アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない

◎今月のお仕事 12/15(土)『血を吸う宇宙』秘宝大決起集会@テアトル新宿
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11/21(水)
 神保町Folioで『文藝』のMと打ち合わせ。その後洋泉社に寄る、が手痛い忘れ物を!

 まとめ買いすると、普段なら買わない本を買ってしまうのがいかんよなあ。『タリバン』(アハメド・ラシッド 講談社)、『発掘捏造』(毎日新聞旧石器遺跡取材班 毎日新聞社)、『文学を探せ』(坪内祐三 文藝春秋)、『インスマス年代記上・下』(スティーヴァン・ジョーンズ編 学研M文庫)購入。

 ところで、マフマルバフの映画公開に合わせて、彼が書いたレポートが本として出版された。これ、たいへん素晴らしい本なので、ぜひみなさんにも読んでいただきたい。普段はやらないんだけど、今回だけはTV bros.の書評を発売前に紹介させてもらう。

アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない 恥辱のあまり崩れ落ちたのだ

 テレビをつければタリバーン、ビンラディン、カンダハールといった言葉が聞こえてくる。みんな、それが何者であり、何が行われている土地かを知っている。アメリカの爆撃は当然のことだと考える人も、単なる無差別殺戮の繰り返しでしかないと考える人も、そこが貧困と飢餓の土地であり、テロリストと麻薬以外何も産み出していないと知っている。世界の目がアフガニスタンに注がれている。でも、いつから? もちろん今年の9月11日、二機の飛行機が世界貿易センタービルに突っ込んだ瞬間からだ。では、それまでは? もちろん誰も知らなかった。いや、知っていたかもしれないが、気にも止めていなかった。不毛の土地など誰も気にしていなかったのだ。

 ここにひとつの統計がある。一九七九年にソ連がアフガニスタンに侵攻してからの約20年間、絶え間ない戦争と飢餓と貧弱な医療設備のせいで人口の八分の一、250万人が死亡した。年に12万5千人、一日340人、一時間14人。つまり、20年間にわたって五分に一人死につづけたことになる。その間、国外に脱出した難民は630万人。アフガニスタン人の平均寿命は1960年時点(34歳だった)よりも短くなっている。有名なタジクの詩人は語った。「アフガニスタンが持つすべての悲しみのために、世界の誰かが死んでも不思議ではない。この悲しみのために、誰も死なないとは何と不思議なことだろう!」

 イラン人映画監督モフセン・マフマルバフがこの告発の書を書いたのはタリバーンがバーミヤンの仏像を破壊し、貴重な文化財の破壊に世界中で抗議の声があがったときである。文化的な人々は仏像の破壊には抗議しても、五分に一人死んでいく人のことは気にもしなかった。だから仏像は崩壊したのだ、とマフマルバフは言う。「ついに私は、仏像は誰が破壊したのでもないという結論に達した。仏像は恥辱のために崩れ落ちたのだ。アフガニスタンの虐げられた人びとに対し世界がここまで無関心であることを恥じ、自らの偉大さなど何の足しにもならないと知って砕けたのだ」あるいはバーミヤンの仏像破壊は、そして貿易センタービルに突入した飛行機すらも、無視された人々の必死の叫びなのかもしれない。この戦争がどんな結末に至ろうと、せめて、叫んでいる人がおり、我々がその叫びを無視しつづけたことだけは忘れたくない。


11/22(木)
 東宝にて中田秀夫の新作『仄暗い水の底から』見る。冒頭の雨が素晴らしかった。あとは……まあ水準作かな。なんか仕事をしなければならないらしい。うーむ。

 ジョー・ランズデールの『ボトムズ』読む。うーむ、なんなんだこの訳は。誤訳があるかどうかはしらないが、たとえ正確だとしてもあまりに味のない訳である。まるで英文和訳みたいな文章だ。文体で読ませる作家にこんな味のない訳をつけちまっちゃあ、もう台無しよ。


11/23(金)
 大森一樹プレゼンツ芦屋映画祭にて妻が演奏する。というわけで朝8時の新幹線で新神戸へ向かったのだが……今日は三連休の初日だったんだね。いやもうたいへんな混雑で、新幹線であんなのはじめてですわ。乗車率何%くらいだったんだろう? 名古屋までは身動きもできないラッシュアワー。新大阪でやっと座れた。新神戸まで。
 せっかくなので映画祭で『明るくなるまでこの恋を』を見る。これは大森一樹が監督・脚本にたずさわり予算100万円で宝塚の映画館シネ・ピピア開館に合わせて製作したもの。当初はピピアでしか上映されなかった。ようやくビデオも出るというので、それに合わせての上映。さる映画館が閉館する晩、そこに集まった人たちの人間模様というお話である。なんだけど上映中に喋る奴が異様に多くて、嫌な映画館だねどうも。

 その後『散りゆく花』


11/24(土)
 芦屋に一泊して、翌日はさらに大森一樹監督・脚本で『走れ、イチロー!』。いやあ、公開時には見逃していたもんで。
 このメンバーでこんな映画を作ってしまった、というのがいちばんスキャンダラスな感じで、とくにそんなに面白くはないんだよなあ、これ。ともかく目をつぶっていても話がわかるような映画なのだ。ラジオ・ドラマでも良さそうな感じ。

 なお、京都に寄ってから帰ったんですが、帰りの新幹線では新横浜まで座れませんでしたとさ。


11/25(日)
 FILMEXに行こうと思ってたんだけど、結局出かけないで仕事してましたわ。
11/28(水)
『王者のゲーム』(ネルソン・デミル 講談社文庫)いただく。頑張って追いつきたい(でも無理な)白石朗翻訳作品。

 ところでw32.BADTRANS.B@mmメチャクチャいっぱい来るねえ。すげえ流行ってるんだなあ。あんなに言われてるのにいまだにOutlook使ってる人がいっぱいいるってのが謎なんだが、削除できないからしょうがないのか。とか言いつつマカーのオレには全然関係ないことなんで、ちっともウィルス対策とかしてないです。今ごろ気づいたんだけど、これまで読まずに食べていた大量の文字化けメールって、あれみんなウィルスだったのかな? いやなんかマックだと添付ファイルがデコードされずにhexで受け取っちゃうんですよ。


11/29(木)
 授業。今日はセックス映画の歴史です。別名セクハラの回ともいう。
11/30(金)
『ジェヴォーダンの獣』@メディアボックス。18世紀に実在したという謎の獣の伝説に材を取り、100人以上の女子供を殺したというけだものと、それに戦いを挑んだ男たちの戦いを描く。で、みんな時代錯誤的にカッチョいい衣装を身にまとい、登場するのはカンフー使いのインディアン、片腕の銃の名手、娼婦に身をやつした女スパイ、それにもちろん不死身の獣。いやこんだけギミックてんこもりなら目つぶったっておもしろい映画ができそうなもんなんだが、なんかフランス人ってポイントをはずした連中だよなあ。どうもピントがずれてるんだが、これって民族的なものなのか?

『インスマス年代記』読むが、訳が……固有名詞の表記がメチャクチャで気持ち悪すぎる。だが大瀧啓裕なもんで、わざとなのか天然なのか判断できんのがさらに……


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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / kiichiro.yanashita@nifty.com