ワールドカップの外にも(ちょっとだけ)人生はある日記
◎最近のお仕事 『興
行師たちの映画史』(青土社)サ
ポート・ページもあります。
『ケ
ルベロス第五の首』(ジーン・ウルフ 国書刊行会)勝
手に広報部も(勝手に)よろしく。
『ア
ヤックスの戦争』(サイモン・クーパー 白水社)を翻訳しました。第二次世界大戦とユダヤ人の運命とサッカーに
関する本です。はっきり言って、ニッチです。
『輝
く断片』(シオドア・スタージョン 河出書房新社)で中編を二編翻訳しています。キモメン文学の金字塔ですよ。
『宇
宙舟歌』(R・A・ラファティ 国書刊行会)を翻訳しました。
『デ
ス博士の島その他の物語』amazon(ジー
ン・ウルフ 国書刊行会)で中編を一編翻訳しています。
『世
界の作家32人によるワールドカップ教室』amazon(マッ
ト・ウェイランド、ショーン・ウィルシー編 白水社)で監訳を担当しました。
『た
まもの』(2004年度ピンク大賞受賞)の音声コメンタリーにいまおかしんじ監督、林由美香さんと一緒に参加しています。まだ御覧に
なっていない方は、是非林由美香さんの姿を見てあげてください。
ワールドカップ日記ははてなの方で
更新してます。転記しようかとも思ったけど、どうでもいい話なんでそっち見てください。
6/11(日)
ストライプハウスギャラリーでの『ベータ2のバラッド』発売記念大森望vs若島正トークに行く。お題はアンソロジー、というかニューウェーヴについて
だったんだけど。
『ベータ2』の解説で開陳されているNWの歴史については大森望から突っ込みが入っていたわけだけど「NWというのはわけわからないもの」だという定義
に関しては二人のあいだで一致してしまっていたのがどうにも。それはいわゆる「NW的書き方」、断章形式の飛躍だらけの文章のことなのだろうが、それはあ
くまでもNWの形式でしかない。バラードは同時にNWの内容のことも語っていたはずである。いや、むしろバラードが考えていたようなSF(それはテクノロ
ジカル・ランドスケープであり、60年代の政治文化状況だったりということなわけだが)を語るための形式としてあの語りが生み出されたのであり、その両者
は不可分だったはずなのだ。ただ「形式と内容」みたいな二分法にしてしまうと、NW的形式で書けばNWなのだ、みたいな議論になってしまって、いわゆる
「NW的作品」が生まれ、「わからないものがNWだ」みたいなことになってしまう。でもそれはNWの本質ではないはずだ。
などということを一人で考えていた。
あと、打ち上げの席で、RambleHouseで
復刊されているフィリップ・ホセ・ファーマーのエロ小説Love Songの
話をした。日本でCR文庫から出た二冊じゃなくてもう一冊あって、それは出版後すぐ断裁されちゃって世の中に百冊くらいしか出回っていないとかいう超レア
本なのである。で、それをキーラー本の復刻でおなじみRambleHouseが復刻しているんだが……とい
う話をしたら牧眞
司が
「それなら持ってるよ」
と言ったんで驚いた。ちなみに読んでないんで中身は知らないそうですが。
ちなみにこの話をしたら他にも持っている人が次々登場。どうやらこれがレア本なのは残っている本がすべて日本に来ているためらし
い。
6/14(水)
六本木の試写室でウディ・アレンの『マッチポイント』試
写。「久しぶりにウディ・アレンの分身が出て来ない映画」とか言われたんだけど、見てみたら、主人公がどう見てもウディ・アレンだった。眼鏡かけてないだ
けで。無責任で色好みなキャラクターはどう見てもアレンそのもの。『ウディ・アレンのやる気まんまん』とかそういうタイトルにすればいいんじゃないかと
思ったよ。ちなみにスカーレット・ヨハンソンはたいそう気に入ったんで次の映画でも使っているそうです。やる気まんまん。
6/15(木)
上野オークラでいまおかしんじ監督作『絶
倫絶女』。なんか最近藍山みなみと平沢里菜子と吉岡睦雄の三人ばっか見てるような気がするぞ。藍山みなみはとってもかわいい。それで
いて下半身がちょいムチなところがまたよい。
映画は佳作。草野球のシーンがもうちょっと長くても良かった。
DVD化の際にはおまけに「南の島にダイオウイカを釣りに行く」が入るわけですね。
6/17(土)
愛機ThinkPadX31のキーボード・ベゼルが破損してずいぶんになる。PCMCIAカードのスロットカバーが取れるところからはじまって、たちま
