オチがなくてすいません
◎今月のお仕事 ハヤカワ・ミステリ・マガジンにニール・ゲイマンの『恋するハーレクィン』訳載。『ネヴァーウェア』(インターブックス)発刊記念です。
6/11(月)
銀座で『エボリューション』披露試写会。今度はデヴィッド・ドゥカプニー+佐伯日菜子という舞台挨拶。まあ例によって白痴のような前説舞台挨拶花束贈呈つき。どうにかならんか、こういうの。映画は隕石にくっついて地球に落ちてきた異星生命体が大進化してさあたいへん、みたいな話。CGが安くなったおかげで、白痴のようなシナリオの低予算映画でもそれなりに格好がついてしまうのははたしていいことなのかどうか。なんかサタデー・ナイト・ライヴのコント集みたいな、軽くてスケール感のない映画だった。
監督アイヴァン・ライトマン、出演デヴィッド・ドゥカプニー、ジュリアン・ムーア。ジュリアン・ムーア稼いでるなあ。
6/12(火)
ヘラルドで試写。江戸木純とか、『ディレンジド』の首謀者の人とか来ている。映画はまあなんというか、おたくな仕事でした。終わったあと、ヘラルドの女性陣を加えて2時くらいまで飲む。話題はもっぱらブラ酒。
『サッカー批評#11』購入。
6/13(水)
銀座で〈ぴあ〉の担当が変わるんで、引き継ぎ。
その後美学校で『アメリカン・ナイトメア』。ロメロ、カーペンター、トビー・フーパーらへのインタビューからアメリカン・ホラーの源流を探る。『ナイト・オブ・リビング・デッド』のカットと公民権運動のクリップを並べて、「ほら、同じでしょ」とやるところはうまい。こういうの、わかっていても映画じゃないと出来ないから。
あと、トム・サヴィーニが狂ってるのはみんな知ってのとおりだけど、あらためて見てロメロの頭の良さとフーパーのキチガイぶりに感心した。特にフーパーはヤバい。映画が頭良さそうに見えるだけに、よけい。
明治屋でワインを買って帰る。
6/14(木)
調子に乗っていたので、つい〈NUMBER〉のコンフェデ杯特集を買ってしまう。しまった、ここって金子達仁と杉山茂樹の本拠地なんじゃないか。もう、台無し。二度と買うもんか。
ところで前号に杉山茂樹が書いていたチャンピオンズ・リーグ決勝戦レポートを読んでいても思ったんだんだが、この人たち(杉山、金子、馳星周)はよっぽどバイエルンが嫌いらしい。それとも単にスペインが好きで好きでたまらないのかな? あの試合見てオリバー・カーンについて何も書かずに済ませられるって信じられない(何が凄いって、三人の原稿あわせてもカーンの名前一度しか出てこない。主審すらカーンよりは多く言及されている)。そんなに憎いのか。
渋谷でちょっと買い物。さらに人と会って人生相談に乗る。ほら、オレってカウンセラー体質だし。
6/17(日)
夜、久しぶりな電話があって、しばらく電話連絡が続く。なんともなあ。
6/18(月)
珍しく早起き。
8時半から渋谷パンテオンで『A.I.』。いやあ、なんじゃこりゃ。盛り上がりもなくやる気もなく、淡々と物語が進んでいくだけで、そういうところだけキューブリックっぽい!? スピルバーグならいくらでも盛り上げポイントはあると思うんだが。
見ている最中、「中原が好きそうな弛緩した映画だなあ」と思ったが、やっぱり中原昌也絶賛でした。ついでに大森望から(余っているという)『スーパートイズ』(ブライアン・オールディス)をもらう。
そのまま中原らと飯を食い、ダラダラとお茶など飲んで喋りつづける。途中2時からシンコーミュージックの女の子と打ち合わせるので別れ、そんでもって3時過ぎにビターズ・エンド事務所でまた中原と再会。一緒に『忘れられぬ人々』の篠崎誠監督にインタビューする。というか、中原一人だと会話が3分で終わってしまうので、お目付役として呼ばれたのだった。でもさすが元評論家だけのことはあって、篠崎監督にまかしておいても大丈夫だったかも。
インタビュー終了後、篠崎、中原、秘宝・田野辺でお茶に行き、オフレコの話をいろいろ聞く。新作、すげえ楽しみ。あ、『忘れられぬ人々』も傑作なんでみんな見ようね。
なんか半日中原と一緒だったような。
6/19(火)
〈読書人〉から『すべての場所に花束が…』の書評依頼があったが、断ってしまう。
「だって、『子猫が読む〜』の書評も書いたし……」と言ったら「いえ、『子猫』は別の方におねがいしました」「え、そうだっけ? じゃあオレどこに書いたんだ? 〈図書新聞〉? うーんうーん」と電話口で考えこんでいたら「柳下さん、興味ないですか?」と言われてしまいました。いや、オレは中原は真の天才だと知っているけど、オレがそう言ってるばっかだと全然読者層が広がりそうもないから、中原のためにはならんのじゃないかと思ってしまうんだよな。それよりゃあ高樹のぶ子の選評でも掲載する方がいいんじゃないか。
あ、オレが引き受けて、原稿のかわりに高樹のぶ子の選評を送りつければ良かったのか!
