底抜けW杯日記一次リーグ最終節 韓国篇(3)

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6/11(火)
謎のデンマークサポ "Zidane Who?"フランス0-2デンマーク@仁川
 朝8時55分発のアシアナ便で仁川国際空港へ。当然徹夜なんだけど、飛行機の中でたっぷり寝たんで問題なし。空港からスタジアムでの車中ではフランスTSTで毎試合関空から一泊観戦に来ているというフランス・ファンと話す。「こう苦しんでるときこそ優勝ですよ!」とポジティブ・シンキング(少年ジャンプ主義)。はたして彼と日本の試合会場で再会できる日が来るんだろうか?
 韓国の試合会場だが、スタジアムは満点、運営はバッチリ(日本みたいに神経過敏な過剰警備じゃない)、観客はさっぱりって感じかな。そしてイングランドやアイルランドの試合を見た人ならおわかりのように、試合を作るのは観客なのである。この最終決戦にもファンの熱気はあまり感じられず、デンマーク・サポの一角だけが異常な盛りあがりを見せていた。まあ、ぼくの座っていたまわりは日本人ばっかりだったし、韓国人はみんな赤いシャツ来てるし、フランスの応援をするったってね。ウェーヴまで回ってくるし。試合中に。
 まったりとした空気が感染してしまったわけではないんだろうが、フランスはあまり執念を感じさせないまま終わってしまった。それとも最初の五分で自分のトラップについていけないジダンの姿を見て半病人に運命を託してしまった自分たちの愚かさを悟ったんだろうか。厚く守ってワントップでカウンター狙いというデンマークの注文に工夫もなくはまって二失点。たった二人でシュートまで行ってしまうデンマークの鮮やかなカウンターにフランス大会のナイジェリア戦を思い出した。ジダンは結局何もできずじまいだったが、MoMってなんやねん。傷口に塩を塗りこむような真似を。

ドイツ2-0カメルーン@静岡
 前半は明洞の飯屋で食事しながら。後半はホテル(つうかモーテル)のテレビで。韓国では地上波で全試合放送。それも放映権の配分とかそういう概念がないらしく、二つ以上の局で同じ試合を同時に放映している。なんか15分遅れくらいで流してる局があったり、一日中試合の再放送してる局があったり、あきらかに日本より恵まれてるね。
 で、試合の方は、エトオのスピードについていけないドイツにイエロー連発。ラメロウが退場になった(どうでもいいけど、これダイヴじゃないのか?)ときには「まさか一日でシードが二チームも消えるのか!?」と戦慄したんだが、逆にドイツの嫌らしさが出しやすい状況になっちゃったね。カーン様仁王立ち。『NUMBER』のインタビューで、リトバルスキーが「キャプテンシーのある選手とは、たとえ自分の調子が悪くても他の選手を叱りとばせる人間のことだ」と言っていたけど、今日のカーンはまさにそんな感じ。調子が悪かったっていうんじゃなく、ポストに当たったのも自分のおかげだと言わんばかりの顔をしていた。
 しかしドイツ、ワールドクラスが一人だけのチームでどこまで勝ち抜けるものだろうか。クローゼはたぶん得点王だと思うけど。


6/12(水)
 午前中は竜山電子商街へ出かけてDVDを大量購入。最初はためらっていたのだが、一枚二千円じゃん!と思ってからはとりあえず何も考えずに買いまくる。しかしいちばん欲しかった『火山高』はなかった。まだ出ていないのか。残念。その後新村へ出かけて服を見るが、あまりいいものがない。というかあまりに普通。韓国におけるバカ・シャツの黄金時代は終わってしまったのか。奥まった店で隅の方に押しこんであった在庫のシャツを探し出して購入するくらい。士郎正宗柄のプリント・シャツはさすがに着る勇気がなかった。

スウェーデン1-1アルゼンチン@宮城
 本日のシードチーム敗退。フランスとアルゼンチンと言えば優勝候補二強じゃないか。実はぼくはスウェーデンは勝ち残りの予想をしていた。ただし、その場合落ちるのはイングランドだと思っていた。まさかアルゼンチンが落ちるとはね。フランスとの共通点は監督が頑固で柔軟性に欠けるって点かなあ。結局オルテガと心中ってことになったのか。アルゼンチンの場合は普通にバティとクレスポの2トップで全然なんの問題もなかったと思うんだけど(十人中九人の監督はそうするだろう)、タレントが多すぎて使いこなせなかったとでも申しますか。
 デンマーク、スウェーデンの勝ち残りから思うに、今回の大会、攻撃陣が目立つんじゃないかと言われていたけれど、それ以上にスピードとパワーの重要性が再確認された、ということである。あとミドル・シュートの威力かな。枠に飛ばせる強力なミドル・シューター(イングランドのスコールズみたいな奴)がいないと、引いた相手から点を取るのは難しい。ああ、それは昔のオランダか。あらためてクライフとミヘルスは偉大だった。なんかトータル・フットボールばかりが言われてるけど、あのチームが勝ち抜けたのはDFの強力なミドルって飛び道具があったからなんだよね。フリット、ファンバステン時代だってクーマンがいたからこそ強かった。最近のオランダの低迷はそこら辺にも理由があるのかも。

