今年もシメに入ってまいりました

◎今月のお仕事 『ロバート・クラムBEST』(ロバート・クラム 河出書房新社)編・訳。少々お高いですが、その価値はあると思います。
          『地球礁』(R・A・ラファティ 河出書房新社) やっと本になったよ! 感想リンク集もご参考に。
          〈X-Knowledge Home〉X-Knowledge刊)という雑誌のフランク・ロイド・ライト特集に原稿を書いています。おもにアイン・ランドの話。人知れずダン・シモンズの原稿が載ったりしてるんで、SFファンも要チェック。

12/14(土) 21:20〜 『ストーリーテリング』について中原昌也とトーク@シネアミューズ
12/23(月) 阿佐ヶ谷あるぽらんにて恒例ビデオ上映会。今回はドリス・ウィッシュマン追悼で"Nude on the Moon"の上映です。


11/25(月)
 LAから来た友人瑪瑙ルンナさんを鍋でお迎え。そして食後はDVDで『クレヨンしんちゃん・嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』。みんな万博世代だからね。
 で、いい感じでウルルとなったところで、シメとしておみやげに李博士をあげたら(今やってるラウンジテルミンバンドの参考資料)すべてが台無しになってしまいましたとさ。
11/26(火)
 神保町にて打ち合わせ。ちょっと本屋を覗いたが、なにも買わず。
11/27(水)
 本日はアジアン・セックス・フィルム二本立て。

 まずは3月頃公開予定の塚本晋也監督の新作『六月の蛇』。塚本さん監督・脚本・撮影・照明・編集そして出演。相変わらず「映画は一人でもできる」状態。
 塚本流エロ映画で、特に前半のエロ場面は成人劇場でもかけられそうなくらいエロい。黒沢あすかもよろしい。塚本さんの女の趣味って本当に一貫している。

 その後メディアボックス試写室にて来年1月末にある〈辛韓国映画祭〉で特集されるホン・サンス監督作『Turning Gate(生活の発見)』。ダメ男俳優のロードムーヴィーである。行く先々で女とからんで騒ぎを引き起こす……寅さんみたいなものかな? 二人目の小柄な女優(チュ・サンミ)が良かった。『接続』の人だそうです。今度見てみよう。
 終わったあと、大森望と蕎麦を食う。

『フィリップ・K・ディック・リポート』(早川書房編集部編 早川文庫SF)届く。香山リカ、中原昌也、渡辺麻紀とやった対談が収録されています。あの散漫なトークをここまで見事にまとめた大森望は正直、天才ではないかと。


11/28(木)
 湯島にて鍋。韓国の。アレ。
 日テレの名物プロデューサー、大塚氏がご近所在住ということで、湯島近辺のコリアン・タウンを案内してもらうことになったのだ。川勝正幸さんらと鍋をつつくことに。話はいろいろ、大塚氏がタイのボクシング映画に詳しいというのでそういう話を聞いたり。マッコリたんまり飲んだ。
11/29(金)
……んなことしてたら二日酔いでダウン。マッコリはヤバイな。ていうか年なのか? 試写の予定をキャンセルしてうちでちんたら仕事する。
11/30(土)
 ベスト10の季節になったのでそろそろ今年も巻に入った感じ。

 SFM恒例の年間ベスト

  1. 『コカイン・ナイト』 J・G・バラード 新潮社
  2. 『壜の中の手記』 ジェラルド・カーシュ 晶文社
  3. 『アンダー・ザ・スキン』ミッシェル・フェイバー アーティストハウス/角川書店
  4. 『ダイヤモンド・エイジ』 ニール・スティーヴンスン 早川書房
  5. 『フリーウェア』 ルディ・ラッカー 早川書房

 オレがバラード以外を一位にするわけがあると思う? しかしこうして並べると今年はなかなかいい年だったね。『クリプトノミコン』もおもしろかったけど、SFベストに入れるのはどうかと。

『タレコミW杯 サポティスタ編』サポティスタ編 流星社)いただく。ありがとうございます。


12/2(月)
 ヴェルナー・ヘルツォークの新作『神に選ばれし無敵の男』(原題「インビンシブル」……それにしても語呂の悪い邦題だ)見る。クラウス・キンスキーはもういない。だがドイツにはウド・キアーがいる! 映画は驚いたことに面白かった。主人公が生に充足しているせいもあり、ヘルツォークらしからぬ穏やかで優しい映画なのである。ヘルツォークも世界と折り合うすべを見つけたんだろうか、なんてことを考えた(かつてのヘルツォークなら、まちがいなくハヌッセンの方を主人公にしたはずである)。
12/3(火)
 東京FILMEX
 本日は韓国異常性愛映画二本立て。って言っても別に異常なセックスをするわけではなくて、セックスする人が異常ってだけなんですけど。
『オアシス』は常習犯とCPの女の子の恋愛映画。演出のアイデアはいろいろある人だと思うけど、脚本と編集がどうにも悪い。周囲の人々を全員偽善者に仕立てるっていうのはどうも嫌な感じだ。もう一本『死んでもいい』は70代の老人夫婦のハードコア。セックスが好きで好きでたまらない老人夫婦の話である。誰もが「こんな風に老いていきたい」と思うだろうからデート・ムービーにはぴったりだろう。見終わった後はホテルに行く気分などきれさっぱり消え去っていることだろうし。

