◎今月のお仕事 〈SFマガジン〉ジョン・スラデック追悼特集を大監修。よろしく。
MOMAに行くという女房と別れ、42丁目の劇場で『MI:2』。ほとんどすべて予想通りで、むしろ懐かしい気持ちにさえなるんだだが、やっぱアクション映画見てノスタルジーに浸れるようじゃ駄目なんじゃないか? まあ楽しくなかったとは言わない。
その足でストランドに出かけて殺人本を数冊購入。30分ほどしか時間がなかったんで、ほとんど何も見られなかった。ストランドは広すぎる。
ちょっと遅い昼食を食べたあと、『アメリカン・サイコ』見る。わははは。『ファイト・クラブ』と続けて見ると楽しいリーマン向けブラック・コメディ。名刺合戦には笑ったなあ。リーマンの方々ってやっぱりあんなんでしょうか? とりあえず山形くんの感想とか聞いてみたいものである。
お昼を食ったのち、ニューヨーク最高の映画館、フィルム・フォーラムに出かける。まずはロン・マンの"Grass"。ロン・マンっていうのは『ツイスト』とか『コミックブック・コンフィデンシャル』とか、サブカルの一断面をストック・フィルムとインタビューでまとめるのが得意な人である。で、今回は米国のハッパ対策について。ナレーションはウディ・ハレルソン。レーガンが「マリファナを吸うといろんな害がある……記憶力が衰えるとか」と演説してるのには大爆笑。初代麻薬取締局長官のH・J・アンスリンガーという奴が「共産中国が大麻を米国に持ち込んでいる!」とか議会で証言するところも出てくる。
そのまま居座ってレズビアン映画特集。今日はイングリッド・ピットの『バンパイア・ラバーズ』とデルフィーヌ・セイリグ主演の"Daughter of Darkness"のレズビアン・バンパイアもの二本立て。"Daughter of Darkness"が凄かった。もうギャグ一歩手前、というかギャグそのものってくらい耽美なのである。デルフィーグ・セーリグが全身銀ラメの謎の女エリザベート・バートリ伯爵夫人を演じて陶酔しまくり。「わたくしはね、少々変わってるって言われるんですのよ。でもやりたいことはやらずにはすみませんの」連続女性殺人事件にからんでバートリを追いかけている刑事が思わせぶりに登場すると、いきなり車に轢かれて死んでしまったり。もう何ひとつわからん。ほとんど芸術。
終わったら12時まわっている。お茶を一杯飲んで帰る。
買い物。
DVD
本
レコード
"Tenderness of the Wolves"はウリ・ロメルの唯一の傑作と言われている映画。まあファスビンダー組の作品なんで、ほとんどファスビンダーが演出してるんだろう。"Beyond the Valley of Dolls"のサントラはたぶん海賊盤(英国盤)なんで、そんなに価値はない。でもジャケットが欲しかったから買ってしまった。ずっと探してたレコードだし。
その後ソーホーのBlast Booksを表敬訪問。ケンとローラから大歓待を受けてしまって、いやまったく申し訳ない感じっす。最新刊である教育映画の研究書をいただく。なんかもらってばかりである。いきなり思い立って出かけたのでお土産もなにもないし。サイテーな感じである。アウトサイダー・ミュージックのアンソロジーを聞いて死ぬほど笑う。
チャイナタウンで夕食。量が多すぎて半分以上お持ち帰りになってしまった。
3時から50丁目の劇場でTrue Westを見る。フィリップ・シーモア・ホフマンとジョン・C・ライリーの二人芝居で、サム・シェパード原作。劇作家の弟と砂漠の中で暮らしてているレッドネックの兄……と言えばどう考えてもホフマンが乱暴な兄にイジメられるインテリの方なんだけど、ぼくが見た回はホフマンが兄役だった。日替わりで配役を取り替えてやるらしい。イジメられるホフマンが見られなかったのは残念だけど、その分裸になるのでビール腹をたっぷり堪能できた。しかも席がかぶりつきだったもんで、汗が飛んできそうな……
家に帰り、お二人さんも出てくるトニー賞中継を見ていたが、じきに寝てしまった。
公共輸送機関は嫌と言うほど発達しまくっているワシントンだが、どうも歩きにくい。実際には自動車がないとどこにもいけない街である。まあ、ニューヨークから来たからよけいそう思うのかな。
午後はFBI本部に行って見学ツアー。案内係の女性が全員黒人女性だったのには笑った。いくらなんでもやりすぎだよ。FBIが過去にあげてきたかくかくたる戦果を自慢するための展示なので、フーバー長官の女装写真とかそういうものはない。ディリンジャーのデスマスクと、愛用のトンプソン・ガンが飾ってあった。ちなみにディリンジャーは後頭部を打たれて弾が前に抜けたので、目の下に銃弾が抜けた穴が開いている。
バスに10分ほど乗って漁港フェルズ・ポイントへ。今はなぜか骨董品街になっているんだが、その中に、昔イディス・マッセイがやっていた古着屋フラッシュバックがある。前回のウォーターズ巡礼ではなぜか行き洩らしていたので、今回忘れずにチェック。しかし行ってみるとなんということはないただのジャンク・ショップだった。店主もデブ女じゃないし(当たり前だ)。
その後メリーランド・アヴェニューのAmerican Dime Museum (1808 Maryland Avenue)を訪問。これはShocked and Amazedっていう世界唯一のサイドショー雑誌を出しているジョン・テイラーが自分のコレクションを展示しているもので、サイドショーに展示されていた保証付きの偽物(フィジーの人魚とかミイラの手とかそういうもの)ばかりがずらりと並べられた素晴らしい場所である。もちろん中には本物もある。がどれがそうなのかは教えてくれない。
その隣に移転したAtomic Booksを表敬訪問し、店長のスコット・ハフィンズとちょっと話す。なんでもジョン・ウォーターズはテレビCMを撮ったんだそうで、「30秒のCM二本で『ペッカー』の監督ギャラよりいっぱいもらった」とか。新作"Cecil Be Demented"は8月全米公開で、ボルチモアでワールド・プレミア。「来るか? チケット取ってやるぞ?」と言われたが……うーんさすがにそれは……デヴィッド・リンチの『アルファベット/グランドマザー』が入った海賊盤ビデオを購入して辞去。
ホテルに帰ったらベッドメイクが途中で終わっていた(笑)。チップをケチったから反乱を起こされた!?