ちのうちにヒビが入り、あそこが欠け、ここが欠けてボロボロに。ヘルメットと同じで、内部を守るためにわざと割れやすく作ってあるらしいので、ある程度は
しょうがないのであるが、それにしてもボロボロ。
まあ、これだけボロボロなのに支障なく動いてるThinkPadがすごいとも言えるんだが。
しかしついにパームレスト部分にまでヒビが入って、これはさすがにあかんやろう、修理しなくちゃ…でも高いんだよな&
amp;
amp;
hellip;と
思って検索してたら若松通商に補修用部品が入っているのを発見! しかも無料で取り付けまでしてくれる! 若松偉い! というかIBM信者で良かったと思
う瞬間(もうlenovoだけど)
さっそく秋葉原に出かけてベゼルを取り替えてもらう。これで新品同様。週末の秋葉原はさぞかしメイドさんだらけかと思ったが、一人しか見かけなかった
な。
6/19(月)
『嫌われ松子の一生』に
行く。なんか違うんだよな〜と思いながら見ていた。どうもバラバラのショート・コントを歌と踊りで無理矢理つなぎあわせてる(ふりをしてる)ように思えて
ならない。何が違うのか、というとこれが明確に言葉にできないんだが、物語の話者が誰だかよくわからない(なんで松子の一人称で話が進んでくんだ?)と
か、松子の変顔エピソードが途中から消えちゃうんだけど、どうして? とかいろいろ。
基本的には激安女の、だめんずの悲劇なんだろうけど、なんかそうじゃないように無理やり持ってこうとしてないか? 伊勢谷友介(出演禁止物件)とのやり
とりなんて、もっと泣ける場面になってもいいのに。安い男女の悲劇とか、オレ大好きなんだけどなあ。
ちょっとCGが厚塗りすぎる。もうちょっとジャスコ感覚を出してほしかったね。
6/22(木)
RambleHouseか
ら購入した本が何冊か届く。更新が滞っているとはいっても決してキーラーのことを忘れたわけじゃないんですよ。
今回買ったのはThe Keeler Keyhoe Collection 。これはハ
リー・スティーヴン・キーラーが1955
年から66年にかけて友人、仕事関係者、ファンに勝手に送りつけていたthe Walter
Keyholeと名付けたニューズレターのコレクション。そこにはキーラーがそのとき思いついたこと、日常生活のこまごまとした出来事から友人知人の消
息、読んだ本の感想や時事問題などが脈絡もなく「キーラー調」で書きつづられている。私生活上の問題でまとまった小説を書けなくなったキーラーが、一人で
印刷して作って勝手に友人知人に送りつけていたものらしい。「今でいうところのblogだ」と編者は書いているんだけど、それにしてはコストがかかりすぎ
る。
典型的なキーラー的狂気によって、各号には「Vol.M No.3 1/2」とか「Vol.131 1/2, No. 000
1/4」とかいった訳の分からない通巻番号が振られており、正確な発行年月日はまったくわからない。さらに実物は各頁ごとに別々の色の紙に印刷されてお
り、キーラーはpolycromatic cartularyと呼んでいた。「多色的台帳」というところか。
内容別に再編集されていて、パラパラめくる分にはいいんだけど、全体の索引というか、いったい何号出ているのかとかそういうことも(わかってる範囲でい
いので)書いておいてほしかったね。
東映試写室で『異常性愛記録ハレンチ』見
る。今度テアトル新宿でリバイバルするらしいんで、ニュープリント試写です。若杉英二の変態演技があまりに素晴らしい。「愛してるんでちゅ〜」いったいど
ういう役作りなのかちっともわからんが、凄すぎて目が離せない。吉田輝男のタバコの火を吹き消すところが最高。
同じく試写に来ていた中原昌也、清水博子、山田広野らと銀座のバーでビールを飲む。なんか中原と清水博子氏は昨日の晩からずーっと一緒にいるらしい。
「『ハズバンズ』(ジョン・カサヴェデス監督)みたいに無為な空騒ぎだった」とは中原の弁。教養あふれるぼやき。んでオレはビール二杯飲んで帰ろうとした
んだけど、中原の魔手を逃れられずそのまま品川のオイスター・バーに拉致されてしまったのだった。いや、でもいちばん大変だったのはご無体な作家様によっ
て招集かけられていた編集者の人たちだとは思いますが。
Kiichiro
Yanashita / 柳下毅一郎 /
kiichiro.yanashita@nifty.com