ちなみに正解は「『マリ&フィフィ』の書評を〈読書人〉に書いた」でした。
6/20(水)
ヘラルドで『ドリヴン』。いやあ笑った笑った。車が縦になって飛んでくのもアレですが、そのあとの展開がさらに。思わず試写室で(!)スクリーンに向かって(!)突っ込みを入れてしまいました。いや、普段はそんな人間じゃないんですよ、オレって。どうかわかってください。
終わってから「どうですか?」と聞かれたので「いやあおもしろいよ。『AI』より笑えるよ」って言ったら、「それ、コメントで使わせてください!」と言われましたが。そ、それでいいんですか?
それで帰るつもりだったが、まあいろいろあってつかまってしまったんで時間つぶしに一本試写を見る。四人しかいない贅沢な試写。映画はなかなか良かったが、そのタイトルをここに書くわけにはいきません。
そしてそのあと打ち合わせに……みんなに食い物をおごって、タクシー代出してもまだ残ったぞ。それはいいんだが、仕事が……
6/21(木)
不祝儀につき、とくになし。
bk1で大蔵貢の自伝、『わが芸と金と恋』を買う。復刻版買うなって? しょうがないだろう、持ってないんだし。あ、あとこの本を買うことは本ページではたいへん推奨されています。理由? やだなあ、そんな野暮なこと聞くなよ。
6/22(金)
夜、ホテル・オークラにて中原昌也&青山真治の三島賞授賞式。いや本当はそれだけじゃなくて山周賞とか川端賞とかもあるんで、車谷重吉とかそういう人も来ていたんだけどね。筒井康隆はいなかった。
さすが新潮社だけのことはあって、立食の食事にはフォアグラとかオマール蝦とかなんとかえらい高そうなもんばかり並んでおる。で、「とりあえずフォアグラちゅうもんを食っとこか」とフォアグラのソテーにかぶりついていたら、それを見た編集者の人約二名がすぐさまフォアグラ皿を取りにいった。もう情けないことおびただしい。平凡社で荒俣宏につきあって甘いもんばかり食べている人はしょうがないかとも思うが、高級ファッション誌のエディターとしてはいかがなものだろうか。Tさんには猛省をうながしたい。
とやかくあって、二次会。これは新潮社主催で中原&青山合同。とりあえず中原にお祝いをあげたりして平和に過ごしていたが、終了間際になってあっと驚く驚愕の事態に!
……
みなさまの期待を裏切ってしまったことはわかっている。オレだってこんな結末はつまらんと思う。こんなことならもっと相手の蔵腑をえぐりとるような言葉を吐いて、抗争を盛り上げておけばよかった。これまではできるだけ顔をつきあわさないようにしてたのに。くそう。でも、しょうがないじゃないか。向こうから謝られちまったんだから。大人だし、オレ。
そういうわけで、和解しちゃったよ。
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Yanashita / 柳下毅一郎 / kiichiro.yanashita@nifty.com