サッカーと映画祭の日々


11/1(土)
 高田馬場のオフィス・サードへ出かける。大森望がMtGドイツ予選の練習をしたいという希望があったみたいなんだけど、なんせこの日は、ほれ、日本が引導を渡される日じゃない。だもんで試合見つつデュエルできるところないかってんでここに白羽の矢が立ったのだった。3時過ぎに着いて、テレビつけたら日本が勝ってる!思わずすべてを忘れてテレビにかぶりつき。いやあよくやった。ソウルに行った人たちおめでとうさん。信じればいつかは報われるんだね。

 ちなみに一気にどうでもよくなってしまったデュエルだけど〈バールの篭〉が強すぎてよそ見をしながらでもあっと言う間に連勝。「本番なら決勝進出」という引きだった星野先生はぼくに負けてすさまじいショックを受けていたようだった。まあ〈堕天使〉出ちゃあね。


11/2(日)
 今日から映画祭。あ、昨日からかな? まずは小手調べで『キッスで殺せ〈完全版〉』。なんか映画祭に来ていそうな映画インテリゴロがみんな集結していてすんげえイヤーンな雰囲気がただよっている。ま、オレもその一人だもんで。で、どこが変わってたんですか?(みんなでそう訪ねあっていたのであった。映画マニアと言っても知れているのお)

 終わったあと中原(VOG)、SFオンラインの添野、ソ連映画の偉い人とかと飲む。中原くんたらメチャクチャ頼むんだもんもう。食ってるだけで終電なくなっちまいましたわよん。


11/3(月)
 ファンタスティック映画祭でインド映画の『ムトゥ/踊るマハラジャ』。ところでヒロインの女の人は21歳にして主演作が60本あるそうだ。インド映画はいいなあ。歌のシーンへはいるタイミングがともかく素晴らしいのだ。あとキスシーン。岩肌を転がり落ちる二人と転がる水瓶と落ちるビーズのカットバック。まったく意味不明。だけど、ここに新しい映画文法がある! のかもしれない。よくわかんないけど。あと、格闘シーンは完全にドラゴンでした。やっぱカンフーやるときは顔をしかめないといけないとかそういう法則があるのか。

 終わったあと江戸木と飯でも食おうと思って待ってたんだが、さっさとゲストの女優と共に夜の町に消えたらしい。そりゃあ野郎と飲むよりインド美人の方がいいに決まってるよねヘヘン。


11/4(火)
 映画祭で『花嫁の寝言』。あと昔の失われたチャンバラ映画の断片集。山中貞夫はさすがだったような気がしないでもないと言ってもいいような気がしないでもないような。まあ1分ぐらいの断片しかないんですけど。

 『過去、そして惨劇の始まり』(デイヴィッド・マーティン なんとかならんのかこのタイトル)読む。なんか送られてきたんで読んでみました。解説がうるさかったです。話はすらすら読めて感想は何もありません。


11/5(水)
 サッカーダイジェストを買ってきたに決まっている。セルジオのコラムさえ心安らかに読めるのであった。ハハハ。なんでも言ってろ。日本はフランスに行くのだ。いや、もう行こうが行くまいがかまわない。ぼくはそういう地点に達してしまった。もうぼくは十分に報われたよ。
11/6(木)
 『イースト・サイド・ストーリー』 共産圏で作られていた社会主義ミュージカルのアンソロジー。労働の大切さを歌と踊りで伝えるのだ。シンデレラが魔法使いに夜中に連れていってもらったところが紡績工場だってエピソードがすばらしい。もちろんシンデレラはそこで労働によって明るい未来を切り開くのだ! あと東独のビーチ・パーティ映画(超ダサダサ)とか。〈カール・マルクスに−−彼さえいなければ、こんなものはなにひとつ生まれなかった〉の献辞がいいですね。

