キンスキーの夢
◎今月のお仕事 SFマガジン2000/12月号にジーン・ウルフの短編「ユニコーンを愛した女」訳載。
『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』(中原昌也 河出文庫)解説。自分で言うのもなんですが、なかなか傑作だと思うんで立ち読みでもしてやってください。
10/23(月)
午後、編プロの女の子に会って、殺人関係の図書貸し出しサービス。有料サービスでそういうのやろうかしらん。殺人図書館!
深夜アジア杯イランVS韓国 なんか東アジア大会になってしまいそうな雲行きなんですけど。バゲリとダエイの個人能力は素晴らしかったが、チーム戦術が皆無だったねえ。ダエイは日本とやりたかったみたいだけど、残念でした。ぼくも日本との試合が見たかった。
10/24(火)
メディアボックスでファンタでも上映される『処刑人』見る。なんか話が進むうちにどんどん電波が強くなってくる感じが素敵だった。田野辺くんとギンティが来ていたが、二人とも大興奮。田野辺くんの話だと、ウィレム・デフォーが電話を受けるあたりで淀川さんが降りてきたらしい。見る方もだいぶん電波受けてます。
終わったあと江戸木純も入れて4人でお茶する。
アジア杯 日本4-1イラク いまだ平均4点ペース続行中。なんか、今日は稲本がぼーっとしてたね。稲本って休ませるとかえって駄目になってしまうタイプのような。その後半分眠りながらサウジVSクウェート見る。サウジは韓国をのろのろペースに巻き込めるかどうかが勝負かもしれない。
10/25(水)
松竹でデミ・ムーアの『薔薇の眠り』。なんですかこのタイトルは。デミ・ムーアはNYで文芸エージェントをやってるキャリアウーマンなんだけど、夜になると南仏で二人の娘を育てる母親になる夢を見る。どっちが本当の現実なの?ってどっちでもいいだろ! あんな豪邸に住んでるんだったら。しかもどっちもデミ・ムーアだし。考えられるかぎりもっともヒドイ落ちがついていて、脱力も二乗。
本屋をまわってちょっと買い物。『蘭に魅せられた男』(スーザン・オーリアン 早川書房)、『19歳の結末』(祝康成 新潮社)、『死体に目がくらんで』(釣崎清隆 リトルモア)、『プロレタリア文学はものすごい』(荒俣宏 平凡社新書)ほか。
そんなこんなで9時過ぎまで時間をつぶし、丸の内東映で『バトル・ロワイヤル』の初号! 映画監督がいっぱいいた。若松孝二とか阪本順治とか。中学生の人たちもたくさんいた。たけしはいなかった。いやいたのかもしれないが気づかなかった。ともかく丸の内東映の前はすごい人混みで、今にも殺しあいがはじまるかと……
10/26(木)
ドイツ文化センターでヘルツォーク特集。『問いかける焦土』。寝ました。すいません。帰りにヘルツォークくん2001年カレンダーをもらいました。パンドラより好評発売中です。よろしく
『サンドマン夢の狩人』(ニール・ゲイマン/天野喜孝 インターブックス)いただく。
深夜アジア杯 日本3-2中国 いやあ、今大会ではじめて手に汗を握る試合を見た。さすがに中一日は辛い。全体に体が重くて、パスミスがすごく多かった。特に後半、明神と森島がバテバテで見てられませんでした。早く替えてあげなさいって。
ともかく、これで決勝を4-0で勝てば予言成就ということに。
10/27(金)
今日もドイツ文化センター。『ヴォイツェック』と『コブラヴェルデ/緑の蛇』ご推察のとおり、クラウス・キンスキ−二本立てである。『ヴォイツェック』は落ち補拾い。ところで今日見てて思ったんですが、ヘルツォークってリーフェンシュタールのことどう思ってたのかなあ。なんか書いたものとかないんだろうか。すごく気になる。
その後走って日劇。『チャーリーズ・エンジェル』! 素晴らしい映画だった。映画として必要なものしかない−−すなわち全編カンフー、コスプレ、裸、カンフー、コスプレ、裸……このくりかえし。ダレ場もなければストーリーも演技もなんもなかった。それでいいのか? いいに決まってんだろが! 中野監督「もう目がにじんでまともに見ていられませんでした」とか
10/28(土)
またもドイツ文化センター。なんか学生時代を思い出したようにマジメに通学している。今日は『キンスキー、我が最愛の敵』と『アギーレ・神の怒り』。もう毎日がキンスキー漬け。あの顔が夢にまで出てきそう。ところで久しぶりに『アギーレ』見ようと思って行ったのに、なんとビデオ上映だった。金返せ!と言いたいところだが金払ってないからな。BOXで上映される本番の方は、本当に大丈夫なんですかねえ。
