広島行


8/23(土)
 朝8時ののぞみで広島へ向かう。のぞみに乗るのは生まれてはじめて。車中ではデヴィッド・ロッジの『小説の技巧』を読む。別に作家になろうと思っているわけではないが。古典的教養に欠けているので、こういう本はありがたい。ちょっと手強いけど。昼過ぎに広島に着き。路面電車でちんたらとプリンスホテルに向かう。停車場を降りてからホテルまで30分くらいあった。トホホ。炎天下荷物をぶらさげてトボトボ歩く。
 SF大会。なんかチェックインできないようなんで、とりあえず大森・さいとうの部屋に荷物を置き、企画見物。今回はなんの企画もなく、しかしなぜかゲストなので(なんで?)企画を適当につまみ食いするだけだ。SFクイズを覗き、それからディーラーズ・ルームではしもとさちこの本とか(コミケで買え!)補完機構(コードウェイナー・スミスFC)の新刊とかを買う。昔は参加してたんですけどね、補完機構。いつのまにかテクスト・クリティークとかやっているんだからすごい。しかし、今このタイトルを聞いたら、みんなエヴァ本としか思わないんだろうなあ。

 なんかヒマになってしまったんで、6時半からワンブードラフトに出てみる……ってこれブースターじゃねーじゃねーかよ! なんかコモンを15枚適当にパックしたものでした。バランスが取れるようにパックした……とか言いつつ火の玉とか入ってるし。とりあえず白黒の赤黒キラーデッキ(lost soul三枚入り)を作るけど、1勝1分の最終戦で2デュエル連続で同じ負け方をして悲しすぎー。
 腹減ったんでなんか食いに行こう、とすでに食ってきた妻と一緒に市内にくりだす。堺三保とか添野とかに声かけてたんですが、気がついたら誰もいなかった。ひょっとして、オレって嫌われてる?
 12時ごろホテルに帰着。お茶大の部屋などで酒を飲んで、いつものメンバーでくっちゃべる。3時半ごろ寝る。


8/24(日)
 朝飯を食うと11時の高速船で宮島へ。なんか全然SF大会に参加してないですねえ。まあいいや。どうせゲストだし。何年ぶりかで厳島神社にお参りして、午後には島を出て広島経由で呉線安芸津から大崎上島に向かう。10年ぶりくらいで祖父の田舎に帰るのだ。安芸津の駅で降りてびっくり。20年前の記憶から何ひとつ変わってない。フェリーで上島にわたり、さあバスで……と見るととっくに終わっているのである。でも、これは予想されたことだった。タクシー使うか、とタクシー会社に電話したら「今日は日曜日ですよ!」なんと日曜はタクシーも休みらしい。なんか凄すぎる。呆然と桟橋に立ち尽くすぼくら。
 でもさすがは田舎だけあってフェリーの係員が「どこ行くの? 原田? ××さんとこ? じゃあ○○に電話してやるよ」とあっと言う間に勝手に迎えまで手配されてしまったのだった。飯を食うともう何もやることがないんですぐ寝る。
8/25(月)
 午前中は海水浴。バスで……と思うがこれが1時間待ちの世界。しょうがないんでヒッチハイクしたらすぐに連れていってくれた。いいねえ、田舎は。大串海岸で1時間あまり水遊びし、海の家の兄イに送ってもらって帰る。それにしても上島は見事に何も変わっていない。記憶にあったそのまんまである。3時半のフェリーで安芸津に渡り、三原から新幹線で帰る。帰宅11時。それから『現代』の座談会直しを朝の3時半まで。
8/26(火)
 終日仕事。バベル・プレスから出る『洋書ハンターズ』第2弾。引き受けなきゃよかった系仕事。泣きながら原稿書く。
8/27(水)
 仕事。WIREDを立ち読み。山形が、ぼくが『TVBros.』かなんかに書いた『宮崎勤精神鑑定書』の書評に対して「宮崎とわれわれとは断絶している」と文句つけてきている。んーそれは正しいんだけどやっぱり間違っている。ぼくらと殺人鬼のあいだは断絶しているけれどそれでもやっぱり連続もしているのだ。どこから狂人になるのか、というのを決められないようなもので。ずーっと狂気が濃くなっていくと、どこかで量が質に転換するポイントがある。でもそれはここ、と決められるようなものではないのだ。狂気を見れば狂気とわかるんだけど、どこから狂気に変わったかはわからない。
 安易に「ぼくらの内なるM」とか言ってしまうとのが危険だというのと同じくらい、「あれは関係ない人々の話」と言ってしまうのもやっぱりダメだと思う。だから連続性を主張する人には断絶を説き、断絶を言う人には連続を説かなければならないのだ。
8/28(木)
 1時。松竹で『CURE』。黒沢清のホラー映画。びっくりするけど、とんでもない傑作。まちがいなく黒沢清のベストだし、ひょっとしたらジャパニーズ・ホラー史に残る傑作かも知れない。殺人シーンの何気なさにはメチャクチャしびれた。結末がちょっと……とか言う声があるのは承知してますが、洗濯機のノイズとか、どんより曇った空とかだけで完全にOKでしょう。

  『TVbros』の原稿を2回分やる。ひとつは『ノストラダまス予言新解釈』で、こいつはいいんだけど、もう一本はネタがもひとつなんでちょっと悩ましい。と言いつつとりあえず送っちゃったけど。


8/29(金)
 1時。原書房Iとサッカーの話。『ミステリ・マガジン』の書評をやっつけて9時、三宿のDTMで『死にたいほどの夜』のプレス用ビート座談会。川勝正幸、滝本誠と三人。なんかいろいろ言いますが、何を言ってもすでに天然の域、というか枯淡の境地に達している滝やんにはかなわないです。ああ、ぼくもああいう大人になれるかしら。川勝「鈴木慶一さんに言われたんだけど、『35から40まですごく辛いけど、40過ぎたら楽になる』」そーか最近のぼくの鬱はたんなる中年の危機だったのか!?(まだ33ですけどね)トホホホホ。終わったあと近くのスナックで3時前まで飲む。
8/30(土)
 山本直樹の『フラグメンツ2』買う。『世界最後の日々』が傑作すぎる。
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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / yanasita@gol.com