95年12月


12/1(金)
 映画の日なのでサム・ライミの『クイック&デッド』を見に行く。いやあもうマカロニ120パーセントって感じー。賛否両論みたいだけど、ぼくはバカバカしさを買う。レオナルド・ディカプリオの役とかサイコーじゃん。「見た? 見た? 俺ってサイコーじゃん」だって。記号化されたマカロニ・ウェスタンの意匠が飛び交うポストモダン・マカロニと言えよう。ロバート・ブロッサムがシャロン・ストーンを墓場で待っている、というのが笑える。あれはやっぱり、もしストーンが殺されてたら墓を掘り返して死体でランプシェード作ったりするんだろうなあ。
12/5(火)
 『翻訳の世界』の95年度翻訳書ベスト10を送る。

  1. 『シンシティー/罪深き町』(フランク・ミラー)
  2. 『最後の物たちの国で』(ポール・オースター)
  3. 『沈黙のあと』(ジョナサン・キャロル)
  4. 『エド・ウッド』(ルドルフ・グレイ)
  5. 『GOJIRO』(マーク・ジェイコブスン)
  6. 『怒れる女たち』(ジュノー&ヴェイル)
  7. 『ネオナチ』(インゴ・ハッセルバッハ)
  8. 『ノヴァ急報』(ウィリアム・バロウズ)
  9. 『息子ジェフリー・ダーマーとの日々』(ライオネル・ダーマー)
  10. 『イギリス新鋭作家短編集』

 4-6位あたりの順位はいいかげん。翻訳の巧拙よりも、訳されて良かったという本を戦略的に選んだ感じ。そういうわけでオースターは2位になってしまいました。それにしてもRe/Searchの翻訳が出ていたとは知らなかった。あとがきには『BRUTUS』に書いた嫌み原稿が引用されていたが、ちょっと文意不明な感じではある。


12/6(水)
 祝マリノスJリーグ・チャンピオン。ヴェルディの敗因はひとえにラモスを出しつづけたことにあるだろう。ラモスはネルシーニョよりも強いのか? だとしたら、ネルシーニョが代表監督にならなくて良かった加茂(笑)。あと、審判を責める声が強いけど、ミスジャッジは一度だけ(後半25分で西沢を退場にすべきだった)なんだから、まあ許してやってもいいんじゃないかと思う。それにしても、審判のミスで利益を受けておきながら、怒っていた柱谷って奴はなんなんだ。
12/8(金)
 ラジオをつけると、いきなり「平和を我らに」が流れている。ああ、もうそういう季節か。なんか、そのうち季語になちゃったりして。「ラジオから レノン流れる 小春かな」なんてね。ところで、NYでマーク・チャップマン(レノン殺害犯)を主人公にした芝居をやってて、オノ・ヨーコが「これ以上考えられないほどグロテスクなこと」とか言ったらしいんだが、マッカートニーや自分がやってることだって、あまり変わらないと思う。
12/9(土)
 トーキングヘッズの忘年会(って言ってもサイコ・キラーじゃないよ)があるので原宿まで行く。なんかスカシた店だが、これは町田がデートの下準備をするのに忙しいためである。店を決めるより、相手を見つける方が先だと思うぞ。僭越ながら。
 メンバーは永田@書苑新社、鈴木@トーキングヘッズ、小浜@喘息、三村@暴言、山形@ピアスらいつものメンバー。ぼくは飲み過ぎて、なんの話をしていたのかちいとも覚えていません。あ、コダックがなぜ日本でシェアを伸ばせないかははっきりしたな。なお、ついでながら「トーキングヘッズ叢書・別冊」としてラファティの『地球礁』が出版されることが正式に決定しました。パチパチ。しかしそれじゃあウェブ上で公開するのとほとんど変わらないかも(自爆)
12/11(月)
 ヘラルドで゙『スローガン』を見る。ジェーン・バーキンとセルジュ・ゲンズブールが出会った映画というふれこみだが、本当にそれだけ。このコンビならなんでもいいのか。美術とかが『時計じかけのオレンジ』ぽくてちょっと惹かれた。若気のいたりなんだけど、そう不愉快ではない。
12/12(火)
 『読書人』の編集者と会って、話す。来年(たぶん一年間)映画評の連載をすることに。どうもぼくが何をしている人なのかよく知らなかったようなので、前もって「メチャクチャな原稿を書きます」「あまり映画は誉めません」「殺人の専門家です」と釘を刺しておく。入社三年目の女の子は、青い顔をして帰っていったことであるよ。はっはっは。
 明日からディズニーの接待でロスに行くので、その準備に追われる(というのはつまり年末進行を片づけること)。あと年賀状作り。プリントゴッコで350枚2色刷りというのはもうほとんど限界っていうかそれを越えている。来年からはちょっと考えるべし。途中何本か電話を受ける。ケイブルホーグからの電話には狂喜乱舞っていうかなんというか……いやああれを公開するか。うーん、いい度胸してるぜ。
Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / PDE01513@niftyserve.or.jp