アジア映画ばっか見てる日記

◎今月のお仕事 『ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判』(洋泉社) 町山の生活を助けるために、買ってやってください。
         『ロバート・クラムBEST』(ロバート・クラム 河出書房新社)編・訳。少々お高いですが、その価値はあると思います。
         『地球礁』(R・A・ラファティ 河出書房新社) やっと本になったよ! 最初に訳を手がけてから20年くらいかかったんじゃなかろうか。       


10/1(火)
 試写に行こうかと思ったけど、家で台風中継を見てる方がいいや、と思ったんでヤメ

 アジア大会 U21日本代表5-2バーレーン このチームって本当に安定しないなあ。バーレーンはパスをつないでくるチームだったのでプレスがかかりやすかったせいもあるが、前半は鋭い出足で中盤を完全制圧、相手に何もさせなかった。ところが後半になって不可解なPKを取られたとたんビビっちゃって全員腰砕けになっちゃうんだよ。DFラインはずるずる下がっちゃうし。うーむ、まあ発展途上だから……ということでいいのか? DFかMFで戦える選手がいないと、これではどうしようもないのではなかろうか。こればっかは角田くんか今野くんが上がってくるのを待つしかないのか。今日はまぐれみたいなシュートがよく決まっていたので気持ちよかった。


10/2(水)
『スパイダー』(パトリック・マグラア ハヤカワepi文庫)、『千年王国の惨劇 ミュンスター再洗礼派目撃録』(ハインリッヒ・グレシュベック 平凡社)、『黒焦げ美人』(岩井志麻子 文藝春秋)、『プラットフォーム』(ミシェル・ウェルベック 角川書店)購入。
『スパイダー』はクローネンバーグの新作の原作。脚本もマグラアが書いてるのかな。『千年王国の惨劇』は朝日新聞かなんかの書評でメチャクチャ読みたくなったもの。16世紀の宗教改革熱で生み出されたカルトについての報告。

『ラストシーン』試写。たいへん楽しめました。実質ヒロインは麻生久美子だし。西島くんは最初は「麻生祐未の相手にはちょっと若過ぎない?」って感じだったんだけど、最後の回想シーンで喋ってないと結構さまになっている(日活スターぽく見える)んで感心しました。なんにせよ、日活でしか作れない映画である。劇中の医療アドバイザーの役は是非宮台真司にやってほしかった。適役だと思うんだけどなあ。
 脚本的にはちょっと弱くって、最後麻生久美子が叫んだからって全員心を入れ替えるってのは……本当なら麻生久美子が諏訪太朗にお祖父ちゃんのことを相談するシーンとかを入れておくべきだろう。まあ、みんな久美子ちゃんに叱られたいってことかな。プレスに監督が素晴らしいことを書いている。「男優さんは、この人は間違いないなという人を選んでおけば、大体それでいいんです。演出の時は、九割は女優を見ていますね。女優が作品の中で美しい存在でないと嫌なんですよ」あんた、正直すぎるよ。

 キーラー・ファンページを製作。のんびり更新してきますんで、よろしく。


10/3(木)
 DVDで韓国映画『悪い男』(2001 キム・ギドク)。キム・ギドクは『魚と寝る女』、『受取人不明』の監督。この人の映画って良くも悪くも昔の日本映画の香りがするんだけど、今回はもう完全に日活ロマンポルノ。ハメられて転落してゆく女子大生のお嬢様(菊川怜)とちょんの間の用心棒をしてるチンピラ(長渕剛)のすれちがい純愛メロドラマ。脚本はもちろん石井隆。監督はやっぱり曽根忠生だな。いや本当、絶対にこの二人名美と村木だと思ったよ。別れの場面とか、海へ行くところとか石井タッチそのものなのだ。
 ところでこの映画、90分で終わってたらメロドラマとしてほぼ完璧なんだが、最後10分エピローグというか天国篇みたいなのがついている。これがプロデューサーの意向で無理矢理つけた……とかいうならまあわかるんだが、絶対そうじゃないよね。このいらんとこまで含めてキム・ギドク。
 なんにせよ年間ベスト級の傑作である。どっかで上映されたら、万難を排して見に行くこと。

『王様の漢方』(牛波 講談社)いただく。さらに『アリスの人生学校』(ピエール・マッコルラン 学研)購入。これは鞭打ち小説の古典という奴である。


10/4(金)
 本日の試写もアジア系で二本。
『パープル・ストーム』はクメール・ルージュの残党が無差別毒ガステロで世界壊滅をはかるアクション・サスペンス。テロリストのメンバーを逮捕した香港警察がいきなりそいつを洗脳して対テロ組織のメンバーにしてしまうというのが恐ろしい。繰り返すけど、警察がテロリストを洗脳して実の父を殺させるのだ。「記憶喪失だなあ」とか言いながらガンガン拷問してるし、香港警察にだけは逮捕されたくない、と強く思ったよ。

