哲学者の映画

◎今月のお仕事 SFマガジン2000/11月号(9/25売)にニール・ゲイマンの短編「騎士道」訳載。ところでSFMは次の号にも翻訳が載る予定なんですが……
        『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』(中原昌也 河出文庫)解説。発売は10月頭。


9/1(金)
 天才・滝本誠ファンのためのメールマガジン〈月刊滝本誠〉は好評発行中。滝本誠のすべてを知りたいあなたはPubzineまで!

 ワーナーで『スペース・カウボーイ』見る。今や一瞬たりとも目を離せないクリント・イーストウッド監督・主演作品。一部では“ジジイ版『アルマゲドン』”などと陰口をたたかれていたりするが……
 いや、『アルマゲドン』をこれくらいきちんと作ってくれたら誰も文句言わなかったのに。映画の嘘っていうのはこういうことだろう。イーストウッドは素晴らしいなあもう。あまりのスケベジジイぶりに涙が出る。

 終わったあと、久しぶりに試写会場で会った江戸木純とお茶する。『バトル・ロワイヤル』についてーー「いや、壮絶に身も蓋もない映画(要するに石井輝男的なもの)作りそうじゃない?」まあそれもまた魅力、みたいな。


9/2(土)
 Amazon UKからバラードの新作"Super-Cannes"届く。もし日本人の映画ジャーナリストが出てきたら、それはオレのことだ。

 横浜アリーナでWIRE00。二度目となれば主催者側も参加者もだいぶ洗練されて混乱も少ない感じ。とはいえドリンク持ち込み不可とかそういう方向に洗練されるのはどうかと思うんですが。ま、それならそれで対策たててくんだけどさ。しかしもう×××て朝まで踊る、なんて年じゃねえなあ、とか思ったよ。いやなんか効きすぎちまってね……まあ楽しかったからいいんだけど……


9/3(日)
 新幹線で帰ってきて、昼過ぎまで寝る。

 夜、二子玉の河原でBBQ。抜けきってないまま疲れた身体を引きずっていく。しかし、そこは実は「花火・バーベキュー禁止」の立て看板の真ん前だった! で、こっちが和気藹々と楽しんでたら、近所のジジイが警察に言いつけて、警官から注意を受けてしまったのだった。まあそういうことしか楽しみのなさそうな老い先の短いジジイだったから、勘弁したるわ。


9/5(火)
 4時。雨中、本郷三丁目のIDGで打ち合わせ。人生を捨てたような申し出をいただいたが、まあもう一度考えてからの方がいいよ、と大人の対応。ふふふ。

 7時より五輪壮行試合 日本五輪代表3-1モロッコ五輪代表 6-0のクウェート戦より完勝、という気がするのはぼくだけか。見ていて思ったこと、いくつか。

 本山の得点はあまりにきれいだった。まるでサイドチェンジからのシュートという練習みたいで。強烈すぎて両チームともに「これで終わった」の雰囲気がただよっていたのであった。そういうわけで、スタメン希望。三バックは右からボンバー、森岡、宮本 稲本と明神のダブルボランチに左俊輔、右アツ 前はヤナギと高原。本山は後半からなのか……


9/6(水)
 リバイバルされる『小人の饗宴』の試写に行ったら新創刊〈BAZAAR〉の編集者Tが来ていた。そう言えば『赤い小人』(4/13)でも会った。実は小人好きだったのか……
 残念ながら今回はテディは来ていなかった。映画はあまりにも凶悪すぎて言葉もなし。今回はじめて気づいたが、冒頭で小人がバイクに乗ってるのは『イージー・ライダー』なのか!?

 イエナで"Battlefield Earth"の本買ってかえる。


9/7(木)
 なんか妙なメールが来たんで転載する(文字化けが激しいんだけど、一部は想像でおぎなって修正しました)。

日本代表を応援する者へ告ぐ
  壮行試合2連勝!! やったぜ!! 見ろ!これで 間違いなく予選^敗退だ!当たりめ−だろ $A]6=野郎共!! 大体大会前に下手に勝つ A - Qはあっけなく負けるんだよ!あとアトランタじゃあのち-むでブラジルに勝ったんだから10年分ぐらいの運は使い果たしたよなだから2006年ぐらいまで国際大会じゃ勝てね-よ!今度の \ - YD^6/L_もただで参加出来る だけ有り難いと思え!何が KC^だ $何が 8WL^の主軸だ $EFは :]< - Qでいっぱいだ!! 主 軸だったら 8WL^がオリンピックなんか簡単に貸すわけね-だろ!居ても ;Yで M@8?でくせえから追いだしたんだよ!( 4RY?]が怪我でも M^]Aにも入れね-よ)大体 $69L君に似てんだよ!
 もし $予選突破したら本山とかいう奴を埋めてやる!奴の全部がしゃくに障る!

