ゴダールvs龍平日記

◎最近のお仕事 『興行師たちの映画史』(青土社)サポート・ページもあります。
『ケルベロス第五の首』(ジーン・ウルフ 国書刊行会)勝手に広報部も(勝手に)よろしく。
『アヤックスの戦争』(サイモン・クーパー 白水社)を翻訳しました。第二次世界大戦とユダヤ人の運命とサッカーに関する本です。はっきり言って、ニッチです。
『輝く断片』(シオドア・スタージョン 河出書房新社)で中編を二編翻訳しています。キモメン文学の金字塔ですよ。

『たまもの』(2004年度ピンク大賞受賞)の音声コメンタリーにいまおかしんじ監督、林由美香さんと一緒に参加しています。まだ御覧になっていない方は、是非林由美香さんの姿を見てあげてください。

女優・林由美香 追悼特集上映「由美香 Oh My Love!
9/3(土) 追悼オールナイトイベント@テアトル新宿に出演します
 23:45開場 24:00開映(6:10終了予定)


7/28(木)
 シネロマン池袋の林由美香追悼特集に出かける。本日楽日。作品は 『痴漢電車 隣の太股(痴漢電車 痴漢のテクニック)』『熟女教師 教え子に汚されて(本番授業 教え子に、教室で)』『熟女と犬舐め(新・犬とおばさん −むしゃぶりつく!−)』の三本。

 シネロマンに行くのは久しぶりだ。ここはピンク上映館には珍しく予告がついているわけだけど、やっぱり映画館に来た気分にさせてくれるね。エクセスオリジナルの「携帯消して!」メッセージも林由美香と酒井あずさが出てる奴になっていて、追悼気分一色な感じ。ただ映画がエクセスなんで……あまり感傷にひたる余地を与えてはくれないのだ。

 三本の中では浜野佐知の『熟女と犬舐め』が圧倒的に凄かった。というか主演の野際みさ子というおばさんが犬とも絡んじゃうとんでもない人だったんですけど、この人って根本敬の映画に出てくるママ野際と同一人物かな? 『さむくないかい』のビデオが出てこないので確認できない。

 あと、池島ゆたか監督の『痴漢電車 痴漢のテクニック』って、ヒロインの吹き替えを(たぶん)吉行由美さんがやってるんだけど、痴漢を受ける欲求不満のOL役で出演もしてるのね。なんか自分で自分を痴漢する、みたいな訳わからんことになってました


8/1(月)
 渋谷で『BAAAADASS!』見る。これ、てっきりドキュメンタリーなんだと思ってました。実はそうではないくて、『スウィート・スウィートバック』を作るにいたるメルヴィン・ヴァン・ピープルズの軌跡を息子マリオが劇映画化したものなんですよ。もちろんメルヴィンを演じているのは息子マリオ・ヴァン・ピープルズ。なんという強烈なナルシシズム!

 なお、劇中、マリオが(『スウィートバック』の)主人公の少年時代を演じるというエピソードがあります。ややこしいな。ともかくですね、それ、主人公は13歳にしておばさんに誘惑されて童貞を失うという場面なんですよ。その場面を演じた(昔の)マリオが嫌で嫌でしょうがなかったという描写があるんです。しかも児童虐待だ!とまわりからメルヴィンは非難される。
 これ、絶対嘘だろう! 13歳の中学生(しかも黒人)が女の裸を見たがらないなんて絶対にありえません!


8/4(木)
 美学校試写室で『アワーミュージック』。二度目。 でももう一回くらいは最低でも見ないと話にならんな〜
 プレスの中にゴダールのインタビューが載っている。

…「地獄編」に、原爆が落ちた直後の広島の映像があったのがわかりましたか?…(中略)…北村龍平の『VERSUS-ヴァーサス-』からも引用しています。これはなかなか面白い映画で、『キル・ビルvol.1』よりもずっといい出来だと思いました。

 ゴダール、龍平見てるのかよ!

 その足でフィルムセンターの〈発掘された映画たち〉特集。『愛と憎しみ・涙の惨劇』『乙女橋』見る。『涙の惨劇』は玉の井バラバラ殺人事件が起きた直後に作られたというエクスプロイテーション映画。完全に犯人の側に立って作られており、親切心から乞食を拾ってしまった一家がその男にしゃぶりつくされ、思いあまって殺してバラバラに……という筋立てになっている。死体発見現場とかでロケしたりしていて、エクスプロイテーション感覚満点!
『乙女橋』は簡易保険局製作の簡易保険プロモーション映画。問題は、保険に入っていて良かった!となるためには主人公は不幸に見舞われなければならない、ということで……


8/5(金)
 六本木の試写室に『ランド・オブ・プレンティ』見に行く。ヴェンダースの新作である。そしたら今日も中原昌也に会った。ゴダールとヴェンダースを見て、そこで立て続けに中原と会うなんて! なんかシネフィルみたい! んでその後近くの喫茶店で延々3時間くらいくっちゃべってました。まったく仲がいいね、オレたち。
 あ、映画? 映画ねえ……なんかiPodのCMみたいでしたよ。あと偽デニーロと偽ミラ・ジョボヴィッチが出てました。デニーロは高いのかもしれないが、ジョボヴィッチくらい本物使えばいいのになあ。
8/6(土)
 暑い。こんな暑いのにわざわざ秋葉原まで出かけてデジカメを買う。FujifilmのFinepixF10です。まあ、値段もこなれてきた感じだしね。これ、いくつか作例を見ていたんだけど、夜中の散歩のお供にはぴったりのような気がしたんですよ。まあその点では思ったとおりであるようです。
8/9(火)
 試写で『ロバと王女』『奥様は魔女』の二本見る。『ロバと王女』はもちろんジャック・ドゥミの大名作。『奥様は魔女』は最初の設定を聞いて????となったのだが、なかなかいい映画だった。さすがノラ・エフロン。ファンタジーなき世界でいかにファンタジーを持つか、というのがちゃんとテーマになっている。『雨に歌えば』の引用なんかも好ましい感じ。
 まあノラ・エフロンお得意の「女が三人寄って気勢をあげる」って感じのフェミニストっぽいマニフェストもあるわけですが、それはお目こぼしの方向で。
8/10(水)
 GAGA試写室にて『頭文字D』見る。もちろんしげの秀一のコミックの映画化(『電車でD』じゃないよ)……なんだけど、これがなんと香港映画なのである。香港のスタッフが香港のキャストで(舞台を香港に置き換えたりせず)そのまま日本を舞台に映画化したという代物(俳優はすべて吹き替え)。驚くなかれ、これがほぼ完璧な出来映え。原作のテイストが完璧に再現され、血沸き肉踊る公道最速プロジェクトX漫画となっている。もう今後日本コミックの映画化は全部香港にやらせろ!
 主人公のオヤジ(藤原とうふ店の店長)にはアンソニー・ウォン。もう完璧な仕事ぶり(笑)。ちなみにアンソニー・ウォンはアル中オヤジを表現するために撮影中実際に酒を飲んでずっと酔っぱらってたというんだが、それメソッド・アクティングっていうのか?
8/11(木)
 試写で『不滅の男 エンケン対日本武道館』見る。まあエンケンのライヴ・フィルムということである。正直、勝ち負けでいうなら、最初からわかっているようなものである。エンケンに勝ちたいならゴジラとかを持ってこないとね。
 言うまでもなく映画は素晴らしかった。エンケンの情念については今更言うことは何もないんだけど、ここでは繊細さの方を強く感じさせられたなあ。
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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / kiichiro.yanashita@nifty.com