 もう一本は韓国で大ヒットし「猟奇ブーム」も作ったという『猟奇的な彼女』。インターネットで発表された小説が大人気を呼んで映画化、ということなんで日本だとさしずめ「ちゆ12歳アニメ化!」とか? で、「猟奇的な彼女」がどんなのかというと、ちょっと勝ち気で自己チューだけど可愛いから許せちゃう、みたいなあまりに古典的なラブコメなのだった(その相手が典型的ダメ人間というのがあまりに願望充足的というか今風というか韓国のネチズンも同じだなあというか)。
 主演のチョン・ジヒョンはいいっす。まあこの娘の魅力とベタベタなラブコメの力で日本でも大ヒット、ではないかと。


10/5(土)
アジア大会 ウズベキスタン0-1U21日本代表 ディフェンス陣はまずまずさまになってきたような気がする。問題は(誰もが思うだろうが)ボランチだろう。森崎くん、なんとかならんのか。山本監督は「個々の選手への指示はしてない」って言ってたような気がするけど、さすがに森崎くんには一言言った方がいいような気がする。あと、阿部くん使えっての。
10/6(日)
 ディックの旧作読み直しの週末。どれもこれも全然覚えてねえ。ヤバイんじゃないですかねこの物忘れのひどさ。

『スパイダー』(パトリック・マグラア ハヤカワepi文庫)読了。訳者富永和子って『メイキングオブ「2001年」』のものすごい訳をやった人物じゃないか! つい「信頼できない語り手」じゃなくて「信頼できない訳者」がトリックなのか!? とか思ってしまったが訳には別に問題はなさそうだった。しかし、これどう脚色してるんだろう。話自体は『ブッチャー・ボーイ』みたいなんだけど、まさかクローネンバーグがあんな映画を作るわけはあるまいし。


10/7(月)
 早川書房にてディック鼎談。メンバーは大森望(司会)、渡辺麻紀、香山リカ、中原昌也それにオレ。統一感のかけらもないっつーかまったく先の読めないメンバー。予想通りダラダラとまとまりのない鼎談が続き、最後に中原が心ない感じのシメをするという。まとめる人(大森)の苦労がしのばれる。渡辺麻紀は成田から直行、香山リカは途中退席。暇なのはオレと中原だけか……
10/8(火)
『アホでマヌケなアメリカ白人』(マイケル・ムーア 柏書房)購入。『ロジャー&ミー』の監督のベストセラー・エッセイだが、こんなのいきなり出してどうする系の本ですね。さらに『航路』(コニー・ウィリス ソニーマガジン)いただく。ファンページにてんこもりのコンテンツをどうぞ。

アジア大会 U21日本代表1-0U21中国 体格もパワーもスピードもパスの正確性も全部中国の方が上だった。でも全然負ける感じがなかったね(0-0でPK戦かも、とは思ったが)。もう悟りましたよ。中国の勝負弱さはもう伝統の域に入ってる。オレの目の黒いうちは、どんなに中国がうまく早くデカくなろうとも日本が遅れを取ることはないだろう。
 準決勝は中一日、ちょっとは選手を休ませろっての。


10/9(水)
 またしてもアジア映画。気がつくと最近見てるのアジア映画だけだなあ。『青い稲妻』は中国の俊英ジャ・ジャンクー監督作品。ぼくはジャ・ジャンクー自体初見。いや、いい映画だとは思うんですが、主演の少年が篠崎誠監督に似てるのが気になって気になって……
 移動してもう一本は天願大介の『AIKI』。脇を固めるおっさんたちがみんないい味だしてるんだけど、その分主演二人の演技が辛いんだよ……しかし、見事に映画俳優の出ていない映画だなあ。なんか録音が妙に悪くて、セリフがくぐもって聞こえる部分がある。あれなんなんだろうか。

 夜は『航路』の打ち上げ宴会に潜りこむ。大森望が美女三人を侍らせて宴会すると聞いたので、それは許されないんじゃないかと思ってちょっと潜りこんでみました。嘘。実は『ネバーウェア』の打ち上げに関係ない大森を呼んだので、今回はまあそのお返しで呼んでもらったのです。

『戦う男:ベッカム』(ファーガス・ケリー 扶桑社)いただく。古沢さん、是非ベッカム長者になってください。


10/10(木)
 青山一丁目の試写室にて内覧試写。ネタ全部割られてたからな……

 夜、アジア大会準決勝 U21日本3-0タイ ほぼ完勝。タイはいかにも東南アジア的サッカーをやっていて、ボール扱いはなかなかうまいんだけど、スピードがないのと体が小さいのでテクニックを発揮できない。昔はこういうチームに結構やられてたんだよねえ。今日は狙ってボールカットして速攻で決めるという狙い通りの勝利(あいかわらずミスも多いしゴール前でマークをはずしてしまうこともあるが)。日本も強くなったもんだ。

 決勝は韓国かよしこい!と思っていたら韓国がイランに負けてしまった! いちばん気になるのはこれがチョン・モンジュンの大統領選に影響するのかということである……アリ・ダエイは父親に不幸があって帰国していたそうだが、これってまさか…… 


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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / kiichiro.yanashita@nifty.com