 テレビで見ているときには日本より盛り上がってるのかな?と思った韓国だけど、実際に現地に来てみると大差ない感じ。まあどこでも街頭テレビで試合を放送しているってことくらいかな(地下鉄の中でも放送していたのにはさすがに驚いた)。韓国戦をのぞけば、ハットトリック・ブラ程度の盛りあがりぶりである。


6/13(木)
トルコ3-0中国@ソウル
 こんな試合をわざわざ見に来るのはよっぽどの暇人かマニアだけだろう。ま、それはどちらにも該当するが、もうひとつ「なんかの間違い」というのもあるかな。一応理由としては日本の対戦相手の偵察ということになる。しかし、中国のDF陣があまりに無様なミスをして開始10分で2点プレゼントしてしまったので、ほとんど弱点なぞ探るヒマはなかった。中国、ちょっとボールを回されるともうついてけない。サウジとは別の意味だが、やはりワールドカップレベルではないね。
 トルコはショートパスを丁寧につないでサイドから崩す、いわば日本と同型のチーム。中盤の構成力は日本の方が上だと思う(その分前線の迫力はトルコが勝る)。中盤できっちりプレスがかかれば勝てない相手ではない。以上スカウティング・レポートとしてください>トルシェさん。そんなわけでわりと退屈な試合だったんだが、一度心底驚かされる場面があった。試合中、スタンドに飛びこんだボールを中国の応援団が返さずにいたんだが、ピンチの瞬間を見計らってグラウンドに蹴りこんで試合を中断させたのである。まさに十二人目の選手(笑)。緊迫した試合だったら問題になったと思うけど、すでに終わったゲームだから誰も気にしませんでした。

 食料を買いこんでホテルへ戻り、テレビの前に正座。

メキシコ1-1イタリア@大分
 ボルヘッティのゴールは凄かったなあ。イタリアはいつものようにいつものペースで試合をしてたんだけど、どうもゴールだけが決まらない。そこへ青天の霹靂みたいな奇跡的バックヘッド(DFはしっかりついていたにもかかわらず)。こりゃやべえ、とみんな思ったはずなんだけど、結局追いついてしまった。実際には一点差負けのままでも二位になっていたようだけど、一次リーグで二敗して優勝したチームはない。あそこで追いつけるかどうかがフランスとの経験値の差(およびプレイ・スタイルの差)だったってことなのか。それにしても引き分けでいいとわかった瞬間にサッカーをやめてしまう両チームの潔さ。はじめて一次リーグ最終戦らしい試合を見た。


6/14(金)
 成田着13:40。入管、税関を疾風のごとく駆け抜け、14:15発の京成特急に飛び乗る。上野着15:28。タクシー。あああ渋滞! 工事! 土建屋死ね!
 結局前半20分過ぎから観戦。

日本2-0チュニジア@大阪
 試合については特に言うべきことはない。選手交代はバッチリでしたね。森島点入れたし。中田と稲本を休ますこともできたし。小野くんはだんだん良くなってきて、体調があがってきた感じだな。これで次はトルコ、そしてスウェーデンと長居で再戦だ! いいなあ、準決勝のチケット持ってる人。
 ところで、みな当たり前のように小野、稲本のゴールデンエイジが選手として絶頂期を迎える2006年ドイツ大会で日本は(最初の)ピークを迎えると考えているわけだが、よく考えなくてもそのとき日本がシードされる可能性は(優勝でもしないかぎり)皆無なので、日本が死のグループに入るのはほぼ確実である。というか、日本の入ったグループが死のグループと呼ばれるナイジェリアみたいな存在になるのはまちがいない。それを思うとこんなチャンスは今度いつ来るかわからないんだ。行けるとこまで行くぜ!

 おまけ。韓国の連れ込み(オンドル部屋)はこんなのです。ラブホだから当然エロチャンネルは無料!


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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / kiichiro.yanashita@nifty.com