しかし今週は本当に映画をよく見ている。でも映画祭では何も見ないような気もするが。
10/29(日)
……と言った舌の根も乾かぬうちに朝10時半からパンテオンに出かけ、ファンタスティック映画祭の『自由にならないもの〜プーチとわたし物語』。SEGAがプーチの宣伝用に作った30分のビデオ映画である。監督は「少女をこよなく愛する男」大林宣彦、主演はキャシー中島と勝野洋の娘、勝野雅奈恵。なんか映画に近い筋から「絶対に見ない方がいい」と言われたので見に行った。朝9時に起きて。
まず、勝野雅奈恵、キャシー中島の娘だけあって、ちょっとヤバイ感じの体型である。しかもなぜか自分の行動を実況中継する癖があって、しじゅう「わたしは歩いている。わたしはジャンプする。わたしは花を見る。わたしは花に近づく……」とつぶやいている。それだけじゃなくて歌う。「♪わたしってなんなの〜」とか青春の悩みを歌うのである。なんせ芳紀17歳、歌いたいお年頃だ(大林宣彦的には)。にもかかわらず彼女には友達もいない。友達は一匹のプーチだけだ。
ヤバイ。もう完全無欠なまでにヤバイ。にもかかわらず大林宣彦の恐ろしいところは、そんな勝野雅奈恵さえも脱がそうとするところだ。なんせ30分の映画で二度も着替えシーンがあるんだぜ。これはもはや趣味を超えて……なんだろう? 性? 因果? 彼女が着替えると急にプーチが機嫌良くなるってのがさらに恐ろしい……
なお、これを読んで興味を持った人には11月から全国ツタヤで無料レンタルされる、ということをお伝えしておく。インターネット配信もあります。でも、こう書いたからって見ろってことじゃないからね。絶対に見ない方がいいよ。
アジア杯 日本1-0サウジアラビア 優勝おめでとう。ありがとうありがとう。まさかまさかの川口デー。これまでボロクソに言われてきた川口と望月がヒーローになる日だった(しかしヤナギは……ああ……)。それにしても名波はヒドかった。よっぽど疲れがたまっていたんだね。それともあれがピークだったのだろうか? だったらいっそのことオファーされてるというサウジのクラブで金儲けというのもありか。
あとねえ、審判絶対金もらってると思ったよ。西澤がエリア内で倒されたプレー、どう見ても最初のPKよりも悪質なファウルじゃないか。
10/30(月)
渋谷のエクセルホテル東急で『処刑人』の監督トロイ・ダフィーにインタビュー。映画内ファッションに敬意を表してギンティ、田野辺くんとも全員Pコートで行く。そしたら監督もやっぱりPコートだった。「PコートイズCOOL!」全員Pコートで記念撮影。世界中どこにいっても秘宝読者みたいなのにしか会えないっていうのはどういうことなんでしょうかね。あ、ちなみに秘宝では著者と読者は同じ目の高さに立っているのです。
10/31(火)
実は日曜日、いきなり愛機ThinkPad535Eが故障してしまったのだった。しょうがないんで西葛西まで出かけ、大森望から眠っている機械を貸してもらった。HDを入れ替えて使っていつのだが、いつまでもそうしているわけにもいかない。他にも用事があったので、後継機を見繕いに秋葉へ。
しかし考えるまでもなくThinkPadX20に即決購入。実は発表時から欲しいと思っていたのだった。ちょっと高いんだけどね。とりあえず環境整備に一日使って仕事はせず。『ルパン三世・念力珍作戦』も見損ねた(ということはありません)。
11/1(水)
GAGAで『ザ・セル』。ジェニファー・ロペスが精神科医になって犯罪者の心にサイコダイブする……というからてっきり『パプリカ』のようなものかと思っていたが、そんなX指定になるような映画をハリウッドが作るわけはないのだった。でもジェニファー・ロペスの内世界が、あんなピエール&ジルのおかまワールドみたいなところの訳がないよねえ。絶対にマッチョな黒人だらけでいつも素っ裸でありとあらゆるものから愛撫される……なんか小林まことの漫画みたいですな。
現代ポップ・アートの引用(パクリ)が多い映画だった。
11/2(木)
朝、早起きして11時からル・シネマで庵野秀明監督東京国際映画祭コンペ作品『式日』試写。ううう……これは80年代前半に三留まゆみ主演で量産された不思議少女ものじゃないか! いまさらこんな自主映画を見せられるとは……ってわかってたんですけどね。この手の不思議少女もの作者に言いたいことはただひとつ。うだうた言ってないでさっさとセックスしちまえ! それでおまえの悩みはすべて解決する!