 本山のファンなのかな? あと、中田が誰に似てるのかとても気になる。

 イマジカで試写があり出かける。実はこれがはじめてだが、中原は毎回来ているらしい。なんとマメな奴だ。ちなみになんの試写があったのかはここには書けません。

『ライディング・ザ・ブレット』(スティーブン・キング アーティストハウス 白石朗訳)いただく。ありがとうございます。これ、2000部限定版?


9/8(金)
 ジェーン・バーキン@渋谷オーチャードホール。なんかショートカットにTシャツなおフランス系多し。さえきけんぞう、永井美奈子などの姿を見る。
 妻の気合いの入り具合は、席が二列目だったといえばわかっていただけるだろうか? ノーブラの乳首が見えるくらいの近さ。というか、ヘソのゴマに手が届きそうな距離、というか。あまりありがたくない? 感想ですか? サービス良かったですね。
9/9(土)
『日本一の男の魂#6』(喜国雅彦 小学館)いただく。いただきもの記録日記となりつつある今日このごろ。

 コロラドから電話があって2時間ほど喋りまくる。あー疲れた。一日分の仕事をした感じ。


9/10(日)
 妻は朝からお出かけ。なんか友人の友人に頼まれて、テレ朝で金曜夜11時にやる『愛人の掟』とかいう水野真紀と石黒賢の出てるドラマに出演するのだ。『TRICK』の後番なのかな? ハイソなパーティでピアノ弾いてる人が必要だ、と急遽言われて出かけていったのだった。
 で、結局5分ばかりの撮影に朝8時半から5時くらいまでかかってへろへろだったらしい。ギャラは1万円くらいなのか? でもアップもあるらしいぞ(笑)。みなさん、放映をお楽しみに。いつになるのかはしらんけど。

 本郷で、文部省共済組合がやってるホテルのレストランで飯を食う。


9/11(月)
 ところでltokyo.comがよく落ちるのに胸を痛めている人も多いようですが、仕様なんで諦めてください。2、3日この日記が読めないくらいはたいしたこっちゃないと思っていただければ。まあ抜本的対策を講じなければいけないのはわかってるんですが……とりあえずhttp://swan.virtualave.net/のミラーを使っといてもらえますかね。
9/12(火)
 花のサンフランシスコよりVizでPULPって日本漫画翻訳輸出雑誌をやっているIzumiとPatrickの二人がやってくる。Patrickは日本映画オタクの変なガイジンである。好きな俳優は安藤昇。
 まあそういうことなんでお家に呼んでおもてなししてあげる。ていってもお茶しかでませんがね。
9/13(水)
 2時。帝国ホテルにてポール・バーホーベン来日記者会見。手をあげてたんですけれど当ててはくれませんでした。バーホーベン曰く。「いいか、世界は暴力に満ちてるんだ。20世紀は暴力の時代だった。『映画に暴力が〜』なんて言う奴は現実逃避をしてるだけだ。現実とは暴力だ。生きることは暴力だ。宇宙は暴力なんだ!」ステキすぎるな、このジジイは。
 終わったあと、高橋良平氏とお茶して、いろいろ相談する。これからぼくが人生で負うべき義務について。人生の先達として。

 その後イマジカで試写。終わってから今日も来ていた中原昌也と飯を食う。話題はもっぱら11月にユーロスペースである増村保造大レトロスペクティヴについて。増村のいちばんすごいのは、やっぱり東大哲学科卒だってことだよね。なんで東大で哲学を学んであんな映画を作れるんだろうか? やっぱり天才かなあ? そう言えばバーホーベンも哲学博士なのだった。


9/14(木)
 シネカノンにて増村特集の試写。『巨人と玩具』。歌声喫茶に出かけた主人公が「オレたち、なんでこんなとこに来てたんだろうなあ」ってしみじみするところが異様におかしい。紋切り型を排除するのではなく、キッチュから逃れえないことを認めたうえで、あえてキッチュの限りを追及することでその意味を食いやぶるという手法はすでにできあがっていた。のがわかる。昔の後楽園とか見られて近所在住者としては嬉しい感じ。

 映画のあとはまっすぐ帰り、ついにはじまった五輪サッカー。日本2-1南アフリカ ううう。もうメチャクチャ疲れたよ。本気の応援って全身全霊を消耗しちまうからなあ。こんなんがこれから二週間続くなんてどうしたらいいんでしょうか? 今日は中田さまさま。俊輔はご苦労様すぎる。何はともあれ、これで「2敗1分が関の山」と言っていた金子達仁の鼻をあかせたという意味でも何よりであった。

 ところで「うたばん」見てたら変なの出てたんだけど、あれって地獄女史? 


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Kiichiro Yanashita / 柳下毅一郎 / kiichiro.yanashita@nifty.com