死にたくなるのも無理はない日記

◎最近のお仕事 『興行師たちの映画史』(青土社)サポート・ページもあります。
『ケルベロス第五の首』(ジーン・ウルフ 国書刊行会)勝手に広報部も(勝手に)よろしく。
『アヤックスの戦争』(サイモン・クーパー 白水社)を翻訳しました。第二次世界大戦とユダヤ人の運命とサッカーに関する本です。はっきり言って、ニッチです。
『サバイバー』(チャック・パラニューク 早川文庫NV)の解説を書きました。なお、この解説内でふれているパラニュークの「失神短篇」The Gutsをミステリ・マガジン2005年6月号に訳載しました。是非その衝撃度を自分の目で確かめてください!

『たまもの』(2004年度ピンク大賞受賞!)の音声コメンタリーにいまおかしんじ監督、林由美香さんと一緒に参加しています。


4/14(木)
 試写で『スカーレット・レター』見る。一説には主演女優イ・ウンジェの自殺の原因となったとも言われている映画ですね。ウンジェは過激な露出を苦にして自殺してしまったのだという。そんなにすごい露出だったら、是非見てやろうじゃないか!というわけで出かけましたよ。
 ていうか自殺した途端に主演映画を立てつづけに見ているオレという人間は……いやこれがまた凄い映画でね。『スカーレット・レター』というからには不倫もので、クラブ歌手役のイ・ウンジェは刑事の愛人だったりして、まあそんなにたいしたことない濡れ場があったりはするわけだけど、そういうこととはまったく関係なくとんでもないラストに呆然。いやすごいねこれ。というかこんな映画ばっかり出てるから自殺したくなったんじゃないのかよおい。

 韓国映画はあいかわらず素晴らしいです。一本筋が通ってるよな。


4/16(土)
鹿島4-2JEF千葉@国立霞ヶ丘
 今シーズン初観戦。去年は全然試合を見に行けなかったんで、今年はけっこう気合いが入っている。しかしいきなり行くのが国立だというあたりが弱いですね。フェルナンド、青木というどうにも頼りにならなかった二人が中田コが抜けて自覚が高まったのかなぜか安定して良くなった鹿島に対するはオシム・ジェフ。スピーディな攻守の切り替わりが楽しめる好ゲームになったけど、SR上川の謎ジャッジ一発退場のせいでやりたい放題のワンサイドゲームになってしまいましたとさ。
 オシム・サッカーのジェフはよく走ると言われるんだけど、実際に走る距離が長いというよりは攻守の切り替えと意思統一がよく為されているということなんだろう。ボールを奪った瞬間に前を向いていた選手が一斉に走りだすのは見ていてたいへん気持ちよい。ハースのゴール(ジェフの二点目)はあまりに見事で、決められても感心するだけで悔しい気持ちも湧いてこなかった。
 髭も絶好調「オシム監督の白髪は、単に年齢を重ねたものではない。サッカーで得た経験が、あの白髪1本1本に詰まっている。残念ながら、僕はまだ黒髪が多いが…」
4/21(木)
 シネパトスに『性狩人/セックス・ハンター』を見に行く。ダーティ松本原作なんでバレリーナ陵辱もの。ヒロインが閉じこめられて調教を受ける館の外ではなぜかときおり銃声が聞こえる。森の外では何かが起こっているという暗示だけがなされているのだ。ブニュエルっぽい?それともパゾリーニかな?
4/22(金)
『チーム・アメリカ』試写。いやあ素晴らしい! 最高! 正直に言えばこれはやりすぎだと思う。ギャグってやりすぎると笑えないところまで行ってしまうのだ。だからもう少しレベルを落とせば万人に理解できる作品になったろうとも思う。でも、真のアナーキズムというのはこういうことだよな。これは現代の『鉄の夢』であり『我が輩はカモである』なのだ。

 その足で東雲会@Loft+1。ゲスト出演。今回は自分の本分をわきまえて楽しいビデオを見てわいわい騒ぎたいと思ってきたお客様を地獄のどん底に突き落とす方向で手のない人や足のない人の映像を持って行く。狙い通り客席ドン引き。はっはっは。


4/26(火)
 ヘラルド試写室で『オペレッタ狸御殿』試写。こ、これはすごいよ! 超アッパーでアシッドな香りがただよっている。すべになんの意味もない薄っぺらさ。まさに表層だけの世界というか。
 平幹と由紀さおりの狂いっぷりが凄まじく、映画をさらっている。薬師丸ひろ子も眉毛を剃ったら怪物になってしまっていい感じ。チャン・ツィイーはたぶん何もわかってなくて言われるがままに演技してるだけだけど、スターはそれでいいのである。
 というわけでわかってないのはオダギリジョーただ一人だな〜こいつ、本当にどうしようもない。この役がミッチーだったらもう本当、最高なんですけどね。
4/27(水)
 本日は試写二本。いや先週までで苦しんでいた仕事を半段落くらいさせたんで、たまっていた試写を消化しまくるウィーク。一本目は『亀も空を飛ぶ』。去年のFILMEXで見損なって悔しい思いをしていたイラン映画である。イラクのクルド人居住区で、大量に埋設されまくっている対人地雷を掘り出して国連に売りつけることで生計をたてている戦争孤児たちの物語。当然ながら手や足のない子がぞろぞろ出てきます。感動疑いなし。必見。

 もう一本は韓国映画で『マルチュク青春通り』。転居によって工業高校に転校してきた秀才がいきなり超ド級の不良同士の争いに巻き込まれて……というほとんど『クロマティ高校』みたいな展開。しかしそこで(元)秀才を救ってくれるのは神様だった! 秘宝・タノベくんは泣くしかないみたいな映画ですね。物語の中では男をあげたことになっている主人公だけど、よく考えたら転落の一途なんだよな。ぶっとい眉毛がチャームポイントのヒロイン、ハン・ガインちゃんはちょっと昔の牧瀬里穂に似てる感じがしました。


4/30(土)
 気がつくと東宝の株主招待券が余っていたのです。4月分、今日で終わりじゃん。んでぴあをひっくりかえして考えたんだけど、どうも見たい映画がない。んんんんん、と考えていたが思いついた。六本木ヒルズで成瀬特集見ればいいんじゃん!

 というわけで『乱れる』@TOHOシネマ六本木ヒルズ。いやあ良かった。泣いた。銀山温泉には昔行ったことがあります。ほとんど変わってないですね。っていうか成瀬は全部セットなんだけどさ。ああしかし成瀬のセットっていいよなあ。世界が全部成瀬のセットで美術が中古智だったらいいのに! あの窓ガラスの隅の汚れ方なんかもう最高。どうして我が家の窓ガラスはあんな風にきれいに汚れてくれないんだろうなあ。


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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / kiichiro.yanashita@nifty.com