 タワー・ブックスに寄ったら『オール見せ物』という謎な本がある。さっそくブロスのコラムのネタにと買い求める。

 まずは中身をめくってみよう。筋肉の浮き出た写実タッチ(少年小説のイラスト調)で描かれるのは人頭蛇身のヘビ女、麗しの人魚こと水中美人、なぜかリーゼントの人面牛(いや、くだんというのかこれは)。さらにランプや金魚を呑みこんでは出す人間ポンプ、胴一つ頭二つの美女。圧倒的に多いのは蛇系で、これはスネーク・ダンス系のストリップと、ギーク系の女ターザンに二分される。日本の見せ物小屋はまず蛇からはじまった、ということまでわかってしまうわけである。
 これだけでは足りぬと言わんばかりに合間には当時売られていたとおぼしき怪しいブロマイド、呼び込みの口上、サーカスや天才犬の写真、女相撲のブロマイド(かっちょいいぜ!)に加えてストリップ小屋の看板まである。うーん〈残酷! レズビアンショウ〉っていったい何をするんだろう?

 しかし本の正体はまるで不明。


11/7(金)
 渋公で『タイタニック』試写。渋公とはまいったが、見渡してもほとんど映画評論家らしい人はいなくて、代理店系の人々であふれている。開映を待ってるあいだ、ちょっと実存的疑問にかられて(なんでこんなオチまでわかってる映画を見るために3時間も我慢しなきゃならないのかなあ)発作的に帰りそうになる。が、まあ我慢、我慢。仕事だよもを。
 中身はすべて予告編の通りで、なんら新しい発見はない。『ポセイドン・アドベンチャー』の方が百万倍おもしろかった。過去の再現にはものすごい金が使われて、そりゃもうすばらしい再現ぶり(らしい。なんせ見たことないもんで)なんだが、そんなのキャメロンの自己満足でしかないのよ。 やっぱり感動するのは水中バレリーナでしょ、ふつう。

 なお、驚愕のオチはなんとエヴァだった。おめでとう。おめでとう。ありがとう。


11/8(土)
 日本5-1カザフスタン おめでとう。ありがとう。うーんもーこーなったら行くぜーと心を決めてあちこち連絡しまくって来週の今頃はシンガポールだぜワハハ(このあと、2本も同様の電話がかかってきたのだった。社会人は一気に金にまかせてケリをつけようとする傾向があるなあ)。

 犯罪心理学の作田明先生から来信。「犯罪心理研究所」の発行する犯罪研究誌への執筆依頼。なんか嬉しいような気がするんで、なんか書こう(笑)。あーでも安請け合いだけして何を書くかぜんぜん決まってない原稿がいっぱいあるんだけどどーしようかしらん。


11/9(日)
 図書館で森博嗣の『幻惑の死と使途』、『まどろみ消去』、ジョン・クロウリーの『リトル、ビッグ』を借りてくる。クロウリーはベスト10消化用。あとはまあ、買うほどでもないかな、とか思ったもんで。森博嗣はあっという間に読んでしまいましたのことよ。

 先日からたまったビデオの処理をちょっとずつはじめている。とりあえずクライヴ・バーカーの『Lord of Illusion』。なんじゃこりゃあ。テレビ・ドラマかと思ったよ。Xファイルかなんかのエピソードにしたほうが良かったんじゃねえの。バーカーもヤキが回ったかな。


11/11(火)
 ブエナで『フェイス/オフ』ぐわああ。ジョン・ウーの最高傑作ではなかろうか。香港時代の銃弾の雨あられと死人続出スタントがハリウッドの金でパワーアップされてついに甦ったって感じ。ともかく、この映画の中では「いかにかっこよく人が死ぬか」しか追求されてない。かっこ良さのカタログみたいな映画。

 6時半、フィルムセンター『梅の一枝』。ロアン・リンユイが男装(軍服)するのが売り物というコスプレ映画。演奏はまずまず。


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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / yanasita@gol.com