呪いの秘宝


8/30(金)
 隣でやっている工事がものすごい騒音になってきたので、喫茶店に逃避して『素顔のままで』パンフ用のデミ・ムーア論を書く。本当にこんなのがパンフに載っちまっていいのかねえ。それにしてもエスクワイアにも書いたし、『素顔のままで』の話は書きまくりですな。でも絶対に東宝東和からは感謝されないだろうけど。
 原稿ラッシュが一段落したので、そのHTML化(これだよ、これ)をやって遊ぶ。するといきなりダイナブックが故障。電源がイカレちまっただよ。中古だからしかたねえか。でも短い命だったような気が。現在応急措置としてDuo230で原稿を書いている。翻訳用にやはりノートを買うべきか? でもデュオに慣れつつあるんだよな、実は。
8/31(土)
 本屋に行ったらグールドの『パンダの親指』が文庫に落ちていた。HCのときに図書館で借りて一度読んでいる。買おうかな、まあいいや今度で、と思って家に帰ると早川から送られてきていた。すっげー嬉しい。『キャバレー妄想スター』のときは、そこんとこの見極めが甘くって2冊になってしまった(欲しい人あげます。メールください)。うん、どうせなら『八匹の子豚』も送ってくれると嬉しいのだが。ダメかなやっぱ。
9/2(月)
 QV100が出たら買おうかと思っていたのだが、初期不良とかで水をさされてしまった。で、ネットを見ていて知ったのがソニーの新製品。欲しいよー。もう絶対これを買うことに決めた。それにしても、どうしてこうソニーってヲタクのツボを押すのがうまいのかなあ。完璧にやられている。

9/3(火)
 『罵詈雑言辞典』(東京堂出版)を買う。落語とか読んでれば、まあ知っている程度の罵倒語ばかりだけど、なかなか面白い。「青カン」の「カン」が「邯鄲の夢」から来てたなんて知ってました? ぼくは知らなかったな。みなさんも是非これを手元に置いて、日本語の罵倒表現を豊かな者にしていただきたい、こんなもん読んでるじゃんこ面のよいよいのへっぽこな目腐れ野郎めはよ。
9/4(水)
 見たぜ『インデペンデンス・デイ』「東宝特撮映画」って言った奴がいたんだけど、そんなこと言ったら本多猪四郎さまに失礼にあたるんじゃねーの? 怪獣も出てこねえしよ。敵宇宙船はやっぱりUNIXで動いてたのかなあとか考えてしまいました。これに比べたらH・G・ウェルズの方がはるかに科学的に正確だよね。それを思えばまちがいなく、人類は退化している。あそこまでやるんなら、やっぱり宇宙人が合体して巨大化するとか、そういうオチが欲しかったなあ。そうそう、我孫子さん、円盤バリアー張ってましたよ。
9/5(木)
 『SAPIO』が殺人特集をするとかいうので、会って話をする。でもね、ぼくもう本当にそういうの嫌いなんですよ。どうしてみんな「最近は猟奇ものとかも市民権を得てきましたんで・・・」って言うのかな? 週刊誌が5ページくらい特集してどうこうってのはもう、本当にやめていただきたい。有名な殺人鬼の名前を何人か挙げて、それぞれのやったことを列挙して、そんでもって「今なぜ、殺人か?」とかやるんでしょ? 「なぜ殺人ブーム?」とか。どうせコリン・ウィルソン孫引きして書けば済むことなんでしょ? そんなら、そっちで適当にやってくださいよ、ぼくなんかただの不機嫌で偉そうなヲタクなんだからさあ。ぼくにやらすんだったら、最低でも原稿用紙20枚は書かせてください。そして1ヶ月前に言ってください。『SAPIO』は9/25発売。
9/6(金)
 『映画秘宝・底抜け超大作』が届く。パニック映画とか、巨大戦争物とか、動物ものとか、その手の金だけかかってつまんねー映画の話。この中でだと、あきらかに浮いてるな、オレ。この雑誌に書くのってムツカシイ。悩むぜ。と、そこに電話が。
エスクァイアのT「柳下さん、18日からロス行きませんか?」
オレ「行きたい……行くと泣く人が何人かいるけど……」
エス「仕事なんか向こうでやればいいですよ。映画の撮影現場取材なんです」
オレ「へえ。なんの映画?」
 答えを聞いてね、オレは「この世には呪いは実在する」って思ったよ。だって「『FLOOD』っていう洪水もので、主演はクリスチャン・スレイターとモーガン・フリーマンなんですよ。配給は東宝東和です」ってそんなことがあっていいのかよ! オレは恐いぜ! でも恐いけど現地に出かけて、この事件の真相を確かめるんだ。きっと向こうには洪水が近づくのを知って警告する科学者がいて、その話を信用しないで浜辺でゴーゴー踊ってる若者とかがいて、元水中バレリーナの老婆(シェリー・ウィンターズ)とか、ダムの手抜き工事をした悪徳政治家(アーネスト・ボーグナイン)とかがいるに違いない。それを見届けてくるのがオレの指命だと思う。そういうわけで泣いてくれ。本当にすいませんけど約数名の編集者の人、これ読んでたらごめんなさい。でも呪いだからしょうがないんですよ
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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / yanasita@gol.com