青く染めていけばよかったよ

◎今月のお仕事 『サッカーの敵』(サイモン・クーパー 白水社)、2月下旬発売。東欧とアフリカと南米のサッカーについて書いたルポルタージュ。解説:後藤健生  


2/1(木)
 今日、恐ろしいことに気づいた。
 いつものように演奏から帰ってきた妻は、疲れていたらしく、荷物を置いて服を着替えながら「んにゃあ」とか「がおー」とか意味不明の言葉を喋っていたのである。え? 「うにゃあ」なんていう人間がゲームやアニメの外にも存在するのか?
 そこではたと気づいたんだが、うちの妻は結構幼い。まあいくらなんでも中学生には見えないが、年よりはだいぶ幼い。体型的にも。で、眼鏡っ娘だ。ピアノを弾いたりするが、けっこう天然ボケなところも。
 恐ろしいことというのはだ、つまり、うちの妻って萌えキャラだったのか? 結婚十年たつまで気づかなかったが。考え出すと恐くなってきたので、何も考えないことにしてさっさと寝てしまいました。

 今度、ネコ耳生やしてないかどうか調べてみよう。


2/2(金)
『テレビばかり見ていると馬鹿になる』(山本直樹 太田出版)、『罠の女』(エンキ・ビラル 河出書房新社)あと資料として漫画本を2冊ほど。ビラルはもう三巻目が出てるんだよなあ。

 夕刻、西葛西へ出かける。大森望の四十歳の誕生日なので、葛西方面在住翻訳家とSFオンライン関係者を中心に祝う。オレはどっちでもないけど、まあなんとなく関係者っぽい顔で。しかし、祝われるはずの当人はちっとも仕事が終わっておらず、イタ飯屋でパソコンを叩いたりしているのだった。なんか、『このSFがすごい2001年版』ってまだ入稿とか言ってるらしい。なんか信じられないようなスケジュールで動いている世界もこの世にはあるのだなあ。
 なんだかんだでカラオケまでつきあい、早朝帰宅。


2/3(土)
 インターブックスのMと打ち合わせ。まあ懸案にひとつの方向が見えた。とりあえず片づいたってことで。
 すでに「売れる本を作る!」という野望は放棄したよ。
2/4(日)
 夜、NECOで増村の『赤い天使』やっているので見てしまう。いやあやっぱり傑作すぎる。外では兵士が戦闘配置で緊迫し、だが内では軍服プレイってこれなんざんしょ。今月いっぱい放映されるので、Channel Necoを見られる環境にある人は必ず見ておくこと。それにしても、鶴崎はヒサンすぎる。
2/5(月)
 美学校で『シーズン・チケット』試写。ニューキャッスル在住の母子家庭の不良少年が、ニューキャッスル・ユナイテッドのシーズン・チケットを手に入れようとさまざまな犯罪行為でお金をためるが……ニューキャッスルってアラン・シアラーがいるって以外は何もないチームのような気がするんだが、映画の中でもほとんどそのまんま。トヨタ・カップで来たときはケヴィン・キーガンがいたんだっけか?
 しかしあそこまでしなくたって試合くらい見られそうなんだがなあ。

 深夜、『CURE』。つい最後まで見てしまいましたとさ。しかし水野晴男の解説はすごかった。「最後、役所広司がたいへん陽気になってしましたね。これが逆に不気味ではないでしょうか」っておまえラストの意味わかっとるんかー。


2/6(火)
 東映第二で『死びとの恋わずらい』。大林宣彦リスペクトみたいな映画でしたな。でもそれなら大林に撮らせた方がいいよ。三輪ひとみが脱いだかもしれないし(脱がねーよ)。どうも話の流れが変だなあと思っていたんだが、田野辺くんに原作の話を聞いてやっと納得した。まあ、ぼくは三輪ひとみを見に行っただけなんで、その部分はぜんぜんオッケーだったよ。出番が少なすぎるけどね。

『消える本、残る本』(永江朗 編書房)いただく。


2/7(水)
 築地の東京ニュース通信社でエンキ・ビラルの取材。ビラルはフランス大使館後援の原画展のために来日してるんだが、なぜかほとんど取材が入っていないようで、〈テレビブロス〉で1時間ももらって取材できることになってしまった。なんでも、今日一日〈ダ・ヴィンチ〉が夏目房之介でぶらさがり取材をして「ビラル滞在記」みたいな記事を作るとかで、当然取材にも夏目房之介他〈ダ・ヴィンチ〉御一行様がついてくる。編集者3人、カメラマン2人を含む総勢十名の大取材になってしまったんで、異様にキンチョーしましたよオレは。
 それにしても失敗だった。髪、青く染めていけば受けたのになあ。

『誰も教えてくれない聖書の読み方』(ケン・スミス 山形浩生訳 晶文社)いただく。


2/8(木)
『極彩色メキシコ巡礼』(小野一郎 晶文社)いただく。なぜ送ってきたのかはしらないが、嬉しいかも。
2/9(金)
 シネカノンで『ふたりの人魚』見る。FILMEXのグランプリ作品。手持ちカメラで撮った完全一人称映画。主人公の語りが途中から現実を浸食していき、どこからが主人公の語る物語なのかわからなくなっていく。なかなかおもしろい映画でした。しかしカメラはぐらぐら揺れぱなしのブレア・ウィッチ状態なので、そっちに弱い方はご用心。

 その後イマジカで試写。大いに堪能する。終わったあと、秘宝の田野辺、大内、高橋ヨシキ(全員大喜び)で飲み屋に行って、くだらない話をいっぱいする。身になる話はほとんどなかったような。


2/10(土)
 下北沢のスズナリで〈文殊の知恵熱〉第12回公演。
 とうじ魔とうじ+松本秋則+村田青朔三人のユニットである〈文殊〉は好きなんでずーっと見に行っているんだけど、今回はつまらなかった。なんかちょっと行き詰まりを感じさせる出来だったように思う。やってることはこれまでの焼き直しばかりだし、全体の統一感がない。三人、考えてることが違う方向に向いてるんじゃないか、とさえ思えた。

 いろいろ難しいもんですなあ。


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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / kiichiro.yanashita@nifty.com