初コメンタリー

◎最近のお仕事 『ジェノサイドの丘』(フィリップ・ゴーレイヴィッチ WAVE出版)好評発売中
『殺人マニア宣言』(ちくま文庫) 文庫になって復活! よろしくです。
『興行師たちの映画史』(青土社)ついに出ました! これから10年のポジション・ペーパーですね。サポート・ページもあります。
『着信アリ』のパンフレットで神無月マキナと対談しています。
『25時』のパンフに原稿書きました。


1/13(火)
 赤坂のスタジオでUPLINKより発売になる『実録外伝・ゾンビ極道』のコメンタリー収録。なんでオレが、というところですが佐々木監督の聞き手として呼ばれたわけです。まあトークショーとかに来たことのある人ならわかると思いますが、佐々木監督は口から先に生まれてきたような人なんで相槌うってりゃいいや……と思っていたんですがいやこれが結構(というか相当)大変でした。慣れないもんだからつい空白を作ったり展開を待っちゃったりして。失敗失敗。まあ次はうまくやりますから次の機会がありましたらよろしく……ってそんなもんねえってばよ。
 終わってから佐々木監督に連れられ、赤坂の韓国料理屋でプルコギを食う。テーブルが傾いているような店ですが、飯はたいそう美味でした。
1/14(水)
 ポン・ジュノの新作『殺人の追想』試写。韓国のウェルメイドな実録猟奇殺人映画。「猟奇殺人」で「ウェルメイド」で「韓国」というところがかみ合ってないんだけど、そういうものなのです。

 その後渋谷シネパレスで『ミスティック・リバー』見る。やけに女性客が多いんで???ショーン・ペンってそんなに人気なのか?とか思ったがよく考えたら水曜女性1000円なのだった(自分には関係ないんで忘れていた)。
 イーストウッドが変態だとかマゾヒストだとかいうのはすでに言い尽くされていて今更ことさらに言い立てるようなことじゃないんだが、この映画は本当に怖い。イーストウッドの心の中にある暗い場所の冷たい感触を感じる映画だ。世界にはとてつもない邪悪が潜んでおり、それに触れられたらもうどうしようもない。誰も彼を救うことはできない。撮影が素晴らしいんですがこの人イーストウッドの子飼いらしいですな。


1/15(木)
 amazonに注文していたペキンパー関係の資料がどっと届いたんで読みふける。再発の『わらの犬』を含むDVDBoxが出るんで、そのライナーノーツを書くために一夜漬けをしているのである。『わらの犬』はクライテリオン版も出ていたりして、しょうがないんでクライテリオン版DVDも購入。見る必要もないのはわかっているんだけど(見たからって原稿が変わるわけじゃないのに)でも見ないと気が済まないんだよな〜。もう完膚無きまでに赤字。
1/16(金)
 気合いを入れなおして久しぶりにプールで泳ぐ。

 その後東映にて『花と蛇』。石井隆監督、杉本彩主演の団鬼六作品。まず第一に、大前提として杉本彩クラスの女優、というかタレントがSMポルノに出て脱ぎまくり縛られまくるというのは素晴らしい。プロデューサーの努力には深く敬意を表したい。だけどまあしかし問題点は両手に数えられないほどあるわけで、そもそも杉本彩はたしかにスタイルは素晴らしく、とくに尻は実にいい形だったりするんだが、やはり団鬼六の和製緊縛には似合わない。縄をかけるには痩せすぎだし、令夫人の役なんてままごとにしか見えない。脚本の段取りも変だ。ボディガードの女は救出のために潜入して返り討ちに遭うはずじゃないのか。だいたい杉本彩は責められることによって変わっていくんじゃないとSM映画の意味自体がないんじゃないのか、などなど……
 と言った具合にいくらでも熱く語れるので、石井監督も杉本彩もこれに懲りず是非次回に再度チャレンジしていただきたいものである。なんなら盆暮れやってくれてもいいぞ。あ、そうそう蛇を出すのはいいがCGはダメだろCGは! あそこだけは本物でなければ。蛇がCGでいいんだったら乳首もCGでいいってことになっちゃうじゃないか! ここだけは石井・杉本に猛省を求めたい。


1/17(土)
 洋泉社へ行って田野辺くんと密談。主として『テキサス・チェンソー』がらみで作る実録殺人ムックについて。
 新年号の表紙を見たが凄い、凄すぎる……とても新年とは思えない。久しぶりに田野辺くんの殺意を感じた。中も見たがみんなひどく殺伐としている。もうちょっとピースな愛のバイブスも必要かもしれんな(オレがそんなこと言う役回りってのも妙な話なんだが)。
1/20(火)
UIPにて『ペイチェック』。ジョン・ウー監督のフィリップ・K・ディック原作もの。とはいってもジョン・ウーでベン・アフレックという時点で「ディックって銃のブランドだっけ?」という世界だったりするわけだが、そこんとこさえ理解していればすばらしい映画である。とくに普段はノロノロ動いているマジックハンドが電光石火の早業で大活躍する場面がすばらしい。まだまだ世の中にはわかってない人が多いですが、これが映画というものですよ! そういうわけで黒沢清さんにはお勧めだ。
 まーあえて難を言うとすればちょっと長い。こんな映画85分にしてほしい。そして2週間で仕上げて、毎月新作を公開してほしい。その点、ウーさん御一考を。
1/21(水)
 東大生協で『塵クジラの海』(ブルース・スターリング 早川文庫FT−−なんで!?)、『九時から五時までの男』(スタンリイ・エリン ハヤカワ文庫)を購入。あと『月刊つぐみ』(新潮社)を買ってしまった……つぐみ、エロすぎるよ……_ト ̄|○

 その後テアトル池袋に出かけ、『メシア−−伝えられし者たち』を見る。なんでこんなの見たかという話ですが、詳しくは〈映画秘宝〉の2004年1月号と2月号の大槻ケンジの連載を読んでください……はい、読みましたね。詳しい説明はそっちにまかすけど、要するにこの映画には代々世界の要人のボディガードをしていた一子相伝のボディーガード拳(たぶん天内流格闘術)の十七代目とキョンシーをあやつる中国拳法の使い手という二人の女優が出ていて、クンフー・バトルを繰りひろげてるんですよ。まあ映画としてはやたら走ってばかりだったりミドル・ショットで喋ってるのをだらーんと撮ってたりイヤボーンだったりダメ映画の要素がすべて詰まったケツ作なんですが、この二人の格闘はなかなかのもんです。特に浅井星光の方は本物っぽい。タッパもあるしね。これで顔がもうちょっと……だったらハリウッドに行けるのになあ。
 ともかくこの二人にはあと三人仲間を見つけるまで頑張ってほしいですね! それまでぼくも映画を見続けますんで!


1/22(木)
 ブエナにて『マスター&コマンダー』。ラッセル・クロウの19世紀海洋冒険ものである。しかし監督がピーター・ウィアーってなあ。なんかアップばっかで箱庭みたいに狭苦しい。しかもなぜか日本では美少年ものとして売られるらしい。実際男臭さは全然ない映画なんで、そっちのが正解かもしれないけど。

 終了後、大林千茱萸と会ってヒルズで軽くメシを食う。2002World Cupの日本戦全試合のDVDをもらってしまった。ラッキーすぎる。とりあえずベルギー戦を見直して久しぶりに感涙。


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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / kiichiro.yanashita@nifty.com