『「連続殺人犯」の心理分析』 ジェイソン・モス 講談社

(初出 TV bros.2002/4/13)


 殺人マニアの流派のひとつに犯罪グルーピーがある。犯罪者をスターとあがめ、ファンレターを書いたり贈り物をしたりして親交を深める趣味である。日本の場合はなかなか難しかったりもするが、アメリカでは死刑囚だろうと信書の自由は保障されているのでちゃんと文通できるのだ。返事をもらえば一人前、相手から絵や詩をもらえれば達人の域だ。中にはさまざまな記念品をせしめてオークションで売り出したり、殺人博物館を開いたりする剛の者もいる。そんな一人に話を聞いたことがあるのだが(ちなみに彼はチャールズ・マンソンから囚人服をもらったことがあるとか)、相手のエゴをくすぐるのがこつだという。

 さて今回紹介するのはそんな一人の犯罪グルーピーの見事な戦果を伝える本である。タイトルや監訳者の名前に騙されてはいけない。著者ジェイソン君は悪徳の都ラスヴェガスに住む大学生。カエルの解剖をして卒倒しそうになるほどの大変な恐がりなのに、人一倍殺人ネタが大好き。死刑制度の研究をお題目にして殺人鬼と文通しようと思いつく。ただ手紙を書くだけではなかなか返事までたどりつかない。そこでジェイソン君は相手に会わせて性格を演出し、相手を攻略しようと考えたのだ。たとえばホモ殺人鬼ジョン・ウェイン・ゲイシーには同性愛傾向のある少年として、マンソンには“ファミリー”の入門志願者として、“ナイトストーカー”リチャード・ラミレスには悪魔主義の信奉者として手紙を書くのだ。見事作戦は成功し、ジェイソン君はゲイシーやマンソンと文通するようになる。ゲイシーからは見事信頼を勝ち取り、毎週電話で話す関係になる。ついにはイリノイ州まで面会に……

 相手には嘘をつきまくり、弟まで人身御供に差しだして相手の御機嫌を取ろうとするジェイソン君のやり方はどうも好きになれない(殺人鬼相手だからって嘘をついてもいいってわけじゃなかろう)ので、最後ジェイソン君を待っている恐怖にもあまり同情する気にはなれないのである。なお、いちばんの発見はジェイソン君がゲイシーから伝授されるオナニー・スタイル“ヘッド・オーバー・ヘッド”。ケツを上にあげて自分で自分に顔射するというのだが、興味のある人は是非チャレンジを!