下手にゴダールなんか見に行くと大変、という教訓をいただきました

◎今月のお仕事 『サッカーの敵』(サイモン・クーパー 白水社)発売中。東欧とアフリカと南米のサッカーについて書いたルポルタージュ。解説:後藤健生  


3/2(金)
 ソニーでツイ・ハークの新作『ドリフト』見る。去年のヴェネツィアだかどこかで、「ツイ・ハークがウォン・カーウァイやってる」と評判になった奴である。で、本当にウォン・カーウァイなんだこれが。ウォン・カーウァイって手法として使えるものだったんだねえ。いや、よく「ウォン・カーウァイが香港映画をダメにした」って言う人がいるんですが、こういうのを見せられると本当、それに同意したくなる。
 というのもだね、ぼくはウォン・カーウァイは全否定じゃなくって、初期の何本かはまだ好きなんだ。『今すぐ抱きしめたい』は本当に素晴らしかったと思う。あのフィルムの生々しい質感は香港映画の最良の部分を引き継いだものでもあった。でもなんでその部分が「ウォン・カーウァイ的」にならず、軟弱な主人公がブツブツ意味不明のモノローグをしてあとは適当に音楽でつなぐ、みたいな映画になってしまったのかねえ。

 その後ヘラルドに遊びに行き、いつものメンバーで朝まで麻雀……というか仕事です、打ち合わせだね、うん。後半三連勝しましたが、場代程度かなあ。タテチンやってると待ちがわからなくなってしまうのがどうも。


3/3(土)
 白金で神代創の結婚式。なんか高そうな店だった(笑)。ネットワーカー結婚なので、きっとあちこちにレポートとかアップされることだろう。というわけで以下略。

 二次会はジモッチー、添野の先導でガーデンプレイスまで歩き、大森望、さいとうよしこ、堺三保、我孫子武丸田中啓文各氏らとお茶、その後ダラダラと場所や飲み物をかえつつ結局9時半ぐらいまで一緒にいたんですかね。最愛の後輩を女にとられた堺の荒れぶりが印象的であった(嘘)。

 大森望から『SF JAPAN』(ダブリ本)と『ブレアウィッチ/ラスティン・パーの告白』(D・A・スターン アーティストハウス)もらう。


3/4(日)
 妻と白金の友人宅へ出かけ、鍋をつつく。
3/5(月)
 東和で『ミリオンダラー・ホテル』。やっぱりキチガイはジョン・レノンが好きなんですねえ。それにしてもヴァンダース何をしたかったのやら。いや、たぶんこじゃれた小品を作りたかったんだと思うんだが、なんかなあ。昭和は遠くなりにけり、かなあ。

 映画が終わったあと、香山リカとデート。つーか、飲みに行っただけだけど。なんかいろいろ話す。

『転落の道標』(ケント・ハリントン 扶桑社)いただく。ありがとうございます。


3/6(火)
 松竹で『天国から来た男たち』試写。三池祟史の新作だけど、撮ったのは『漂流街』のころだからもうみんな見ちまってるのかな? 試写にもひとつ熱気がなかったのが気がかり。
 で、映画はまあ面白かったんですが、ちょっとクライマックスのあたりでもたつくのね。この程度の話だったら80分くらいで撮ってほしい。三池祟史なら、それくらいはできるはずだ。

 その後、レイトショーで『東風』見ようと思ってシネセゾン渋谷に行ったら、青山真治がいやがった! あーケッタクソ悪いもん見ちまったぜ。


3/7(水)
 今週はよく映画を見ているなあ。まあ、今仕事が一段落しているせいでもあります。決まりそうな仕事はいくつもあるんだけど、なんかいろんな事情でペンディングなんだよね。たぶん決まるときには一気に決まって、メチャクチャ忙しくなるんだろうなあ。

 というわけで今日も試写。美学校で『ベレジーナ』見る。うひゃあ。こ、これはスゲエや。ダニエル・シュミット久々の傑作である。マジなのかフザケてんのかちっともわかんないところが素晴らしいですね。なんか来日したシュミットは「日本の映画評論家は誰もファスビンダーのことを知らん……」と怒っているとか。
 その後6時半からフィルムセンターで『狼火は上海に揚る』見る。ゴスフィルムで発見された幻の日本映画特集の中の一本で、日中合作の国策映画だ。高杉晋作(バンツマ)が上海で英米の横暴を目撃し、太平天国軍の将軍と意気投合。「共に闘って毒虫欧米を東亜から追い払おう!」「おお、そうだそうだ。中国語はわからないのに意味はわかるぞ!」と誓い合うのである。アジア人同士、非言語コミュニケーションまでオッケーなのだ。

 それで思い出したが『電波少女アルジュナ』(ちょっと違うか?)っておもしろいねえ。すっかりはまっております。エコ電波系として注目されてるみたいだけど、それもさることながら演出が。「言葉がすれ違う」をそのまま絵にしてしまうとか、クローネンバーグも裸足で逃げ出す身も蓋もないメタファーの映像化に痺れる。


3/8(木)
 一日うちにこもって確定申告の計算をするが、涙の出てきそうな結果に。

〈サッカーマガジン〉の佐山一郎コラムに『サッカーの敵』が取りあげられているというので、編集者がコピーを送ってくれた。しかし、オレ的には佐山一郎がこのページを読んでいるらしい、という方がショックだったり(ちなみに絶賛書評でありがたいことです)。

 なんにせよ、そろそろ開幕である。toto買いましたか?


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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / kiichiro.yanashita@nifty.com