◎今月のお仕事 『イグジステンズ』(クリストファー・プリースト 竹書房)発売中。なんか詰めの甘い翻訳。
徳間ホールで『ツイン・フォールズ・アイダホ』見る。「双子がアイダホに落ちてくる」って意味か? でもポテト畑は出てこないの。シャム双子と売春婦のラブストーリー。バートン/リンチ・マニアだってところは随所に感じられるんだけど、あの二人の魔性はなくて、『戦慄の絆』ほど狂っているわけでもない。まあ、普通の映画だった。ちなみに宣伝の女の子の話では、今年はシャム双子映画がブーム! だそうだ。ホンマけ。
家に帰ると、キネ旬から『フィルム・メーカーズ』の編集費の振り込み通知書が届いていた。「ま、どうせ10円くらいじぇねーの?」と軽口を叩きながら封を切って愕然。これ、一桁まちがってんじゃねーか?? いやあ、最後の最後にやられちまったぜ。よくわかったよ、キネ旬の考えてることは。今度、パイ配達に行くときはオレにも声かけてくれよな。
『賠償責任』(ボニー・マクドゥーガル 講談社文庫 白石朗訳)いただく。いつもありがとうございます。
夕刻よりリハーサルしていると、なぜか会場に電話が入る。「……あの……旦那様の方になんですが……」???オレがここにいること、いったい誰が知っているんだ? と思いながら電話に出るとアスミック・エースのHであった。なんと宮崎音楽祭に合わせた『ミュージック・オブ・ザ・ハート』の試写会があって、当地に着ているというのであった。というわけでリハーサル後、宮崎ピカデリーの支配人やアスミック九州支社の女性らと朝1時くらいまで飲む。
なんと1800人収容の大ホールである。大丈夫なのか?とも思ったが1200人の一階席はほぼ埋まる大盛況。番組はココに譲るが、妻の演奏はロイドの『要心無用』とキートンの『セブン・チャンス』。客に子供が多かったせいもあって、非常に反応が良く、やっていても手応えがあったようである。特に『要心無用』はもう受けまくり、最後の危機一髪をくぐり抜けると客席から拍手が起きるほどだった。あと、メリエスの『月世界旅行』に和太鼓+ジャズ・カルテットという不思議な編成の伴奏が付いたんだが、これ、なかなか良かったな。
なんか東京から聞きに来た人もいたらしい。
終了後、打ち上げ。しかしホテルのまわりをぶらついて集合時間に二分ばかり遅れたら、すでに置いていかれてしまった。うーむ。進行もほとんど一分の遅れもなかったし、どうやら宮崎の人はきわめて時間に正確であるらしい。結局郷土料理の店まで歩き、そのまま二軒で1時くらいまで飲む。今回呼んでくれたメンバーはほぼ宮崎映画祭と重なっているようで、そこら辺の話をいろいろする。なんでも今年、石井輝男の『地獄』をやったときは、客が三十人くらいしか来なかったらしい。宮崎の秘宝読者はそれで全部か。
今日は一日宮崎観光にいそしむ。映画祭実行委員会スタッフを運転手としてこき使い、東京から遊びに来たという女の子たちと一緒に日南海岸を南下する。新婚旅行と巨人キャンプのメッカ、青島では青島神社に参拝。ちなみにここはコンビ漫才でおなじみ海彦・山彦の山彦の方が豊玉姫を連れて地上に戻ってきた場所だという。と言っても日本書紀なんか覚えていない人のために、青島神社には天孫降臨から神武天皇の大和征服までを子供にもわかるように図解した蝋人形館があるのだ! 世界の蝋人形館チェックをなりわいにしているぼくとしては当然入館したのだが、そこで我々を迎えてくれたのはなぜか33番のユニフォームを着た長嶋茂雄の蝋人形だった! なんと腕にまで植毛してあって、リアルすぎるのが嫌な感じ。ひょっとして胸毛も? と思ってついアンダーシャツの下を覗いてしまったよ。
さらに南下して鵜戸神宮。ここは実はサメだった豊玉姫が子供のためにおっぱいを置いて帰った場所である。鳥居の前には「皇紀二六六〇年」とあり、「今月の神事」には「天皇・皇后両陛下渡欧」とか書いてあったりして、いやあ、日本は天皇を中心にした神の国なんだなあ、と今さらながらに思わされる仕組みである。ちなみに豊玉姫は息子を妹に預けるんだが、その息子は長じて乳母だった伯母に子供を産ませ、それでできたのが神武天皇。つまり日本民族のルーツはすでにマザコンだった!
それにしても海を見下ろす断崖絶壁に神社が建ち、まわりにはソテツやらフェニックスやらがにょきにょき生えているというこの風景は……まさしく異界。異界としか言いようがない。
そのまま今度は北上して綾まで送ってもらい、綾町営ふれあい合宿センター(笑)に一泊。
3時過ぎに宮崎に帰り、一応古本屋チェックなどしたのち(収穫無し)、夜の飛行機で帰る。昨日こき使った実行委員会メンバーは今日も見送りに来てくれた。もう最初から最後まで世話になりっぱなし。ビバ宮崎映画祭!
ところで『フィルム・メーカーズ』編集費問題だが、その後嫌みな問い合わせをいくつかしてみた結果、一応本当に一桁間違っていた、ということになった。しかし、そう言われても素直には信じられないオレを誰が責められよう。残念だ。いろいろ陰湿な復讐を考えていたのに。最後までケチばかりついた本だったな。ともかく、オレはもう今後二度とキネマ旬報社とO社(ちっちゃな会社だから名前だけは伏せておいてやる)の仕事はしないと決めたので、ここで宣言しておく。つうか、二度と電話してくんな。
1時。〈SPA!〉の編集者来る。これまた「17歳」問題についての取材。「オレにも言わせろ!」とかってタイトルなんだけど、こういうの、本当に困るね。だってさ、オレ別に言いたいことなんか何もないんだもん。「少年犯罪についてのテレビなんかでのコメントについて」って言われても、そもそもああいう人は紋切り型のコメントをするのが仕事なんだから、そんなもんに怒ってもしょうがねえじゃん。みんなもそういうの求めてるんだしさ。
というわけでいつもと同じようなことをボソボソ喋る。
夕刻、洋泉社に出かけて、ちょっと田野辺くんと話す。オレってセラピスト体質かも。ついでに『暴力/猟奇/名画座』(友成純一 洋泉社)いただく。
信じられないほどすっきりした部屋なので愕然としてしまった。プロの翻訳者/ライターの部屋を拝見するのはこれで3度目だが。過去の2度とは比べ物にならないくらいすっきりしている。
って言ってるんだが、それって堺と大森望の家じゃないのか? それじゃあ全然褒め言葉にもなんにもなってないっつーか。
で、堺と一緒に"Trekkies"を見る。これ、トレッキーの生態を描いたドキュメンタリーなんだけど、堺と一緒に見るってのがミソだ。スタトレのユニフォームでオフィスに通う地方検事とかそういうのが出てきてとっても笑える(トレッキーにはとてもイタイ)。日本でも作ると面白いと思うんだけどな(アニオタ相手にして)。コミケ出入り禁止かな、やっぱ。
帰ってビデオに撮っていたセレッソVSフロンターレを見る。セレッソ緊張でガチガチになっている。それでも同点になったときはこれで勝つ、と思ったのに……一寸先は闇、だなあ。