Foxy Brown

    まあこれはひとつの義務であるので、『クラッシュ』の首位は動かないだろう。あと『クラム』は去年もベストに挙げたような気がするけど、これはしょうがないよね。パム・グリアーは代表としてとりあえず"Foxy Brown"を挙げておいたけど、それ以外にも『コフィ』、"Friday Foster"、"Sheba Baby"と主演作を4本も見られてとても幸せだった。来年は新作が来るんだなあ。タランティーノ、偉いぞ。しかし、こうして見るとなかなか面白い映画が並んでいるではないか。リンチとバートンとクローネンバーグの新作が見られたんだから、いい年だったと思う。来年にはジョン・ウォーターズとサム・ライミあたりを希望したい。

97年トホホ

  1. エンド・オブ・エヴァンゲリオン
  2. 枕草子
  3. ジョン・ランディスのスチューピッド

    エヴァンゲリオンというのはやっぱり一種のアウトサイダー・アートとしてとらえるよりないのでは、と思った。ジョン・ランディスはいくらなんでもヒドすぎるので、鎮魂の祈りを捧げたい。今は星取り表をやってないので、この分野にはあまり収穫がない。精神衛生的には望ましいことである。

 あと私的ベスト10としてファスビンダーのベスト10というのを作ってみた。

  1. ベロニカ・フォスのあこがれ
  2. ベルリン・アレキサンダー広場
  3. 聖なるパン助に注意
  4. ペトラ・フォン・カントの苦い涙
  5. 不安と魂
  6. マリア・ブラウンの結婚
  7. 少しの愛だけでも
  8. 第三世代のテロリスト
  9. 愛は死より冷たい
  10. シナのルーレット

 うん。なんかいい感じ。


11/23(日)
 SFMのベストと『翻訳の世界』のベスト翻訳書があるんだが、SFMから送られてきたリストを見て愕然。オレ何も読んでないよー。しかしいずれにせよロバート・ソウヤーとかを認められない人間にとっては、まるっきりダメな年だったと言わざるを得ない。いくら5冊しか翻訳SF読んでないからって『あいどる』をベスト5に入れるわけにはいかないもんな(笑)。「今年読んだ中で5番目のSF」かもしんないけど。
 しょうがないんでちょっと買い出しに出かける。買ってきたのが、『マラボゥストーク』(アーヴィン・ウェルシュ)『Xのアーチ』(スティーヴ・エリクソン)。あとウィリアム・ヴォルマンと『花粉戦争』を読まねばならない。間に合うのかねえ。さらに『死体と暮らすひとりの部屋』(ブライアン・マスターズ)『犯罪に向かう脳』『結婚したがる女』(以上三冊はミステリ・マガジンの書評用……編集者に電話すればもらえるはずなんだが、面倒くさくて買ってしまった)と『小説たけまる増刊号』(我孫子武丸、それに『教科書が教えない小林よしのり』(宅八郎)も。『教科書が〜』はブロスの書評で取り上げようと思ってあちこちで探してたんだが……ちょっとヤバすぎる。いや面白かったんですけどね、なんかネタ的に身近すぎるんで何を言ってもまずいことになりそう。とりあえず、読みたい人はロフトブックス発行(発売星雲社)ですんで本屋で注文しよう! 三省堂神保町本店には少しだけ置いてありましたよん。
11/24(月)
 とりあえずW・T・ヴォルマンの『蝶の物語』を読む。ああ、なんかやさぐれた心にビンビン来る話。続けて『花粉戦争』もやっつける。読んでいただけで、ほとんど何もしてないかも。
11/25(火)
 3時、「バチェラー」のO来て打ち合わせ。次の回について。結局何も決めなかったけどいいんだろうか。まあ新しい号もらったからいいや。さらに読書。『Xのアーチ』を読む。まあこんなもんか。どうも1位が見つからない年である、今年は。引きつづき原稿を書いたりなど。
11/26(水)
 なんか妻がタダ券をせしめてきたので、錦糸町へ出かけて『もののけ姫』を見る。つまらん。なんか最初っから最後まで誰もかれも喋りっぱなしで、宮崎アニメ最大の魅力だったはずの絵が飛翔する瞬間がかけらもない。まあはっきり言って盛り込み過ぎなのであるね。ちゃんと作ると4時間くらいになりそう。別に結論出さないでも、煮詰まったまま絵でごまかせばいいのに。というか、そこでごまかすのが映画作家としての良心だと思うね(人間としての良心はまた別なんだろうけどさ)。

 というわけでベスト10処理の続き。まずSFM。

 

  1. 火星夜想曲(イアン・マクドナルド)
  2. 花粉戦争(ジェフ・ヌーン)
  3. Xのアーチ(スティーヴ・エリクソン)

     ベスト選定は何を選んだかと同時に何を排除したかという選択でもある。今年排除しなければならなかったのは『リトル、ビッグ』と『あいどる』。『リトル、ビッグ』はあまりに重々しすぎて時代から遠すぎるからだし、『あいどる』は軽いだけで中身が何もないからである。で、残ったのが3作だけだというのはあまりに排除しすぎかもしれないが、いくら考えてもこれ以上推賞すべきSF作品が出てこないんで、ここまで。

 もうひとつ、翻訳の世界

  1. 小説の技巧(デイヴィッド・ロッジ)
  2. 蝶の物語たち(ウィリアム・T・ヴォルマン)
  3. アイアンマウンテン報告(レナード・C・リュイン)
  4. 死体と暮らすひとりの部屋(ブライアン・マスターズ)
  5. Xのアーチ(スティーヴ・エリクソン)
  6. バートン・オン・バートン(マーク・ソールズベリー)
  7. 火星夜想曲(イアン・マクドナルド)
  8. ナチスドイツ支配民族創出計画(キャトリーン・クレイ、マイケル・リープマン )
  9. 天から降ってきた泥棒(ドナルド・E・ウェストレイク)
  10. 劇場としての手術(マックス・アギレーラ=ヘルヴェグ)

 山形3冊、柴田元幸2冊と妙に偏ってしまったが、他意があるわけじゃないのよ。ロッジの一位だけはまあいいんだけど、あとは適当。不作な年だったのか、それとも自分のせいなのか、いずれにしてももひとつ冴えなかったな。


11/27(木)
 眠い目をこすって朝11時、洋泉社に出かける。町山と映画秘宝のベスト10講評対談をやるためである。テレホンピックアップを買ってもっていくがうまく使えなくて、苦闘のあげく親子電話にしてこっちで喋りながら子電話でタノベくんが録音&メモ書きをするというかなりローテクな展開に。ほぼ3時間弱喋ってひどく疲労する。まあ町山のテンションに対応しつつ、ちゃんと合いの手を入れたり突っ込みを考えたりしなきゃいけないんだから大変なんだぜ。でもいちばん疲れたのはそれを聞かされたタノベくんだろう。

 なおベスト10の方はあまりに情けなさぎて二人で罵倒しまくり。依頼しておいて何を言ってるんだか。でも大作と話題作ばかりが並ぶんじゃあね、なんのための『映画秘宝』なのか。ちなみに1位『マーズ・アタック!』、あと『アナコンダ』が3位だったかな。と言うと面白そうなんだが、おもしろいのはそこまでである。

 なんか急にアクセスが増えたんで何事かと思ったらヤフーの新着に紹介されていたらしい。ヤフーって結構認知されてるんだね。オレ全然新着なんか見ないから知らなかった。えっと、はじめての人、これからもよろしく。


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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / yanasita@gol.com