『ロード・オブ・ザ・リング スペシャル・エクステンデッド・エディション』購入。買ったよ! 買いましたよ!


12/4(水)
 本日もFILMEXにて中国映画『チキン・ポエッツ』(銀座シネ・ラ・セット)。書けなくなった詩人が友人のところへ行くと、彼は栄養価が高い卵(でもすごく不味い)を生む黒い鶏の養鶏業にいそしんでいた。妙にシュールな風景が出てくるファンタジーっぽい映画で楽しい。貧乏な製作環境で謎めいた効果を出すにはどうしたらいいのか、という点をよく考え抜いた映画である。黒沢清とか研究しているっぽい。
 あと、ピーター・グリーナウェイが好きらしく、音楽がマイケル・ナイマンそっくりで笑いました。

『ビッグヒットは五感でつかめ!』(叶井俊太郎 主婦の友社)送ってくる。〈秘宝〉の書評のお礼ということで、叶井のサイン入り。編集者からは「わたしが訴えたかったことを全部書いてくれました!」と感謝されましたが、そ、そーなのか……


12/5(木)
〈辛・韓国映画祭〉の試写でホン・サンス監督作『オー!スジョン』。これは素晴らしかった。なるほど、これがあったうえでの『Turning Gate』なわけだね。納得がいった。男ってしょうがねえなあ、という映画である。女性の記憶パートの方が、男優がハンサムっぽく撮られているのがうまい。

 メディアボックス試写室から八重洲ブックセンターまで歩く。『スーパー・カンヌ』(J・G・バラード 新潮社 小山太一訳……いったい誰なんだ)、『ドイツの運命(ドイツ・ナチズム文学集成#1)』(柏書房)購入。『ドイツの運命』にはゲッベルスが書いた小説と暗殺された突撃隊隊員ヴェッセルの伝記小説が入っている。あと、地下に降りたらなぜかマカロニDVDが叩き売りされていたので『殺しが静かにやってくる』を保護。

『自立日記』(辛酸なめ子(池松江美) 洋泉社)いただく。どうせならセクシー写真集も収録してくれば良かったのに。


12/6(金)
 本日もFILMEX。浜離宮朝日ホールにてロシア映画『夕立ち』を見る。ヌーヴェルバーグ風という売りだったが、どっちかというとアントニオーニみたいな感じだった(質疑応答を聞くかぎりでは、このうえなく凡庸な感想だったようだ)。
12/7(土)
 FILMEX。 出かけたらいきなり一本目で上映トラブルがあったとかで、上映スケジュールが45分遅れるというかなりとんでもないことになってました。で、40分待ったあげく見たのがアピチャッポン・ウィーラセタクンの新作『ブリスフリー・ユアーズ』だったんですが……どうもコンセプトのわからないコンセプチュアル・アートという感じ。

 アマゾンにて『六月の勝利の歌を忘れない』購入。ああ、ついに岩井俊二の監督作を買う日が来ようとは。トルシェが「やっぱ、ちょっと言い過ぎたかなあ」って柄にもなく反省してるところがおかしかった。ま、今年のシメはこれかなやっぱり。

 で、恒例の秘宝ベスト10

  1. ロード・オブ・ザ・リング(01 ピーター・ジャクソン)
  2. 悪い男(01 キム・ギドク)
  3. 白と黒の恋人たち(01 フィリップ・ガレル)
  4. ゴースト・オブ・マーズ(01 ジョン・カーペンター)
  5. 六月の蛇(02 塚本晋也)
  6. 〈クレマスター・フィルム・サイクル〉(94-02 マシュー・バーニー)
  7. Lost in La Mancha(02 ルイス・ペペ&キース・フルトン)
  8. ストーリーテリング(01 トッド・ソロンズ)
  9. ズーランダー(01 ベン・スティラー)
  10. 復讐者に憐れみを(02 パク・チャヌク)

番外 メトロポリス(1927-2002 フリッツ・ラング)

 バッド・テイストが勝利した一年だった、ということである。


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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / kiichiro.yanashita@nifty.com