みやざきじんけんふぇすた

◎今月のお仕事 『ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判』(洋泉社) 町山の生活を助けるために、買ってやってください。
         『ロバート・クラムBEST』(ロバート・クラム 河出書房新社)編・訳。少々お高いですが、その価値はあると思います。
         『地球礁』(R・A・ラファティ 河出書房新社) やっと本になったよ! 最初に訳を手がけてから20年くらいかかったんじゃなかろうか。       


10/13(日)
 朝、スカイネットアジア便で宮崎へ。宮崎シーガイアでおこなわれる人権フェスタみやざきで妻の演奏があることになったので。宮崎へ行くのは三度目。すっかりお馴染みである。なぜ人権フェスタで無声映画の伴奏なのかというのはよくわからない、がそういうものである(宮崎映画祭のスタッフ=宮崎文化本舗が映画関係のイベントを取り仕切っているせいなのだが)。映画は『チャップリンのキッド』。入りはまずまず、というところか。

 夜は映画祭のスタッフを集めてビデオ大会に興じる。宮崎の人はみんなよく食べるしよく飲む。ぼくは三時くらいで沈没。


10/14(月)
 晴れ。

 本日もシーガイア泊まり。人権フェスタをちろちろ覗きつつ、合間を盗んでちろちろ仕事。ちなみに黒木和男の新作『美しい夏キリシマ』という映画をやっていたのだが、これが製作過程でいろんなことがあってみんないろいろ大変らしい。ちなみに制作は仙頭プロデューサーなんだが、この人って本当に……

 シーガイアと言えば日本最強のバブル物件強者どもが夢の跡……じゃなくてW杯ドイツ代表チームのキャンプ地である。ということはこの芝生にカーン様がダイブしたのか!

 本日はシーガイアのホテル(シェラトン・グランデ・オーシャンリゾート 四十五階建ての高層ビルで客室は全室海向き)に移動。海を望むすばらしい眺望。眼下には素晴らしいゴルフコースと松林、それに日向灘。この豪華きわまりない施設にただひとつ欠けているのは客である。見事なゴルフ・コースに人影はなく、地下のショップ街には客よりも店員の方が多い。いったい何を考えてこんなところに国際規模のコンベンションホールだか国際試合も開催できるテニス場だか作ったもんだか。バブルって怖いぜ。で、毎回呼んでくれている宮崎文化本舗の人々といろいろ話したんだが、宮崎県、観光立国とか言うなら(カジノなんて言ってないで)映画撮影を誘致すべきではないか。季候はよくてすばらしい自然光があるし、海から山、高原から渓谷まであらゆる風景がロケに利用できる。人件費安いし。日本のハリウッドということでどうかね?


10/15(火)
 朝、宮崎から日豊本線で延岡へ。さらに高千穂鉄道に乗り換えて西へ向かう。本日は天孫降臨の地高千穂へ。宮崎はどこへ行っても異国だなあ、と思うんだが、本当はここが日本発祥の地なんだよね。

 高千穂神社の近くの民宿に泊まり、夜神楽を見にいく。高千穂では収穫が終わった11月から2月まで、天照大神の岩戸隠れをモチーフにした神楽を舞う。豊饒の祈りなので、当然ながらアレである(イザナギとイザナミの国産みの舞いとか)。リズム・セクションが格好いい。雅楽ってクソだと思うけど、日本の伝統音楽自体は悪くないよね。


10/16(水)
 午前中は高千穂の天岩戸神社へ。ここの御神体は天照大神がお隠れになった天の岩戸そのもの。さらに10分ほど歩くと天照が隠れちゃったときに、八百万の神様が「どないすべえ」と相談した巨大な岩屋がある。ここはもう完全に神域だった。朝早くて空気が澄んでおり、他に人がいなかったせいもあって、見事に神々しい雰囲気。ああ、ここが『千と千尋の神隠し』の世界なのか。あ、ということは千尋が働く湯屋は実はシーガイアの中にあったということなのか?

 帰りは熊本へ抜ける。車中、熊本市内の飲食店情報誌を眺めていて知ったんだが、谷ナオミって今熊本でお店やってるんですね。残念ながら飛行機の時間が決まってたので、店の前まで行って写真撮ってきただけで帰りました。

 そんな感じなんで代表のジャマイカ戦もU21の決勝イラン戦もちゃんとは見てないんだけど、U21は生で見た前半がまことに美しい流れるような今大会いちばんのサッカーだったので許したい(これが持続しないところがこのチームの弱さなんだが)。フル代表は……なんか監督には二種類あって、練習場でチームを作るタイプと試合の現場でなんとかするタイプがあるという。トルシェは前者で、後者の代表がセレソンのフェリペ(フェリペは“ロッカールームの魔術師”なのだが、ロッカーの外では何もしてないという評判もあるらしい)。で、ジーコが後者を志向してるのはあきらかなんだが、ということはサポート・スタッフの役割はこれまで以上に重要になるのではなかろうか。とりあえずメディカル・チェックのための合宿くらいは定期的にやるべきでは。
 で、唯一まともに見たのがU19アジア選手権日本2-1サウジアラビア いや、サウジに結構持たれてたりしてたんだけど、まあサッカーの神様はよく見てる、と言いますかね。一次予選の悲惨さとか見てると、ずいぶんチームになったなあ。大熊監督いいんじゃないですかね。このチームの基礎技術のベースが高いというのがよくわかるゲームだった。組織力あってこその個人技ですよ。ある意味ではこの三試合の中でいちばん楽しいサッカーをしていた。まああとは無駄なテクニック誇示プレイみたいなのがもうちょっと減れば……


10/17(木)
 夜、文藝賞のパーティへ。ここっていつも思うんだけど不思議なパーティである(狭いスペースなのにものすごく人が多くて、みんな食い物をあさっている)。去年は受賞者が美少女女子高生ということで大いに盛り上がったわけだが、今年は……やっぱ文学賞もキャラ立ちが必要だねえ。クラム本の編集者らと歓談。『噂の真相』の女の子編集者というのに紹介されたので、「もっとちゃんと取材するように」と忠告しておく。オレはもちろん何も言わないけどね。
10/18(金)
 GAGAでフィリップ・ガレルの『白と黒の恋人たち』。邦題は酷いが(原題は『野蛮な無垢』)映画は完璧。ラウル・クタールのカメラ見てるだけで涙が出そう。すげえ傑作。

 夜はヤケクソ祭り4@Loft+1 いつもにも増してしょっぱいイベントだった。劇的につまらねえ。

『イリーガル・エイリアン』(ロバート・J・ソウヤー 早川文庫SF)いただく。ありがとうございます。そう言えば今度の〈秘宝〉はディック特集なのだが田野辺くん曰く「『マイノリティ・リポート』でみんなディック特集してますけどこれをやってるのはうちだけですよ!」と自慢する驚異の仕掛けがほどこされている(まあ、こんなことを考えるのは田野辺くらいだ)。これ、みんな気づくんだろうか? ある意味真の海外SFファン度が問われている一冊と言えるだろう。ちなみにオレは全然わかりませんでした(しかし、今見たんだがちょっと濃くないか?)。


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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / kiichiro.yanashita@nifty.com