TVのすべて
7/1(火)
とやかくあって半月お休み。その間は五月蝿いTV取材を逃れて海外逃亡していたのだった。したらいきなり犯人つかまってるし。まあ手柄にしてもいいんだけど、ちゃんと告白しとこう。ぼくは犯人がゾディアック事件を手本にしていたとは思っていませんでした。中学生だとも思っていなかったし(まあこれはみんなそうだろうが)。しかし、インターネットの目撃談は妄想だろう、普通、とは思っていましたが。これはフジのワイドショーから取材されて、そう答えたのにボツをくらってしまった。だから言ったのに(これだけは言えるな)。
時の流れを取り戻すために渋谷はパルコブックセンターに出かけてお買いもの。『Aの愛人』(アラーキー)(なんせ元同僚が表紙になってるもんで)、『死刑囚ピーウィーの告白』(ドナルド・ギャスキンズ 扶桑社文庫)、『殺戮の〈野獣館〉』(リチャード・レイモン 大森望訳 扶桑社文庫)、『女殺借金地獄』(中村うさぎ 角川)など買う。帰ってから気づいたんだが、高橋源一郎の新刊ってまだ出てないの?
『嗤う伊右衛門』(京極夏彦)読む。旅行前に買ったのに、読んだのはけっきょく帰ってからだ。これって蜘蛛のいない『絡新婦』なのかな? あまりに見事で、ハードボイルドな感じさえする。ムダがひとつもない。なさすぎるのが欠点(笑)。
7/2(水)
で、もう終わりのはずだったのだがやっぱり続く取材攻勢。でも別に新しいネタがあるわけじゃないんで、同じことしか喋れないんだけどなあ。なんか一度引き受けてしまうと、次から断りにくくなるのが困りものである。で、結局は「同じことばっかり何度も喋りやがって、いい仕事してるね」って言われる羽目になる。トホホ。今日は1時から『女性自身』。「(目を潰しているので)知り合いの犯行の可能性が強い」と言ったのが「当たりましたね」というんで再度の取材。そういうもんじゃないと思うんだが。前回と同じことを簡潔にまとめて話す。写真? 同じ奴を使ってください! あまり簡潔なので、30分ほどで向こうも聞くことがなくなってしまった(笑)。
その後ピーウィー・ガスキンズの本を読む。訳のせいか凄みが感じられないのが残念だ。4時からまたもTV朝日、『ザ・スクープ』の取材。今度はメディアの影響について。「そりゃああるでしょ。ヒンクリーは『タクシー・ドライバー』見てレーガン狙撃したんだし。でもそれってのはスプラッタ映画をみたら人の首を切るようになる、ってのとは違うでしょ。だいたい少年Aはホッケーマスクかぶってたわけじゃないんでしょ?」(大意)というようなことを言う。
ところでしばらくほっておいた殺人鬼トップ10なんだけど、いつのまにかリチャード・ラミレスファンの組織票があってラミレスがトップになっている。ちょっと嬉しい感じ(笑)。ゲイン・マニアよ奮起せよ! そして悦ちゃんにも投票してね。
7/3(木)
今日はなぜか佐川くんから事件についての取材を受ける(笑)。そんなのぼくに聞くまでもない、と思うのはぼくだけでしょうか。あまり相手のことは斟酌しないで思うところを述べるのみ。「別に人を殺したからって偉いことはないよねえ。殺人なんか誰だってできるもん」と口から出てしまったときは一瞬しまった!と思いましたが、佐川くん、笑って許してくれました。佐川くんはいろんな人のコメントを集めて、原稿にして『創』とかに売り込みたいということらしい。まあ、『女性自身』から取材されといて佐川くんの取材を断る理由はないわな。
7/4(金)
1時、ヘラルドで『フィフス・エレメント』。SFオンラインでは、立場上ちょっと擁護しといたんだけど、いやあヒドイねこれ。精神年齢6歳の子供向けの映画だな。ミラちゃんが着替えるときにみんなよそを向く、とかって小学生レベルのギャグを延々と繰り返されるのにも参った。あと、オペラ&格闘シーンの演出のヒドさはちょっと許せないっすね。といってマジメに怒るような映画じゃないんだけど。
7/5(土)
高田馬場で大森、三村美衣とWLブースタードラフト。まるでダメ。止めるべきカードを止めず、取るべきカードを取っていなかった。ドラフト終了時に負けを覚悟するがやはりあっという間に連敗してしまった。『グリーン・マイル6』を速攻で片づけ、先日古本屋で買った『昼顔』(ケッセル)を読む。たしかに古めかしいんだけど、でもこのマゾヒストの心理描写にはものすごく鋭いものがある。ところで、結末が映画とちょっと違っていた。原作ではセヴリーヌ自身がピエールに昼顔のことを告白するのだ。どう考えても、映画(ユッソンが告げる)の方が残酷さにおいてまさっているね。
ついでにエスクァイアの映画評をいくつかアップ。こっちのインデックスもなんとかしなきゃね。
7/8(火)
3時半、ワーナーで『バットマン&ロビン』・・・に行くはずだったが、満員で入場を断られる。しおしお。ぼくのすぐ後ろに並んでいた堺三保、さらに遅れて走ってきた(もう映画はじまってるよ!)SFオンラインの添野とマヌケ三人組でとりあえずお茶。お茶飲んでいるうちになぜか「早川に行こう!」ということになったので、神田の早川書房に遊びに行く。呼ばれてもいないのにズカズカと編集部に上がりこみ、猟奇系美人編集者と話す。なんか佐川くんのストーキング活動に悩んでいるようで、やはりぼくから意見しなければならないだろうか、などとこっちもちょっと悩む。いや、ぼくの責任でもなんでもないんですけど。まあでも心配ないと思いますよ、と根拠なく励ましておく。7時から特に名を秘す恥ずかしい活動。
7/9(水)
1時、シネセゾンで『ビースト/獣の日』。『ハイル・ミュタンテ!』のアレックス・デ・ラ・イグレシアの新作。黙示録を解読して反キリストの生まれる日付を知った神父が、悪魔と契約して生まれる場所を知ろうと右往左往。ぼくは『ハイル・ミュタンテ!』はそれほど高く評価していませんが、これは正調ホラーでちょっと意外でした。まあたいした映画ではない。『キラー・タン』なんかよりはずっとマシだけど。次作『ペルディダ・デュランゴ』にはちょっと期待している。まあたいして才能がないのはわかりきっているんだが。
しばらく喫茶店で『ショック・ヴァリュー』のゲラ。その後6時から再びシネセゾンで『世界中がアイ・ラヴ・ユー』。噂のウディ・アレンのミュージカル。ウディ・アレン、気が狂ってるんじゃないかと思いました。いきなり最初のエドワード・ノートンの歌で大丈夫か???と思うわけですが、全然大丈夫なわけがなくて、ドリュー・バリモアの歌とか、ウディ本人の歌とか気が狂いそうですね。まあ本人は幸せなんだろうと思うけど、幸せならそれでいいのか?っていうか。やっぱり世の中やってはいけないこともあるんじゃないか?っていうか。ミュージカル以外の部分はちゃんとしてたりするんで、ますます困るっていうか。
帰ってインターネット雀荘「東風荘」にはまる。
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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎
/ yanasita@gol.com