渡辺浩弐が来ていたので、久しぶりに挨拶をかわす。ところで、この原作、どこら辺が藤谷文子の書いたものなんだろう? たぶん少女の独白と逃避してる理由だけじゃないかと思うんだが。
妻と落ちあって原宿のSOLARISへ。美容師の人が宇川くんの友達(高校の同級生らしい)だというんでまあ一度は行ってみようと思っていたんだよ。そしてしばらく時間がたつと……うひゃあ大変なことになってしまったよ! 大丈夫かな?
11/3(金)
たらんたらんと仕事。長年の懸案にようやくとりかかる……が調べものが多すぎてすぐ中断(当分これが続きそう)。
夕刻、友人某が来て飯を食いながらしばらく話す。
11/4(土)
映画祭で押井守の『アヴァロン』見る。なんか今回の映画祭って、ダメな日本映画しか見てないんですけど、どうしたもんですかね? まあ他に見たいものもなかったんだけどさ。押井守ってどうしてこうなんだろう。いや、エンキ・ビラルみたいな絵なんだけど、監督としてはビラルの方がぜんぜん上だと思いました。絵描きとしてもビラルの方が上だけどね。
とりあえず、最初の20分くらいはものすごい傑作かと思ったよ。
終わったあと、ユタへ。みんな「馳星周!?」と言うのが気にくわん。
11/5(日)
神宮前スタジオでチャリエン御一行様ウェルカム・パーティ。果たして誰が来るのか当日までよくわかんない状態。ともかく情報が錯綜していて 誰も来ない→ルーシー・ルーだけ→それだけじゃしょうがないのでおまけで叶姉妹をつける→ドリューがペットのトム・グリーンを連れて来日→かわりに監督はキャンセルになったらしい→えっクリスピン・グローヴァーも来てるの!? というわけでパーティ当日はルーシー、ドリュー、クリスピン(控え目)、トム・グリーン(挙動不審)に加えて叶姉妹も登場という超豪華バージョン?となったのであった。というわけで舞台上にいてとっても遠いドリューそっちのけで、すっかり叶姉妹チェックにいそしんでいたオレ。握手してもらっちったよ〜 それ以外にはトム・グリーンに話しかけたくらい(笑)
ちなみに会場でいちばん態度が悪かった映画秘宝御一行様は一部でたいそう顰蹙を買っていたようですが、こんな映画で何かっこつけてんでい。
それ以外にはまたしても乾喜美子がいたので、今度はつかまえてちょっと話す。そこに一緒にいた直木賞作家金城一紀とも。それにしても会ったのがマメ山田とチャリエンだっていうのはどういうんだろうか。
とりあえず、菊池里佳に絶賛されてちょっと嬉しいオレ。しかし相変わらず塩田時敏と並ぶと『漂流街』なのだった。
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Yanashita / 柳下毅一郎 / kiichiro.yanashita@nifty.com